第16話 光の精霊
「ああ、俺は兄だから優羽花はお兄って呼ぶんだ。でも君は小さいからお兄じゃなくてお兄ちゃんかな?」
俺は腰を下ろすと、髪から服まで真っ白な幼い少女の頭を撫でながらそう答えた。
「お、にい…ちゃん?」
「うわあ…水知らずの幼女にお兄ちゃん呼びさせるなんてキモい! 本当にキモい! 馬鹿じゃないの!」
突然怒り出す優羽花、俺はその剣幕に優羽花の幼い頃の出来事が頭によぎった。
俺がもう一人の妹、静里菜に優しくしていたら優羽花が突然怒り出した事があったのだ。
”おにいちゃんとらないでー”とも言ってたっけ。
だが優羽花はもう16歳。まさかこんな小さい子相手にそんな事を思う訳は無いだろう。
「優羽花何言っているんだ、これぐらいの年の子はお兄ちゃん呼びが普通だろ? 大体お前だってそう呼んでいたじゃないか」
「あ、あたしはそんなこと言ってないし! 昔のことなんていちいち覚えてないし!」
「おにいちゃん…ゆうか…ケンカ…だめ…」
白い幼い少女は俺と優羽花の裾を掴んで仲直りする様に言葉をかけた。
「うああ…可愛い…ごめんねお姉ちゃんたち別にケンカしてた訳じゃないんだよー」
優羽花は笑顔で幼い少女に抱き着いて謝った。そういえば優羽花は可愛いものには目が無かった気がするぞ。
しかしケンカ吹っ掛けてきたのは優羽花な気がするんだが?ちょっと調子良すぎやしませんか我が愛しい妹よ。
「ははっ、ごめんなー俺は全然ケンカしてないんだけどなー。このおねえちゃんが何故かよく怒るんだー」
俺はそう言って幼い少女の頭を撫でて謝った。
「そういえば君は何者なんだい? 君が喋ると俺たちにこの眼鏡や剣が贈られた様に見えたんだが…ここの責任者みたいなものなのかな?」
「せきにんしゃ? わからない…わたしはひかりのせいれい」
光の精霊?何かすごく異世界っぽい言葉を聞いた気がするぞ。
たしかに彼女には人間離れした雰囲気がある。
「おにいちゃん、ゆうか、きいて。わたし、いまから、ちきゅうからきたあなたたちにせつめいをする、そのためにわたしはここにいる」
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