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第318話 妹認知

「さあ行くよ兄者(あにじゃ)サマッ!」


 突如現れた謎の女性は俺を兄呼ばりすると、

 その背中から生やした翼を羽ばたかせて大魔王に向かっていく。

 正直俺には彼女に関しての見覚えが無い。

 そ、そんな…俺は…

 無意識のうちに彼女と妹の契りを結んだとでも言うのか!?

 これは認知希望って奴ですか?

 俺は…妹認知(いもうとにんち)を求められてしまいますかっ!?


 ち、違う…これは何かの間違いだ!

 俺に何もやましいことは無い!

 俺は無実だ!

 俺の知らない間に新しい妹が出来るなんて、

 そんな事はあり得ないだろう!

 だから…そんな目で俺を見ないでくれ!

 優羽花(ゆうか)

 静里菜(せりな)


 突然見知らぬ女性に兄と呼ばれて完全に動揺してしまった俺は、

 頭の中で妹歴16年のふたりの妹に必死に弁解してしまった。

 落ち着け落ち着くんだ妹数(いもうとすう)を数えて落ち着くんだ

 …2…3…5…7…11…13人。

 良し、今はとりあえずこの謎の妹の件は頭の隅に置いておこう。


 俺の見立てでは謎の妹もとい彼女は

 イルーラの配下のひとりヴィシルに近い種の獣人型(じゅうじんがた)魔族であろう。

 ならば魔族である彼女が何故、

 魔族の長である大魔王を相手にして俺と一緒に戦ってくれるのか?

 俺を兄と呼んだこと以外の事にも疑問は尽きない。

 だが、見通しの眼鏡(スカウターレンズ)のよると彼女の魔力数値は640。

 彼女が共に戦ってくれるというのなら、

 俺とヒカリに対する大魔王との数値200の差を覆すことが出来る。

 これは大魔王を倒す千載一遇の好機(チャンス)と考えるべきであろう。

 俺は謎の獣人型(じゅうじんがた)魔族の共闘案に乗ることに決めた。

 高速で大魔王に向かって飛行する彼女に続いて、

 俺は大地を強く蹴り上げ高速で跳躍した。


「はあッ!」


 謎の獣人女性は更に翼を羽ばたかせると凄まじい速度で飛翔、

 一陣の疾風となって大魔王に向かって突撃する。

 そして両手の五指から伸びた長い爪で”核”の在る右胸の箇所を切り裂いた。


地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・二の型、飛燕(ひえん)!」


「ヒエン!」


 続いて俺とヒカリが放った音速の飛び蹴りが巨人の右胸を引き裂いた。


「ぐがああッ!」


 大魔王の反撃が来ない。

 ダメージが蓄積しその余力が無いということか?

 よし今こそ止めを!

 俺は気をロケットの様に逆噴射して反転すると大魔王に向けて両手をかざす。


地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・五の型、流星(りゅうせい)!」


「リュウセイ!」


 俺とヒカリは両手のひらから気功波を放った。


閃魔鎌鼬(せんまかまいたち)!」


 謎の獣人女性は背中から生えた一対の翼と巨大な爪が生えた両腕を同時に振るう、

 彼女の正面に魔力を宿した巨大な真空の刃が生み出され放たれた。


 俺たちの放った気功波と、

 彼女が放った真空刃が大魔王の右胸に同時に突き刺さった。


「ぐおおおおおっ!?」


 大魔王の絶叫が響き渡る。

 ずうううん!

 地響きを立てて巨人の巨体が大地に倒れた。

 その衝撃で土煙が巻き上がりまるで砂嵐のように周囲を覆った。

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