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408話 再会の誓い

 俺たちの周りに広がる漆黒の空間が

 白く輝き出した。

 そして静里菜(せりな)の身体が透け始めた。

 む…これは…?

 俺は前にも似たような現象があったことを思い出した。

 この精神世界が消滅する前兆である。


「兄さん、わたしは余力があるうちに

このまま優羽花(ゆうか)の精神世界へ跳んで、

あの子と話してきます」


「おお、そうか。

所詮俺では年頃の娘に対しての気配りが

全く足りてないだろうからなあ…。

優羽花(ゆうか)の心のフォロー、お願いするぞ」


「はい、兄さん」


「そういえば前の時は、

優羽花(ゆうか)は夢の世界を閉ざしていたって言っていたが…

今回は大丈夫なのか?」


「ええ、今回は優羽花(ゆうか)は非常に安定していますから。

それでは兄さん、

またしばらくの間…お別れです。

でもその前に…えいっ!」


 静里菜(せりな)は俺の胸の中に抱き付いて来た。


「わたし、時間が許す限り

兄さん成分を補給しちゃいますね。

さあ…兄さんも、

わたしから巫女成分を思いっきり補給しちゃって下さい」


「ふふっ、それじゃあお言葉に甘えて…

遠慮なく補給させてもらうぞお!

静里菜(せりな)あ!」


 俺は生粋の巫女好き、巫女萌え、巫女オタクである。

 可憐な紅白の巫女服の魅力(みりき)は絶大。

 出来ればいつまでも触りまくって堪能したい。

 だが俺は前回の静里菜(せりな)との邂逅(かいこう)では、

 その欲望を解放し過ぎて兄としての本分すら見誤ってしまった。

 端的に言うと調子に乗り過ぎてしまったのである。

 だから今回の二度目の邂逅(かいこう)では、

 自分の巫女好きである欲望を押し殺し、自重していたのである。


 だが他らなぬ我が愛しい巫女妹、静里菜(せりな)自身からお許しが出た。

 俺には最早、自身を抑える理由は無くなってしまったのである。


 俺は歓喜の声を上げると静里菜(せりな)を強く抱きしめた。

 そして巫女服の感触を思う存分に堪能する。


「…あン!

兄さんったら…

そんなにも強く…

でしたら…わたしもっ…」


 静里菜(せりな)は俺の背中に回した腕の力を強めた。

 彼女の白菊の様な、たおやかな身体の感触が強く俺を包み込んだ。

 俺と静里菜(せりな)はお互いに強く抱きしめ合う恰好になった。


 だがこれはあくまで、

 愛しい妹を抱き締める兄の愛情行為の範囲内である。

 …前回の時の俺は魔が差していただけなのだ。


 静里菜(せりな)、俺の愛しい妹。

 俺のどうしようもない巫女好きの嗜好(しこう)をも受け入れてくれる…

 器の広い出来た妹である。

 俺はそんな彼女に感謝と別れと再会の言葉を述べた。


「…ありがとう、静里菜(せりな)

それじゃあまた…な」


「…はい、兄さん。

それではまた…です」


 静里菜(せりな)の身体は完全に透き通って、

 光の粒子になって消えていった。

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