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第112話 具体的に

「いや…その…俺は静里菜(せりな)に結構酷いことをしたと思うんだが…」


「ですがわたしにはその心当たりが…

兄さん、申し訳ないのですが

具体的にその内容をおっしゃって頂けませんか?」


 えっ…ええっー!?

 俺の口からその悪行を逐一言わないといけないのッ???

 な、何…?

 これは精神的な拷問みたいな感じがする…。

 …し、しかし…今回の事は100パーセント俺の方に責がある。

 そんな悪逆非道の兄である俺が、

 何の罪も無い愛しい妹からお願いされれば、

 為すがままに答えるしかないのである。


「そ、それでは…こほん。

この俺、鳴鐘 慧河(なるがね けいが)

静里菜に対して、

欲望のままに振る舞った行為について告白したいと思う…」


 正直な所、俺はとてつもなく肩身が狭い。

 コレ…様は…”懺悔”ですよね…?


「兄さーん!」


 そんな俺を静里菜は拍手で出迎えた。

 いやいやいや!?

 静里菜サン!

 何かおかしくないですか?

 俺、今から貴女に対しての罪の告白をするところなんですが。


「俺は…静里菜を強く抱きしめて、触りまくって、巫女服の感触を好きなだけ堪能しました…。

これは兄として、いけないことだと思います!」


「ですが兄さん。

わたしはその前に

『もっと触っても良いんですよ?』と、ことわりの言葉を述べました。

ですからこのことは何の問題もありません」


「…確かに…そうだった…。

で、でも!

俺は(たか)ぶった巫女萌え力(みこもえぢから)”の余り、

思わず静里菜(せりな)を押し倒してしまいました…。

これは兄として、いけないことだと思います!」


「けれど兄さん。

わたしはその前に

『わたし、兄さんのこと…全部受け止めちゃいますから」』と言葉をかけています。

ですからこのことも何の問題もありませんよ」


「…えっ、そう…そうなのか…?

し、しかし!

俺は!

押し倒した静里菜の頬に手を添えて!

『可愛い』なんて甘い言葉を囁いて!

そのまま静里菜の唇に俺の唇を近づけて!

あろうことか!

静里菜と唇を重ねようと思いました!

これは兄として、とてもいけないことだと思いますッ!!」


 俺は顔を真っ赤にしながら最大の悪行の告白をした。

 顔が熱い。

 まるで火が出ているかのようだ。

 ああ…俺は何てことをしてしまったのだろう…。

 改めて自身の愚かな行動を思い知らされた。

 そんな後悔の念に沈む俺に対して、

 静里菜はにこやかに微笑んで言葉を述べた。


「でも兄さん。

わたしはその前に

兄さんに対して”同意”をしました。

ですから、これも何の問題もありませんね。

はいっ、これで兄さんの無罪は確定しました!」


「…ええっ…あ、確かに、そう…そうだった…。

確かにあの時、静里菜は俺に対して”同意”してくれた。

だから俺はそのまま唇を近づけて…

でも俺がそこで夢のセカイとしての違和感を感じて、そこで動きを停めて…」


 あ、あれ…?

 確かに…

 俺が思いのままに振る舞う前に…

 静里菜は俺に対して”許可”をしていたって事なのか?

 むしろ、静里菜が俺を受け入れてくれるから…

 俺は安心して…

 ここまでの行為に及んでしまったということなのか?


「兄さん」


 静里菜は俺の瞳を覗き込む様に見つめながら呼びかけた。


「でしたら…今から”続き”をします?」

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