表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

339/556

第339話 憂い無し

「…よく来てくれたわケイガ…

…あなたならきっと此処に辿り着いてくれると思っていたわ…

…さあどうか…私を討って…」


 魔言将イルーラは閉じていた瞳を見開いて俺に言葉を掛ける。


「イルーラ、最初から…

自ら大魔王の魔力心臓核(マナハートコア)になった時から、

殺されるつもりだったのか?」


「…私は大魔王様の代言、魔言将イルーラ…

…忠実なる大魔王様の僕…。

…私は元々は魔界に並みいる中位魔族のひとりでしか無く…

…魔力もたいしたことは無かった…。

…だけど魔界の奥底に封じられて動けなくなった大魔王様に…

…私の精神感応力の高さを見初められて…

…大魔王様の代言、魔界五軍将・魔言将にまでなった…。

…だから私の命は大魔王様の仰せのまま…。


…でも、私の配下の魔族たちはその限りで無いわ…。

…エグゼヴ達を生かすためには、私自身が魔力心臓核(マナハートコア)になって

巨魔界樹(きょまかいじゅ)で構成されたこの巨人の肉体を操作し…て

…エクゼヴ達の吸収を止める以外に方法は無かった…。

…でもエクゼヴ達は身体こそ吸収されなかったものの…

…巨人の身体のエネルギー源として魔力は吸われ続けている…。

…このままではいずれ魔力を全て吸われ尽くして死ぬわ…。

…私の配下達を生存させるには…

魔力心臓核(マナハートコア)となった私が死ぬことで…

…巨人を止める事が必要だったわ…。


…これは云うなれば身内の問題…

…出来ることなら配下であるヴィシルに…

私の介錯をして欲しかったところだけれど…

…あの子には荷が重すぎたようね…」


「自分の大切な人を手に掛けるなんて

酷なこと、出来なくて当然さ。

大体…こんなにも部下思いで優しいイルーラの配下であるヴィシルが

そんな真似出来る訳ないだろう?

それはお前さん自身もよく解っているだろうに…。

まあ紆余曲折(うよきょくせつ)あって今はヴィシルは俺の妹、

こういう汚れ仕事は兄である俺がすればいい」


 俺は両腕を突き出して構える、

 そして両手のひらに気を集中させた。


「念のため一応聞いておくが…

お前さんは自身の身体の一部を切り離して

魔力数値を1000以下に抑えてこの地上に来たって言ってたから、

今此処に居るイルーラが死んでも

”魔界に居る本体のイルーラ”は死なないってことで良いんだよな?」


「…ええ、間違い無いわ…

…ここまで来て、私を心配するなんて…

…優しいのねケイガ……」


「だったら俺としても憂い無し、

ゆくぞイルーラ!

地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・五の型、流星(りゅうせい)!」


 俺の手から放たれた気功波はイルーラの身体を包み込んだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ