398話 負けたりしない!
「ケイガ兄様を中心にして、
私とシダレ、ツツジの三人で三角形の魔力陣を形成しましたー。
こうすることで、
三角陣の中心にいる兄様の魔力の気配は
私たちの魔力と重なって感知されにくくなったのですよー」
「…加えてこの部屋の壁は魔力を霧散させる素材で出来ています…
私たちの三角陣との相乗効果で、
ケイガ兄様の魔力の気配は完全に消えている筈です…」
「つまり姫様の魔法感知能力がいくら高くても、
これなら見つかりっこは無いってことだよケイガ兄様!」
なるほど…だから俺はこの様に、
姫騎士団の三人に囲まれているという訳か…。
美少女騎士三角陣形と、
俺が勝手に名付けたその三角の形にも意味が有ったということである。
だけど皆サン…?
俺に添い寝に膝枕までは…
別にしなくても良かったのでは無いでしょうか…?
傍目から見ると…
俺が美少女妹たちをベッドに侍らせている様に見えませんかね…?
アニメやゲームで悪の王様とかがやっている奴だコレ!
ち違うこれは俺の意思じゃない俺は悪くない!!
「それじゃケイガ兄様!
もう夜も遅いしシダレ寝るね!
お休み…すや…すや」
シダレはそう言葉を残すと途端に寝息を立て始めた。
…寝付き速っ!?
流石は姫騎士団で最速の脚力、
寝付きも最速ということか!!
「…ふあ…
…それでは兄様…ツツジも…失礼します…
…おやすみなさい…すぅ…すぅ…」
続いてツツジも可愛い寝息を立てて眠りについた。
「それでは兄様もー
カエデの膝でお休みくださいねー」
そういってカエデは俺の額を撫でる。
う、うあああ…
柔らかい手つき…
まるで子守歌の様な柔らかで、
ゆったりとした声…
こ、これは…
カエデは年下で…
妹なのに…
何だか…
母性を感じずには居られない…
ま、まさか…
これが…
風の噂に聞いた…
バブみを感じてオギャるということなのかッ!?
カエデは妹なのに!
俺は兄なのに!
うおおおおおおお!!
俺は必死に抵抗するが、
身体能力低下魔法の効力は未だに健在。
身体は全く動かず、
この場から逃げ出すことも出来ない。
そんな状態の俺の額をカエデが優しく撫で続ける。
俺は完全にされるがままである。
あ、あああ…
優羽花…
静里菜…
俺は今日…
激しい戦闘で疲れているんだ…
何だか、とても眠いんだ…
だから…兄さんは…
カエデに…妹に…
決して…
バブみを感じてオギャっては…いない…から…
兄は…絶対…妹に…甘やかされ負けたり…しない…!
俺の意識は暗転して深い眠りの海へと落ちて行った…。