第382話 硬直
すみません昨日投稿したつもりが抜けておりました…。
「ケイガ兄君様は国境の町クラシアで、
激しい戦いを経験したみたいだ。
魔界五軍将のひとり魔言将イルーラ率いる魔族軍、
そして魔族の長である大魔王…。
ボク達では想像することも出来ないであろう激しい戦いをね。
ねえポーラ…ボクが思うに、
その戦いの中でポーラやボクが
ちょっとやそっと言い寄ったぐらいじゃ動じ無いぐらいに、
人間として大きく成長したということなんじゃないかな?
大人になるってそういうことなんだよ…きっと」
「…嫌ですの」
「えっ!?」
「嫌ですの!
ケイガお兄様がわたくしに無反応になるなんて!
嫌ですのお!!
わたくしの予定では…
純情なお兄様は
毎日わたくしからの愛のスキンシップを受けて心が揺さぶられますの!
その揺らぎは日々積み重なって
お兄様のわたくしへの思いは、
只の妹へのものから
愛しい女性へものへと変わっていきますの!
そしてその溜まった思いはある日ついに限界を超えて…
「ああっ…ポーラ俺は!」
「ああ…お兄様わたくしも!」
と、なって…二人は兄妹の関係を超えて固く結ばれますの!
そして深く愛し合ったお兄様とわたくしの間には
もちろんお子がたくさん産まれますわ!
お兄様の強い肉体とわたくしの高い魔力が合わさった
逞しい強さを持つ王子王女たちですわ!
これで聖王国の未来も安泰ですわ!
でもこのままでは…ポーラの明るい未来計画が水の泡ですわあ!!」
「君は性懲りも無くまだそんなこと言っているのかい!
でも夢見がちなことを言いながらも
しっかり聖王国の未来も考えている辺り…
流石は聖王女にして第一王位継承者というべきだよね!
ボクはちょっと怖いよ!
大体ケイガ兄君様は、
ボク達とは清らかな兄妹関係を築きたいと言ってたじゃないか!
何でポーラはすぐにそんな男女の関係になりたいと思うんだい!」
「ミリィお姉様。
その答えは簡単ですわ。
人間は産めよ増やせよ、
これしか繁栄はありませんの。
これは国を導く長としての絶対なる心得なのですわ。
ですからわたくしは国の長として
大好きなケイガお兄様とたくさん愛し合って
お子をたくさん作って
幸せな家族を作って
身をもって人々を導く手本となりますわ!
そしてエクスラント聖王国を、
人間を繁栄させるのですわ!
ふふふ…ケイガお兄様。
お兄様がそんな連れない態度を取られるなら、
わたくしにも考えがありますわ…」
ポーラは不敵な笑みを浮かべた。
その綺麗な瞳に宿る強い意志。
身体から魔力のオーラが立ち昇っている。
ボクは唐突に放たれた彼女の猛烈な圧に身体が硬直してしまった。
ドラゴンに睨まれたカエルとはまさにこの事だろう。
ケイガ兄君様、ボクは嫌な予感しかしないよ…。




