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第327話 質量攻撃

「何者かはわからぬが後数分でここに着くだろう。

魔力数値5000ほどの者が…。

三人そろって手を組まれると厄介なことになるであろうな。

ならばそうなる前に…急ぎ殺してくれようぞ人間」


 大魔王は瞳を輝かせると俺に向けて光線を放った。

 俺は大魔王の目線を読んで直線状に飛んでくる光線を(かわ)す。

 だが次の瞬間、大魔王はその巨体を跳躍させて

 俺に向かって真正面から突撃してきた。

 大魔王は俊敏に両腕を振るい両足を蹴り上げ踏み潰す、

 俺に近接格闘攻撃(ショートレンジ)を仕掛ける。

 その合間に瞳から破壊光線を、口内から火球弾(プラズマ)を放って

 中距離攻撃(ミドルレンジ)も絶やさない。

 大魔王はヒカリを一切無視して、

 俺だけに狙いを定め集中攻撃を仕掛けて来た。


「光の精霊はうぬの動きを模倣(トレース)した攻撃しかして来なかった。

すなわち所詮うぬの分身(オプション)でしか無いということだ。

ならば模倣(トレース)元のうぬを真っ先に黙らせれば取る取足らないということよ」


 流石は魔族の長たる大魔王と言うべきか。

 これ迄の戦いで既に俺たちの弱点をもう見抜いてしまった。

 俺は大魔王に攻め立てられて完全に防戦一方になってしまう。

 俺が攻撃しなければヒカリも俺を模倣(トレース)した攻撃が出来ない。

 すなわち俺は戦闘能力数値が倍以上の相手に

 たったひとりで戦っている状況に陥ってしまった。

 このままではまずい、何とか攻撃に転じなければ。

 俺は大魔王の嵐の如き猛攻をギリギリで(かわ)し続けながら気を練り上げる。


地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・五の型・改二、流…」


 俺は大魔王の足を一時的にでも止めるために

 回避不能の無差別照射気功波攻撃をするべく両手ひらを構えた瞬間、

 大魔王が俺の眼前から消えた。

 馬鹿な…?

 この巨体でこの速度だと…!?

 俺は咄嗟に気士術(きしじゅつ)を攻撃技から防御技に切り替えて行使する。


地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・三の型・改、金剛力士(こんごうりきし)!」


 俺は全身を金剛(ダイヤモンド)並の強度に引き上げた。

 それと同時に大魔王の巨大な足が俺の身体を捉え、

 そのまま地面に叩きつけて踏み潰した。


「ぐ、ああああああっーーー!!」


 肉体強度を金剛(ダイヤモンド)並に引き上げても…

 身丈30メートルの巨人の踏み潰しによる質量攻撃はどうにもしようが無かった。

 ばきばきばきばきばき!

 耳障りな音と共に俺の身体が骨が内臓が圧し潰されていく。

 俺は凄まじい痛みに絶叫し血を吐きながらも、何とか魔力を集中させた。

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