第190話 成果
「…きゃうン!
お兄様あっ!?」
「あっ、ごめんポーラ…強くし過ぎたかな?」
「いいえ…そんなことはありませんわ。
ちょとだけ、びっくりしただけですから…。
でも…これでわたくしは前よりも…
お兄様と距離が近付いた感じがします…。
だから…ポーラ、今とても幸せです…」
ポーラ姫はとても満足そうに微笑んだ。
「…ねえ、兄君様…
ポーラばっかりズルイよ…
ボクはまだ満足していないんだからね…
さあ次はボクの番だよ…
もっとボクに"ぷにぷに”してよ…」
背後から俺の腕に絡みついて、
頬を赤らめながら俺に訴えかけるミリィ。
「…ああ、お兄様…。
まだわたくし満足していませんわ…
もっとお兄様の”つんつん”を下さいの…」
その美しい碧眼を潤ませて、
俺の袖を掴んで懇願するポーラ姫。
二人の異世界美少女が…
熱い目線と声を俺に投げかけて…
俺の力強い(鉛筆の)”突き”を欲しがっている…。
こ、これは、童貞歴25年の俺に取っては刺激が強すぎるというものだ…。
だが、俺は男である前に兄なのである。
だから俺は兄として…邪な心を打ち払い、
ただただ、妹たちの望みを叶えるべく行動するのみである。
「ああ、わかったよ…
ミリィ! ポーラ!
二人ともっ!
いくぞおおーー!!」
俺は気を高め、右腕に集中させた。
そして常人では目にも止まらないであろう超高速度での鉛筆頬突きを行使する。
鉛筆を持った右手をミリィとポーラ姫、ふたりの妹の頬の間に同時間に動かして、
間を一切開けることなく…
妹達の頬を優しく愛でる様に突きまくった。
地ノ宮流気士術の技のちょっとした応用である。
「ふぁあっ! 兄君様あ! 凄いよおっーーー!!」
「きゃあン! お兄様凄いぃーー!!」
「まだまだだ二人とも!
俺の鉛筆頬突きは秒間108発まであるぞおッ!!」
俺の突きは音速の壁を越えた。
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「あ、兄君様…凄いよ…ボクぅ…もう…ダメぇ…」
「ああ…お兄様…凄いですぅ…もうポーラ立ってられませんのぉ…」
二人の妹は息を荒げてその場に横たわっている。
以前にも今と同じような事があった…”超高速度頭ナデナデ”。
だがあの時と違い、自分の身体がよろめくなどということは無かった。
自身の体力がだいぶ戻って来ているのである。
俺は鍛え直しの成果が出て来ている事を実感した。
この調子で鍛え直していけば、
そう時間が掛かることなく短期間で引籠り前の全盛期まで戻すことも可能であろう。
俺は鍛え直しの場を提供してくれたポーラ姫、
そして組手相手として付き合ってくれている姫騎士団に改めて感謝した。




