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第356話 戻った

「その様子…どうやら貴様、

イルーラ様の振る舞いに騙されていたと見受けるな?」


 膝を着いた俺に対して魔騎士ディラムが言葉を掛ける。


「…くっ、気付かれたか。

ああ俺は、魔言将イルーラにすっかり騙されていた様だ」


 おっぱいにな!

 俺は心の中で付け加えた。


「ふっ、気に病むことは無いぞナルガネ・ケイガよ。

女性は魔性というのは人間も魔族も同じこと。

所詮男という存在(もの)は…

女性に騙されるべく存在(もの)なのかも知れぬな」


 魔性のおっぱい!

 今此処に俺はイルーラへの認識を改めた。

 今思い出せば、俺は彼女に出会い頭に

 おっぱいを押し付けられるという行為をされている。

 その時の圧倒的な乳圧力(にゅうあつりょく)を前にして

 俺は正常な判断力を失ってしまい

 彼女の本質を見誤ってしまったのだろう。

 まさにハニートラップである。

 高位魔族(ハイデーモン)おっぱいトラップ!


 うああああああ!

 女の子怖い!

 怖いよおおお!!

 助けて優羽花(ゆうか)あ!

 静里菜(せりな)あ!


 俺は心の中で思わず、

 妹歴16年の愛しい妹たちに助けを求めてしまった。

 …何て情けない兄!


 でもどうか許してほしい。

 俺だって常に心が強い訳じゃないのだ。

 時には心の中で泣き言も言いたくなる。


 だが俺はここに改めて、

 妹ではない只の女の子が、女性が…

 これ程までに恐ろしい存在であることを

 再度認識してしまったのである。


 大体、黒川課長がそうだったではないか。

 俺はあのひとの裏切りによって、

 人も社会も一切信じられなくなって所詮引籠りになってしまったのだ。


 俺はこの異世界エゾン・レイギスに来てからというもの

 たくさんの美少女、美女と出逢い兄妹の契りを交わした。

 彼女たちは皆、俺に好意を持っていた。

 俺は知らず知らずのうちに、

 そのことにすっかり調子に乗ってしまっていたのだろう

 そう、俺は異世界に来てからすっかり忘れてしまっていたのだ。

 女性が怖い存在であるということを!


 ああ…俺は一体何をのぼせていたというのか。

 俺は所詮ただの兄なのである。

 それ以上でもそれ以下でも無い。

 妹でもない女性に好意を寄せられると何故思った?

 夢を見るな!

 思い上がるな!

 だいたい俺程度の男が、

 女の子にモテモテとかそういうことがある訳無いだろう!

 異世界ハーレム?

 アニメやゲームじゃあるまいし

 いい加減にしろ馬鹿!


 今ここに俺は悟った。



 …いや、違うな。

 異世界に来てからの俺は今までずっと、

 のぼせ上っていたのだ。

 俺は夢を見ていた…長い夢を…。


 俺は…正気に戻った!



 夢から目を覚ました俺は…

 地に付けていた膝を起こして、

 力強く立ち上がった。

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