394話 指折りの実力
昨晩は投稿できませんでしたので今日は二回投稿します。
「光線砲!」
俺を抱えて城内を駆けるクレハとイチョウの前に
魔力の光線が突き刺さって行く手を阻んだ。
「ふふふ、わたくしの姫騎士団。
ケイガお兄様を連れて、何処へ行こうというのです?」
光線魔法が撃たれた方向を見れば、
ポーラ姫が飛行魔法で空中に静止していた。
其処には先程迄の雰囲気とはまるで違う、
王者としての貫禄を纏ったポーラ姫が威風堂々として立っていた。
「流石は我等が姫様」
「これ程まで早く私達の場所を探し当てて、追い付くとは見事です」
「わたくしはケイガお兄様の魔力の波長を記憶しております。
近い距離であればその感知は容易。
あとは高速飛行魔法を使って辿るだけの事ですわ」
流石はこの異世界エゾン・レイギスでも
指折りの魔法の使い手であるポーラ姫。
『見通しの眼鏡』が無くとも、
俺の魔力を瞬く間に感知することが出来るという事か。
俺が相手の気配を察することが出来る事の”魔力版”と言ったところだろう。
そして使用するには高い魔力が必要な為、
実質は魔族専用の魔法となっている高速飛行魔法も、
人間の身であっても高い魔力数値を誇るポーラ姫なら問題なく使えるという事か。
俺はポーラ姫の魔法の使い手としての高い実力を改めて思い知らされた。
「それにしても…わたくしの姫騎士団。
何故主たるわたくしの邪魔をするのです?」
「姫様、私達は姫騎士団。
姫様を守る盾。
姫様に忠誠を誓う者」
「ですが、主たる姫様が間違いを起こしたなら…
それを諫めるのも私達の役目です。
今回の事はその役目に準じた迄のことです」
「何故です?
わたくしとお兄様が親交を深めることが間違いだとでも言うのです?
心を通じ合わせることで互いの力を高める。
人とはそういうものですわ。
そして心通じ合ったその果てに…
わたくしとお兄様の間に強い子供たちが生まれて、
彼等彼女等がこの国の長になって、
未来永劫、エクスラント聖王国が、人々が栄える!
わたくしはこの国を治める者として、
間違ってなどいませんわ!!」
「ですがケイガ兄様の望みは、
あくまで清らかな兄妹としての親交の筈」
「姫様のお考えはケイガ兄様の望みを逸脱したものです。
私達姫騎士団は全員がケイガ兄様の妹。
兄様の意思を無視される姫様の振る舞いを黙って見過ごすことは出来ません」
クレハとイチョウ、ふたりの女騎士は
自分達の主であるポーラ姫に頭を垂れながらも
毅然とした口調で意見を述べた。




