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第119話 極光

「へえ…ケイガクン、その状態でも(かわ)せちゃうんだ?

それならこれならどうかしらネ?」


 リリンシアの髪が無数に枝分かれして宙に浮く。

 そのひとつひとつがムチの如くしなると、

 唸りを上げて次々と俺に振り下ろされる。


 だが俺は臆することなく『瞑想(めいそう)』を行使したまま、

 リリンシアの嵐の様な連続攻撃を最小の身体の動きで(かわ)し続ける。


 心を静め、雑念を無くし、

 精神がクリアになっている分、相手の動きが良く視える。

 むしろ通常時よりも感覚が冴えている。

 リリンシアの繰り出す全方位攻撃は強烈だが、まるで当たる気がしない。


 俺は今まで『瞑想(めいそう)』をしている間は無防備になってしまうから、

 戦闘中に使うのは難しいと思い込んでいたが…

 それは単なる思い込みであった様だ。

 おそらく俺の師匠も戦闘中に『瞑想(めいそう)』を行使していたのだろう。


 『地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ』は”気”があってこそ使える。

 気の量が多ければ技の威力は増し、連続で技を使用することも可能になる。


 つまり戦闘中に『瞑想(めいそう)』を使って常に気を高めていれば、

 技の幅が大きく広がって強くなれると言う訳だ。

 師匠は俺より遙かに強かったが、

 確かに俺よりも高い気を常に持っていたのである。


 俺は地ノ宮流(ちのみやりゅう)気士(きし)として、

 一皮剥ける事ことが出来たのかも知れない…。

 少しは師匠に近付けただろうか?


「はあッ!」


 俺は大きく息を吐くと両腕を身体の真芯に構えた。

 そして『瞑想(めいそう)』で限界まで高まった気を両手のひらに収束させる。

 『地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ・五の型、流星(りゅうせい)』の構え。

 高めた気をエネルギー波にして放つ、いわゆる気功波系統の大技である。


 だがこの『流星(りゅうせい)』を持ってしても、

 リリンシアに通じるかは(はなはだ)だ疑問である。

 魔界五軍将という存在(もの)を俺は決して見くびりはしない。


 だから俺は…今まで実戦では一度も使ったことの無い、

 極限まで高めた気を巨大なエネルギー波にして放つ

 気功波系統の最高の技で勝負に出る。

 この技の為に俺は『瞑想(めいそう)』を使って自身の気を極限にまで高めたのである。


「行くぞリリンシア!

お前が『闇の精霊』だと言うのなら!

この『光』の攻撃に耐えられるか!」


「えっ…光!?」


地ノ宮流気士術ちのみやりゅうきしじゅつ五の型・改、極光(きょくこう)!」


 俺の両手のひらから放たれた巨大なエネルギー波は閃光となってリリンシアを直撃した。

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