表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

353/579

第353話 魔言軍撤退

「そういえばヴィシルの一族の掟に確かにそういうものがあったな。

勝った男の嫁もしくは妹になるというものが」


「おお、女戦士ヴィシルにもついに春が来たという訳ですね。

これは感慨深い」


「ヴィシル、オマエはこの強い人間の男の嫁になって

新たな家族を作るという訳か。

二人の間にならば強い子が生まれるだろう、

それは楽しみだ!」


「ヴィシル、共にイルーラ様に仕えた同士として…

ナルガネ・ケイガと共に行くという貴様を祝福させてもらおう!

ケイガの様な強き者が相手なのだ、我等は何も文句は無い!」


「みんな…ありがとう!」


 ライゼガ、ガグーン、エクゼヴの三人は

 ヴィシルの望みを肯定(こうてい)して更には祝福の言葉をも掛けた。

 この異世界エゾン・レイギスの人間側の見聞で言うなら、

 こういう場合は魔族は力で劣る人間を見下して

 否定的な態度を取りそうな気もしたんだが…

 全然別にそんなことは無かったぜ!

 魔族の価値観的には力のある者は種族問わず認めるということなのだろうか?

 それとも大魔王直属の高位魔族とは思えない優しい雰囲気を持った

 魔言将イルーラの配下である魔族達だけが持つ特有の価値観なのだろうか?


 それにしても…三人的にはヴィシルが俺の妹というよりは、

 ほとんど嫁の扱いになっておられるのですがそれは…。


「…なるほど…

…妹になれば、何もはばかることなく…

…ケイガと一緒いることが出来ると言う訳ね…

…希少な”気”を持ったケイガを研究する為に…

…私も妹になろうかしら…」


「イルーラ様、ケイガが迷惑しますぞ。

そして我々の主たる魔言将のご立場をお忘れなく」


「…わかっているわエクゼヴ…

…冗談よ冗談…」


 イルーラはそう言うと、

 とてもがっかりした表情(かお)で俺を見た。

 …冗談なんですよね?


「…それじゃケイガ…

…ヴィシルは貴女に預けるわ…

…大切にしてあげてね…」


「お、おう!」


「…ヴィシル、貴方の行く末に魔界の加護あらんことを…

…またいずれ逢いましょう…」


「はい、イルーラ様!」


 イルーラは俺とヴィシルに言葉を掛けたあと、

 俺の更に後ろへと視線を向けた。


「…ディラム、ガルヴァーヴによろしく…」


「はっ、イルーラ様」


 魔騎士ディラムは(こうべ)を垂れて答えた。

 この男はエクゼヴ達の様にイルーラに(ひざま)まづくことはしなかった。

 なるほど…ディラムからすればイルーラは格上の魔族ではあるが、

 彼女の配下という訳では無い。

 この男はイルーラと同格の魔界五軍将・魔竜将ガルヴァーヴの配下なのである。

 だから彼女に対して臣下の礼は取らないという事か。


 イルーラとエクゼヴ達をそれぞれ魔力の光球が包み込んだ。

 そして4つの光の玉は凄まじい勢いで上昇すると、

 瞬く間に空の彼方へと消えていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ