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第174話 整然

イチョウからもモミジからも、

自身を大切にすると言う言葉を聞いて

俺はほっと胸を撫で下ろした。

妹たちには兄である俺などでは無く、

何より自分の身を第一に考えて欲しいのだ。

そして幸せになって欲しい…

その為に彼女たち妹たちの背中を

そっと押すのが兄である俺の役目なのである。


「それではケイガ兄様。

わたくしイチョウは自身を最も優先します。

そしてその思いのままに振る舞わせて頂きますね。

…兄様、早速わたくしと口づけして下さいませ」


「ファッ!?」


俺は仰天して間抜けにぽかんと口を開けてしまった。


「いやちょっと待ってイチョウ。

自分の身を大切にって今言ったばかりなんじゃ…」


「はい、わたくしは自分を最優先しました。

兄様の思いなんて関係ありません。

わたくしは兄様と口づけがしたいのです。

だから…はやく…」


イチョウが俺におもむろに唇を寄せて来た。

いやいやいやちょっと待ってええ!?


「…イチョウ駄目」


モミジが俺とイチョウの間に割って入って制止させた。

うん、正直助かった…。


「兄様と先にキスするのはわたし。

モミジも自分を最優先する。

兄様も、自分以外の姫騎士団(プリンセスナイツ)にも遠慮しない。

他らなぬわたしが一番先」


そう言うとモミジは俺の顔に唇を寄せて来た。

いやいやいやいやちょっと待って二人ともお!?

何か違うぞ!

俺の気持ちを二の次にした結果、

以前よりも増してキスを求めて来るって何かおかしくないか!?


「イチョウ、モミジ。姫様とミリィ様の御前でもあります。

団長として命じます、ここは引きなさい。」


「物事には順序と言うものがあります。

いきなり急ぎ過ぎでしょう。

まずはケイガ兄様に心の準備が出来てから口づけを求めるべきです」


シノブ団長とクレハがイチョウとモミジを制した。

えっ…俺の準備が出来たら別にしても良いのかクレハ?

そして他の姫騎士団(プリンセスナイツ)の団員も集まって来た。


「ちょっとふたりとも! いきなり大胆過ぎませんこと?」


「…ちょっとびっくり…」


抗議するイロハとツツジ。

何だかこの場が騒然としてきたぞ。


「静まりなさい、わたくしの姫騎士団(プリンセスナイツ)。」


其処へポーラ姫が物静かでありながら周囲に響く声で言葉を放った。

これは絶対的な王者の物言いとも言うべきであろうか。


「「「はっ、姫様!」」」」


ポーラ姫から掛けられた言葉に

姫騎士団(プリンセスナイツ)一同は団長の元に瞬く間に整列すると、

その場に跪いて(ひざまずいて)臣下の令を取った。

その整然した見事な礼式に俺は感心した。

そしてその立ち振る舞いから、

彼女たちはこのエクスラント聖王国の正式な騎士であり、

軍人であるということを改めて実感した。

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