第345話 迷惑じゃないがとても困る
「…それはさておき。
ねえ、お兄」
「お、おう?」
「あたしの知らないうちに
妹が増えているみたいなんですけど…」
優羽花がジト目で俺を見据えながら、
ぼそりとつぶやいた。
そりゃあスルーはしてはくれませんよね優羽花サン!?
「ま…お兄が妹を増やすのは、
この世界に来てからしょっちゅうだし。
今更だけどね。
ふーん…ふたりともあたしより
スタイルも良くて胸も大きいんだ?
ふーん、そうなんだ。
…いやらし、いやらし」
「なっ…失礼だぞ我が妹よ!
俺は確かにおっぱい星人だが、
おっぱいの大きさで妹を受け入れるとか、
そういうことは一切無いからな!
大体、優羽花の板の様な胸より小さい子なんて
そうそう居る訳無いだろぐはあっ!?」
優羽花のグーパンが俺の頬にクリーンヒットして盛大に吹っ飛ばされる俺。
コマのように高速回転付きである。
シノブさんの指導で星剣無しでも随分と強くなったものだなあ…と、
俺は妹の成長ぶりを喜びながら地面に倒れ伏した。
「へぇ兄者サマは胸の大きい女が好きなんだ?
アタシのはそんなに大きく無いから満足させられないかねェ。
まっ、それなら他のことで悦ばせてやるよアハハ!」
あのヴィシルさん、
何か過激な事をおっしゃっているのは
気のせいですかね?
俺と貴女は兄と妹なんですよ?
「おにいちゃんはわたしのおっきなおっぱいだいすきー」
ヒカリは自分のおっぱいをぎゅっと持ち上げて揺らしながら
にっこりと笑った。
「うあああああ!
ヒカリい、そんなことしちゃだめえええええ!!」
俺は高速で立ち上がると、
ヒカリの腕を抑えて、その煽情的な行為を辞めさせた。
「おにいちゃん?
ヒカリのおっぱいめいわくだった?」
いやいやいや、別に迷惑とかそういうことじゃないんだ。
ただそんなことされると
俺の男の子としてのナニかがですね…
そういう煽情的な煽り行為はですね、
妹は兄にしちゃ駄目ですよ!
兄は妹を性的な目で見ちゃいけないんだからね!
俺を興奮させちゃだめええええーー!!
「とにかく、
そういうことは辞めるんだヒカリ。
…ちなみに誰から習った?」
「闇の精霊ー、
こういうことすると
おとこのひとは喜ぶって言ってた」
「…やっぱりな、アイツ許さない」
俺はリリンシアに静かにブチ切れた。
「ねえお兄、
その人ってヒカリちゃんと同じ名前なの?
凄い偶然だね」
優羽花が不意に的外れな言葉を述べた。
「何を言っているんだ優羽花?
ヒカリはヒカリだろ?」
「え?」
「えっ?」
俺と優羽花の互いの疑問の言葉が虚空に響いた。




