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第302話 動けば良い

 俺は大魔王を名乗る巨人に目掛けて疾走した。

 巨人の背丈は目視換算でマンションで言う所の10階ぐらい、

 30メートルぐらいになるだろうか?

 

 巨人の瞳が輝いて光線が連射される。

 俺は巨人の瞳の向きで光線の射線を読んで、

 飛びゆく光線と光線の間をかいくぐると

 大地を蹴り上げて高速で飛翔、巨人のみぞおち部分に肉薄する。


地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・一の型、雷迅(らいじん)!』


 俺は利き腕の拳に気を集中させ雷状の気を纏った正拳突きを見舞う。

 がごおん!

 轟音と共に土くれの巨人(ゴウレム)なら瞬く間に粉砕する一撃が直撃した。

 

 だが巨人は俺の攻撃を意に介することなく、

 その巨大な腕を振り下ろす。

 俺はその暴風の如き一撃を

 自分の身体を回転させ衝撃を受け流して()なすと、

 その勢いのままに地上へと着地する。

 そして着地の瞬間に両足に気を集中させて地面を蹴り上げて、

 燕の如き凄まじい速度で飛翔、再度巨人のみぞおち部分に肉薄する。


地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・二の型、飛燕(ひえん)!』


 俺が繰り出した超スピードの跳び蹴りは巨人のみぞおち部分を引き裂いた。

 先ほど『雷迅(らいじん)』を撃ち込んだ場所に二度目の攻撃。


 だが巨人はこの二撃目も意に介することなく、

 瞳を輝かせ俺に向かって光線を射出する。

 今の空中に飛翔中の状態では非物理系攻撃の回避は難しい。


光防壁(ライトウォール)!』


 俺はすかさず光属性防御魔法を行使する。

 俺の身体を覆うように展開された光の壁が光線を弾き散らした。


 俺は地面に着地すると再び疾走し巨人への距離を詰める。

 巨人の足裏が不意に浮き上がった。

 そして俺を踏み潰そうと凄まじい速度で降下してきた。

 俺は全力で駆けて巨人の足の範囲外へ滑り込むように抜けると

 すかさず真上へと跳んで三度(みたび)、巨人のみぞおち部分へと肉薄する。

 そして両手を合わせ構え気を集中させる。


地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・五の型、流星(りゅうせい)!』


 俺は両手のひらから気のエネルギー波を解き放った。

 流れ星の如き気の光が巨人のみぞおちに突き刺さって大爆発を起こした。


 だが…爆煙が消えた後には変わらぬ姿勢のままの巨人が居た。


「くっ…俺は三度同じ個所に気士術(きしじゅつ)を叩き込んでいる。

これでも全く効かないとでも言うのか?」


「そんなことは無いぞ人間よ。

うぬの技の(ことごと)くは強さの数値としてなら3000ぐらいはあろう。

それをこうも連続で喰らっては余とて全く無傷とはいくまい。

だが所詮、この身体は余の精神(アストラル)一時(いっとき)(うつわ)

魔界の奥底で眠る余の真の肉体に替わる仮初めの肉体。

この身体が壊れようとも余自体には何の支障も及ぼさない。

多少壊れても余の手足として動けば良いのだ。

だから余は何も気にしてはおらぬ。

只それだけのことよ」


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