第204話 授業再開
「ありがとうな。
優羽花、ミリィ」
俺は間違っていた俺の眼を気付かせてくれた
ふたりの妹に感謝の言葉を返した。
「急にどうしたのよ、お兄?」
「どうしたんだい兄君様?
ボクは何かしたのかい?」
「ははっ、何てことないよ。
俺は良い妹達に恵まれているなあってことさ」
俺は二人の妹に言葉を返しながら、
宙に浮いているヒカリに視線を移した。
「ヒカリも俺と契約してくれてありがとうな。
この通り無事に魔力を得ることが出来た」
「別にお礼をいわれることはない。
わたしはおにいちゃんの役に立ててうれしい」
ヒカリは屈託の無い笑顔を浮かべながら俺に言葉を返した。
「ミリィ、俺は光の精霊ヒカリと契約して魔力を得た。
次は此れからの戦いに備えて、”魔法”を習得したい。
でも俺は、この世界の魔法についての知識は全く無い。
魔力数値や相性や色んな要素で
俺が得られる魔法の数に限りがあったりするのだろうか?
そして俺が覚えられない魔法があったりするのだろうか?
その辺りを詳しく教えて欲しいのだけど…良いかな?」
「ああもちろんだよ兄君様!
ふふっ…ケイガ兄君様の知識欲旺盛な姿勢はボク、好きだなあ…。
それじゃ皆、席についてくれたまえ。
今からエゾン・レイギスの魔法についての授業を開始するよ!」
「ああ、お願いするよミリィ先生」
俺は自分の席に着いた。
そして優羽花も俺の右隣の自分の席に着く。
続いてヒカリも宙から床に舞い降りると俺の左隣の席に着いた。
ちなみに俺は涼しい顔をしているが、
ミリィに”好き”と言われて内心かなり動揺している。
俺は25歳童貞なのである。
そんな俺が異世界のハーフエルフ美少女に好きなどと言われて、
落ち着いてられる訳が無いのである。
そんなこと言われたら俺は勘違いしてしまって好きになってしまいかねないから!
そういうドキっとする物言いはなるべく禁止でお願いしますよミリィさん!
「…お兄。
鼻の下伸びてる」
優羽花がジト目で俺を見ながら言葉をかける。
うお!?
流石は妹歴16年の我が妹、俺の動揺がしっかりと見透かされている…。
でも仕方が無いだろ!
俺は元の世界で妹歴16年の優羽花と静里菜以外の女の子とは
親しい交流が無かったのだから。
…童貞を見くびるなよ!
童貞歴25年は、伊達じゃない!
俺は鼻の下を抑えながら顔を引き締めると、教壇に立つミリィに向き直った。




