第23話 激突、勇者VS魔族の騎士
「ま、魔力1200!? これは…魔力を物質化させて刃に換えて剣の威力を高めたとでもいうのか!? …そんな事がこの世界に来たての人間に出来る訳が…まさかのその剣は伝説の勇者の星剣ッ!?」
「あたしは! お兄を虐める奴は、絶対に許さないっ!」
優羽花は凄まじい速度で星剣を振りかぶる。
流れる様な動きの見事な剣撃。ディラムが振るう凄まじい速度の剣と互角に渡り合い、そして徐々に押していく。
だが優羽花は剣は使えない筈…これは光の精霊が言っていた、星剣には”過去の勇者の戦い方が”記憶されていて戦い方を教えてくれる”ということなのか?
「やああーー!」
「ぐううッ!?」
優羽花の渾身の一撃を剣で受け止めるディラム、だがそのパワーに押され後ろに大きく飛ばされる。
それでも倒れることなくその足を強く地面に踏みつけて踏みとどまった。
「何という凄まじい力だ…これが勇者の力だと言うのか!?
だが我も魔族の騎士の端くれ、そして我が主、魔竜将ガルヴァーヴ様にはただならぬ恩義がある。
ここで、退くわけにはいかんのだ!」
ディラムの持つ剣に光が集中する。ディラムの魔力数値が上がっていく、その数値は1000まで上昇した。
「人間相手に我が最大の技を使うことになろうとは…いや、勇者相手ならばまさに相手にとって不足なし!」
ディラムは剣を構え直して突きの動作を取る。
そしてその剣に更に光が集中し刀身を軸に凄まじい速度で回転し螺旋状の光を形成した、例えるなら光状のドリルとも言うべきか。
ディラムの魔力数値は大きく上昇し、その数値は1300まで上昇した。
…あの技はまずいと俺の第六感が告げる、今の優羽花でもまともに受ければ無事では済まないだろう。
俺は優羽花を護るための技を練り上げる、腕が動かないなら、腕が無くても出せる技で大切な妹を助けるんだ。
「勇者よ受けるがいい! 我が魔剣最大の技を! 魔砕光剣!」
ディラムが剣を突き出すと凄まじい勢いの螺旋状のエネルギー波が放たれた。
「地ノ宮流気士術、六の型! 気光壁!」
俺は優羽花の前に気で編み出した光の壁を展開させた。
これは鬼が妖力で生み出した雷をも防いだ技だ、この異世界の魔族の攻撃に対しても効果はあるはず。
ディラムの放った螺旋状のエネルギー波は俺が作り出した光の壁を瞬く間に削り穴を穿ち撃ち貫いた。
だが一瞬でもその速度を遅らせて優羽花の持つ星剣に判断の時間を与えた、それで充分だ。
優羽花は剣を斜めに構えるとドリル状のエネルギー波をまともに受けずに後ろに逸らして受け流した。
そして地面を強く踏みつけて凄まじい速度で跳ぶと一気にディラムの間合いに距離を詰めて剣を大きく振り上げた。
剣の刀身が、がきん!という音と共に二つに割れて中から光の刃が姿を現した。
優羽花の魔力数値は1500まで上昇した。
「流星光斬!」
優羽花の声と共に振り下ろされた星剣の光刃の必殺の一撃は、それを受け止めようとしたディラムの剣を斬り裂いて、そのまま魔騎士の身体を袈裟斬りにした。
お読み頂きありがとうございました。
良ろしければ
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