第15話 専用装備
俺たちが白い岩に手を触れると、その岩の上が輝いて、髪から着ている服まで真っ白な一人の幼い少女が現れた。
彼女は俺たちを見据えると口を開いた。
「鳴鐘 慧河、鳴鐘 優羽花、両名の接続を確認!専用装備同期照合!専用装備選択完了!専用装備付与!」
そして白い岩の正面から光の球が二つ出現して、俺と優羽花の手の中に納まった。
「鳴鐘 慧河、見通しの眼鏡!」
幼い少女の声と共に俺の手の中に眼鏡が現れた。
フレームが少し高そうな感じがするが普通の眼鏡である。
とりあえず掛けて見るか。度は入っていない様だ…伊達眼鏡なのか?
「鳴鐘 優羽花、星剣エクシオン!」
続いて優羽花にも幼い少女の声が響いた瞬間、その手の中に一振りの剣が現れた。
少し豪華な装飾が施された西洋の両刃の長剣。
「な、なにこれえー!? お、お兄? これどうしたらいいのー?」
優羽花は剣をその手に構えたまま俺に近づいて来た。
「うわあ!? 危ないぞ優羽花っ! お兄ちゃん妹に刺されたくはないぞっ!?
…ちょっと待て? 随分と軽々持っている様に見えるが重くは無いのか?剣は金属の塊だから結構重いはずなんだが?」
「うん? 別に重くは無いよ。お兄も持ってみる?」
そう言って優羽花は軽やかに俺に剣を手渡した。
「…えっ? コレ凄く重いっ!?」
この剣はその金属量以上の重さがあるぞ。
つまりどういうことだ?
さっきあの幼い少女は専用装備とか言っていた気がするんだが、この剣は優羽花の為の専用武器ということなのか?
そういえば俺もさっきの眼鏡を掛けた時から優羽花の頭の上に250という数字が見えるんだがこれは何の数字だ?
そのほかにも読めない文字で書かれた文章みたいなものが見える…。
「…とりあえず剣は返すぞ優羽花。この剣はお前専用みたいだからな、俺には重くて使えないみたいだ」
「あたしにはお兄が何言っているのかよくわからないけど…あたしが持ってれば良いんだよね」
優羽花はそう答えると軽々と俺の手から剣を取り上げた。
「それにしてもさー、お兄、急に眼鏡掛けてるけど…あははっ、おかしー。何だかお兄が急に頭良くなった気がするんだけどおー」
「おかしーってお前なあ…それに兄さんだって足りない頭なりに色々考えているんだぞ?」
「…知ってる。だから頼りにしてるからね、お兄!」
「まったく、調子いいよなあ…まあ、任せとけ!」
「おにい?」
岩の上に居た白い幼い少女がいつの間にか俺の側に居て、俺の服の裾を掴んで話しかけてきた。
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