第304話 魔力捜索機能
「なあヒカリ?
俺が掛けているこの『見通しの眼鏡』で
以前ミリィが俺の『魔力心臓核』を探索する時に使った魔法
『魔力捜索』と同じ様なことは出来ないのかな?」
「んーおにいちゃん、それはかんたん。
見通しの眼鏡のたんさく範囲を
ひとつの個体にしぼれば魔力の流れ出るみなもと、
『魔力心臓核』の箇所をすぐとくていできる。
そうさスイッチに魔力捜索というモードがあるから
それを起動するだけ」
「おお、やっぱりか!
見通しの眼鏡の魔力計測機能から考えて
出来そうな気はしたんだよなあ。
教えてくれてありがとうなヒカリ」
「んー、ヒカリ。
おにいちゃんのおやくに立ててとてもうれしい」
俺はミリィの元で魔法を学んでいた際、
『魔力捜索』の魔法の修得も目指した。
この魔法は今後の戦いに於いて色々と応用が効くのでは?
と考えたからである。
だが探索魔法は魔法技術としては高度なものであり、
また俺とは魔法特性の相性の問題もあって、
かなり修得は難しいと言わざると得なかった。
だが俺はそこで諦めることを良しとせず、発想の転換を行った。
魔法としての修得が難しいのなら、別の方法で補えばよい。
俺が常時掛けている魔力を計測するアイテム、
『見通しの眼鏡』になら『魔力捜索』の魔法と同じ機能が有るのでは?
と俺は考え、他らなぬこのアイテムを授けてくれた
ヒカリ本人に聞いてみたのである。
彼女の回答はとても満足のいくものであった。
見通しの眼鏡の新たな機能は今後の戦いに於いて重宝しそうである。
これは…ありがたい…。
俺は魔力捜索モードを起動した『見通しの眼鏡』の視界の中に
大魔王を名乗る巨人の全身を収める。
瞬く間に巨人の魔力の源が特定され、
光の点として見通しの眼鏡内に表示される。
巨人の右胸の辺りの箇所、
ここが大魔王の『魔力心臓核』。
そして巨人の身体を構成する”核”である
大魔王の杖のある箇所ということになるだろう。
俺は一気に気を高める。
膨れ上がった気の周囲に雷状のスパークがほとばしる。
全身に雷撃状の気を纏わせながら拳を構えると、
地面を強く蹴り上げて飛んだ。
『地ノ宮流気士術・一の型改、雷迅王!』




