第21話 魔族との戦闘
「先手必勝! 地ノ宮流気士術、一の型! 雷迅!」
「何ッ!?」
俺の放った雷撃状の気を纏った正拳突きがディラムを捉える。
しかしディラムは俺の拳がヒットする寸前に腰の剣を抜き、盾代わりにして受け止めた。
「これは魔力では無い…”気”というものか?
この魔力満ちる世界エゾン・レイギスでは見ない力だ…なるほど異世界の戦士よ、それで合点が行く。
その気の力こそが魔力の無い貴様がこの世界に呼ばれた理由という事か」
俺の元の世界では逆にその魔力が見たことない力だよなあ。
俺の気とか静里菜の霊力のほうがスタンダードなんだが。
だが気の力を持つ俺がこの異世界に呼ばれたというディラムの言葉に対しては違和感がある。
それなら霊力を持つ静里菜が元の世界にすぐに返されたのがおかしいからだ。
そして光の精霊も優羽花は勇者だと言ったが俺に関しては何も言わなかった。
…俺はこの世界に呼ばれてないんじゃないのか?優羽花の召喚に巻き込まれただけじゃないのか?
だとしても大切な妹を護れるなら俺はそれで良いけどな!
「はああっ!」
俺は雷撃状の気を追加して拳を突き出した。
ディラムは俺の拳圧に大きく後ろに飛ばされるが、くるりと身をひるがえして難なく着地して見せる。
「異世界の戦士よ、先ほどは役立たず、弱者等と言ったのは失言だった…謝ろう。貴様を強者と認識し、全力で相手をしよう!」
「えっ…ちょっと、待っ」
「ゆくぞ!」
ディラムは手にした剣で凄まじい速度の突きを繰り出してきた。まるで豪雨のような剣の連撃。
俺は避けに徹しながら次の技を練り上げる。
「地ノ宮流気士術、三の型! 金剛!」
これは気を身体に付与して肉体強度を飛躍的に高める技。これならディラムの剣とも正面から渡り合える。
俺は拳の連撃を繰り出した。対してディラムも剣の連撃。凄まじい速度の攻撃が互いにぶつかり合って火花を散らす。
「やるな異世界の人間! ここまで私と渡り合えた人間は貴様が初めてだ!」
「そうか?俺はそうだなあ、昔やりあった百鬼丸の方が強かったかなあ!」
ちなみに百鬼丸とは昔戦った鬼の名前である。
でもあの時はタイマンじゃなくて師匠も静里菜も居たからなあ。
戦いが長引けば俺には百鬼丸の時とは違い増援が居ない分間違いなく不利。
ここは一気にケリをつける。俺は気を両足に集中、地面を蹴り上げて燕の如き凄まじい速度で飛翔した。
「地ノ宮流気士術、二の型! 飛燕!」
俺の気を纏った超高速の足蹴りはディラムを腰から上下に両断した。
「…やるな異世界の戦士。ならばこちらも敬意を称して技をお見せしよう…魔光斬!」
斬り飛ばされたはずのディラムの上半身が動き宙に停まると、俺に向かって剣を振りかぶり魔力の斬撃波を見舞った。




