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勇者の弟  作者: ドル猫
第1章『〜幕開け〜王都からの手紙編』
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第1章 12『欲しい物』

 アークトゥルス山脈を下山して二十分。最高速度を落とすこと無く道中の林と草原を突っ切り、気付けばルーフに到着していた。

 この街は、王都とアークトゥルス山脈の中間にあり、王都までの中継地として使われている街である。

 王都から一番近い街と言うだけあって、活気が溢れ、色々なお店が鎮座しているそれなりに大きい街だ。


「馬も疲れちゃったんで暗くなる前に今日はこの街の宿に泊まりましょう」


 茶髪の妹の方がそう提案し、祖父と兄の方は賛成をする。アスタは──


「あれ?お客さん、どうしたんですか?」


「あ…、あ……」


 グロッキー状態になっていた。度重なる揺れと浮遊感の所為で、時折透明な胃液を外に吐き出しながら馬車の中をのたうち回り、腕や脚などを壁や床にぶつけて、意識を半分失った状態で此処に到着したのだ。


「すいません…、ちょっと休憩させてください」


「だからそう言っているじゃないですか」


 アスタの口から出てきた言葉は身体を休ませるよう求める内臓からの依頼だった。既に胃の中身は何もなく、吐ける物はない。視界が揺れて上手く立てない。治癒魔法を使っても酔いは取れない。──八方塞がりだ。


「す、すみません…」


「いえ、いいですよ。僕達もやりすぎましたし」


 アスタは御者の肩にもたれ掛かり、どうにか目的地の宿まで足を引き摺りながらも、なんとか到着した。


「はい。え〜と、四名でお泊まりになられますか?」


 宿のロビーに着くと、既に妹の御者が色々な手続きをしていたらしく、宿の従業員と何かを話し合っている。フライデンは、少し離れた椅子に腰を掛けていた。


「あ、はい。一泊でお願いします。後これ、私と兄のギルドカードです」


「はい。ご拝見させていただきます」


 御者がギルドカードと呼ぶ物を手渡し、従業員が何かと照らし合わせながら、カードの裏の文字を水晶で読み取っていた。


「はい。ご確認が完了致しましたので、こちらお返ししますね。……今回の宿泊料金は食事、お風呂込みで銀貨二枚と銅貨九枚となります」


「はい。じゃあこれで」


 丁度の金額を従業員に手渡し、宿着を手渡された。


「ありがとうございました。旅の疲れをどうぞお癒やしください」


 対応していた女性の従業員が部屋の番号が書かれた鍵を手渡し、廊下への扉を開けた。


「お客さんとお兄ちゃんは先に部屋に行ってて。私は近くに馬小屋を貸してくれる所がないか探してくるから」


「気をつけてなー」


 これで男三人になった。アスタは体調が戻らないまま、御者の肩にもたれながら五分掛けて、今日泊まる部屋に着いた。


「おお、これまた風情のある」


「ええ、ここは大陸内でも有数の『ワフウ』と呼ばれる宿の一つなのですから。ギルド割引きが無ければここには泊まれませんよ」


「──ギルド割引き……。ねぇ、そのギルドってなんなんですか?」


 アスタは部屋にある椅子に重い腰を掛けて全身の脱力をしながら御者に質問した。


「ギルドって言うのはね、商人達で言うところの商会さ。例えば、街を歩いていた衛兵達、彼らもこの街の衛兵ギルドに所属している者達だ。大体の者は何かしらのギルドに所属しているよ。ギルドに所属していると毎月、給料の二パーセントはギルドに持っていかれるけど、ギルドでの地位を身に付ければ、僕らのように宿とかで破格の待遇を受けられるのさ」


 御者はペラペラと二人に分かるようにギルドの事について説明した。


「じゃあ、お二方はどこのギルドに所属しているのですか?さっき値段表を見たけど、この宿凄く高いですよ。一人一泊金貨ニ枚。それを四人も泊めてあれだけで済まされるなんて、そんなに若いのにどうやって実績を積んだんですか?」


 話を聞きながら、調子を取り戻してきたアスタは部屋にあったおもてなし用のお茶を飲んだ。

 お茶を喉の奥に通した後、二人の事とこの破格の待遇について興味が湧き、続けて質問をした。


「君程若くはないけど、僕らは物心ついた時から父から御者としての心得や仕事を教えられていたんですよ。

 だから、十歳の時に父が作ったギルドに所属して三年間、父の隣で御者の仕事の手伝いをしていました。おかげで、僕と妹はここまで実績を積むことが出来たんです。今は、父から独立して個人のギルドで活動しています」


「ん?ギルドって作れるんですか?」


「はい。条件が幾つかありますが、ギルドは誰でも立ち上げることが可能です」


 個人のギルドで活動している。アスタは、その言葉に反応して更にギルドについて聞きたくなった。


(ギルドが作れれば、今後の資金繰りも多少楽になる)


 まだ正式にではないが、レイドが勇者になった為、ホーフノー家には次代の勇者が出るまで、国から月毎(つきごと)に家族一人につき、金貨十枚を渡されていた。アスタと祖父もその金で生活をしているのだ。だから、父親と母親が引っ越した後でも老人と子供の二人で生活ができている。


「で、その条件と言うのは?」


 この時、アスタはその条件が簡単なものなら、今すぐにでも個人ギルドを立ち上げてしまおうと思った。実績もすぐに積められとも考えたからだ。


「まず第一に、年に一度、年費をギルド協会本部に納めないといけません」


「…年費ですか。それって、いくらぐらいになりますかね?」


「実績がある、ないに関わらず、一律で銀貨五枚ですね。一回でも払うのを忘れてしまうと、その時点でギルドカードは使えなくなってしまいます」


「なるほど…」


 このくらいは想定済みだった。毎月の天引きがあるとは言え、実績を積めばここまでの好待遇が受けられるのだ。タダで作らせる訳にはいかない。


「他の条件は?」


「……これは言いづらいのですが、個人でギルドを作れるのは十六歳からなんです。僕らは親のコネがあったので、十三歳で特別にギルドを作るのを許されたんですが……」


「そう…ですか…」


 予想はしていたが、やはりそうだった。この国での成人年齢は十六歳。それが最低条件になることは話を聞き始めた時点で分かり切っていた。


「ま、まあ、アスタくんも十六歳になればギルドを作れますよ。それに、職によっては十六歳以下でも国家公認ギルドに入れるようになれますので」


 御者はアスタを慰めるように背中を叩いて励ましの言葉を送った。


「はい…。精進します…」


 アスタは折角の節約のチャンスを棒に振ったような感じがして、分かるように肩を落とし、先程までの上機嫌が無くなっていくのが見てとれた。


「アスタよ、お前にまだギルドは早すぎる。少しは身体を落ち着かせて、ゆっくりとした目線で世間を見るといい」


 フライデンから、年長者としてのアドバイスを貰うが、アスタは拗ねた表情をして黙っている。御者はそのアスタの表情を見て、愛想笑いをしながら窓を開ける。

 換気はアスタ達が入る前に事前にされてはいただろうが、今は、この沈んだ空気を戻したかったからと、まだ二人の馬車酔いが抜けていなかったから、こんな風になっているのだと思い、少しでも心地の良い風を当てる為に窓を開けたのだ。


「妹が戻って来る前に、先に僕らで浴場に行きますか?」


 時間は午後四時。身体を流すには少し早い時間だが、ここまでの長旅で少々服が汗ばんでいた。


「ここの浴場には、『デンキ風呂』と言う風呂があるらしいんですよ」


「ほう、それは楽しみじゃな」


 デンキ風呂と言う言葉に耳を傾けたのは祖父だった。初めて耳にする単語、アスタもそれが気になった。


(デンキ風呂……、伝記を読みながら風呂に入るのか?)


 そう思った時、外から聞き覚えのある悲鳴が聴こえてくる。


「ちょ、ちょっとやめてください!!」


「へへへ、つれねえな姉ちゃん。仕事なんかほったらかして、俺らと楽しいことしようや」


 アスタは聞き覚えのある声から何事かと思い、窓の外を覗く。

 外では二人のゴロツキが御者の妹の腕を掴んで、何やら如何わしい誘いをしている。周囲を一目見てみるが、通行人達は関わりあいたくないとそっぽを向いている。どうやら、このゴロツキ達、ルーフでは悪名が高いらしい。


「リム!今助けに…」


 その光景を見た途端、御者の兄の方は焦った顔つきになり、部屋を飛び出そうとしたが、


「ちょっと待て」


 腕を引っ張り、祖父がそれを静止させた。


「何をするんですか!?このままじゃリムが…」


「アスタ、いけるか?」


「準備運動には丁度いい相手かな」


 焦る御者を止める中、祖父はアスタに戦えるかと問う。答えは勿論、「はい」だ。


「この街では魔法は禁止されてる。くれぐれも使わないよう気を付けとけ」


「分かりました。師匠」


 アスタはそう返事をすると、俯瞰的にゴロツキ二人を見下ろしながら裸足のまま、窓から飛び降りてゴロツキ二人の目の前に姿を見せた。


「あ!?なんだテメェは!!」


 上から降って湧いたアスタに一人が威圧感を出すように睨みつける。


「その女性を離してもらおうか。彼女は僕が雇った御者だ」


「ああん?そんなに返してほしけりゃ、力付くで取り返すんだな!!」


 一人のゴロツキが問答無用でアスタに殴りかかる。


「おっと」


 しかし、アスタは後ろに半歩分跳躍して避ける。


「オラぁ!!」


 続けざまにゴロツキは何度もアスタに殴りかかる。しかし、アスタは全ての攻撃を紙一重で回避し、右腕の大振りの後、ゴロツキの腹に軽いジャブを入れる。


「テメェ、やりやがったな!!」


「おい、このガキ殺すぞ」


 ゴロツキ達は一発殴られた腹いせに殺意を出しながら懐から大きめのナイフを取り出した。

 だが、二人がかりでアスタを襲おうとした為、この時点で人質となっていた御者の妹は解放された。


「死ねやぁぁ!!」


 一人がナイフの先端を向け、アスタを刺そうとする。


(なんだこいつは?動きが遅すぎる)


 見た目のわりに素人感丸出しの動きに驚いて、反応に困ったが、アスタは身体の姿勢を低くし、ゴロツキの足を足払いする。


「うおっ!?」


 足払いされ、体勢が崩れたゴロツキはそのまま顔から地面に激突する。その反動でナイフが通りに放り投げられ、地面に突き刺さる。


「こ、この野郎!!」


 次にもう一人のゴロツキがアスタに向けてナイフを投擲する。


(さあ、ナイフが突き刺さって死ぬか、俺にタコ殴りにされて死ぬか選びな!)


 ナイフは回転しながらアスタに向かって迫ってくる。それと同時にゴロツキも正面から走り込んでタックルを仕掛けようとする。


(こいつはそれなりに手慣れてるな。あの体格差でタックルされたら、流石に体勢が崩れるか──。なら)


 アスタはこちらに迫るナイフを避け、ゴロツキのタックルを甘んじて受ける。


「もらった!!」


 ゴロツキは勝利を確信したように笑みを浮かべ、アスタの体勢を崩し、馬乗りになる。


「死ねやぁぁ!!」


 そして、アスタの顔面に向かって殴りかけた時、ゴロツキの動きが止まる。


「うっ…、テメェ…」


「おいおい、そんなに顔を近づけるな。息が臭い」


 アスタはそう言い、倒れようとするゴロツキの金的に力いっぱい蹴りを入れる。


「ガッ!?ゲフ……」


 泡を吹いている。完全に気絶させた。


 通行人が一体何が起こったんだと倒れたゴロツキに近づく。


「──これは…」


 なんと、ゴロツキの背中にナイフが刺さっていたのだ。

 あの時、アスタが馬乗りにされた際に地面に刺さったナイフを足の指で拾って、そのまま背中に突き刺したのだ。


 その光景を見た、最初に足払いされたゴロツキは「ヒイイ」と怯えた声を上げながら足早にその場を離れようと地面から立ち上がって、走り始めた。アスタはまだ完全に気絶させてなかったことに気付き、魔法を使おうと右手を出した。


(あ、この街は魔法禁止だった)


 アスタは祖父の言葉を思い出し、魔法の発動を中断する。しかし、このままではゴロツキに逃げられてしまうと思った時、


「まだまだ詰めが甘いな」


 二階の窓からダイブしながら祖父がゴロツキの首に手刀を入れる。

 そのまま、逃げだしたゴロツキは白目を剥いて気絶した。


 それを見ていた通行人や住人はアスタと祖父に向かい、喝采を上げた。アスタは見ていたんなら少しは手助けしてくれよと言いそうになったが、(すんで)の所で我慢した。


「そいつを殺してはいないだろうな?」


「大丈夫。急所は外した」


 祖父はアスタに向けて、ナイフを刺したゴロツキの安否を確認する。祖父は、少し厳しい口調と目つきになってはいたが、脈が動いているのを確認すると、一息吐いて、孫が人殺しをしていない事に安堵した。

 それから数分後、衛兵が遅れて駆けつけて来た。衛兵が最初に現場を見た時、彼らは自分自身の目を疑っていたが、この状況が真実である事を知ると、仲間を数人呼んで、気絶したゴロツキ二人を連れて行った。


「これを、君がやったのか?」


「ええ、一人は僕がやりました。ナイフが刺さっていない方は祖父が仕留めましたが」


 残った衛兵の質問に答えると、衛兵は少し悩んでいるようだったが、通行人や御者が証人としてアスタの無実を証明してくれた。


「坊や、今回の件は此方でどうにかしておく。これからは、くれぐれもやり過ぎないように」


「分かりました。以後、気を付けます」


 衛兵に注意だけをされて、この場は丸く収まった。


 暫くして部屋に戻ると、兄の膝の上で御者の妹のリムが泣きじゃくっていた。


「ふぇ〜ん、お兄ちゃん怖かったよ〜」


「よ〜し、よし。もう大丈夫だからね」


 どうやらさっきまでは見栄を張っていたらしく、今になって緊張感から解放され兄に甘えてしまっている。


「風呂にでも行きますか」


 アスタは空気を読んで部屋を二人だけの貸切にさせ、大浴場へ向かった。


△▼△▼


「おお…、これがデンキ風呂か…」


 汗まみれの身体を洗い流し、二人はお目当てのデンキ風呂に浸かる。


(なんだ…ただの普通のお湯……ん?)


 二人は肩まで浸かり、デンキ風呂が何かを確かめるべく己の身体を実験体とする。

 入ってから数秒間は何ごともなかった。普通の暖かいお湯であった為、身体を湯に預けた。すると、風呂の底に埋められていた魔石が光り、突然雷のような衝撃がアスタを襲う。


「いったぁ!!」


 安心して身体の全てをお湯に預け、脳の回転を一時的に緩めた。しかし、その判断が命取りとなった。足元から流れてくる電流、そのまま水が電気を通しやすい性質で背中まで微弱の電流が走る。


「な、なに?なにこれ?」


 アスタがデンキ風呂に驚いている反面、隣に座っている祖父は何事もないようにリラックスした表情でお湯に浸かる。


「お爺ちゃん、大丈夫なの?」


「──ん?ああ、寧ろ丁度いいくらいの痛みじゃ。旅の疲れが取れるのぉ」


「ええ…」


 この風呂は老人には丁度いいのか。その疑問を残し、アスタはデンキ風呂を後にする。


「ふぅ〜」


 デンキ風呂から上がり、近くにあった別の広い風呂のお湯に浸かる。


「やっぱ普通が一番だよ」


 肩までお湯に浸かり、今度こそ疲れを取ろうと全身の力を抜く。


「──ん?でもこのお湯、なんかスベスベ……、いや、ぬるぬるしてるのか?」


 お湯加減を確認しながら腕を触ると、微妙な滑り具合を感じた。


「あ、ここにいたんだ」


 そこに御者がやって来た。


「お隣、いいかな?」


「お構いなく」


 二人は全身をお湯に浸し、目柱を薄めて一息吐く。


「それにしても、『ヒノキ風呂』に入るなんて渋いね」


「ヒノキ風呂?」


 御者はアスタの方を向いて話しかける。お湯と湯気の熱のせいなのか、御者の顔が赤裸々していた。


「ヒノキはゲミシトラ近辺の森で取れる木の一種だよ。樹脂に粘り気があってね、怪我にも効果があるらしく、傷薬とかにも使われているんだよ」


「なるほど、だからこのお湯もぬるぬるしているんですね」


 アスタは粘り気の正体が解り、腕を伸ばす。


(少し…のぼせてきたかな?)


 話を聞いている内に身体も大分温まってきて、そろそろ風呂を上がろうと思った。その時だった。


「君には、まだお礼を言ってなかったね」


「お礼?」


 御者がアスタを引き止める様に言葉を発した。その声は終秋の鈴虫の様に小さく、掠れた声色だった。


「妹を助けてくれてありがとう」


 御者は頭を下げてアスタにお礼の言葉を送る。その言葉を聞いて、アスタも堪らずもう一度お湯に浸かる。


「正直なところ僕一人じゃ、あの場を乗り切る事は不可能だったんだ。最悪殺されていたかもしれない」


「……頭を上げてください。僕はただ、自分が今ここで行動をしないと後悔をすると思ったから実行しただけです」


 白い湯気が浴場を包み込み、生暖かい空気がどこか心地よい。


「それに、あの中で一番勇敢だったのは間違いなく貴方でしたよ」


「え?」


 意外な一言に下げた頭を元に戻す。新陳代謝が活発となる時間帯に御者は目を見開き、此方(こちら)の方を向く。


「貴方は、僕よりも先に妹さんを助けようと行動しました。結果的にお爺ちゃんと僕があいつらを撃退しましたが、自分が死ぬかもしれない状況でも、自分の命を顧みずに妹さんを優先した貴方を……、僕は尊敬します」


 ぶくぶくぶく


 御者がお湯に頭まで浸かり、身を隠す様に水泡をだしながら十秒程潜っていた。


「そんなこと言われたら…、照れるじゃないですか」


 御者は頬をお湯の温度と身体の熱で赤く染めながら、目を丸くして伸びをした。


「でも、結果として妹を助けたのは間違いなく君だ。僕は御者だからね、貸し借りは直ぐに済ませておきたいんだ。僕に(なに)かお礼をさせてくれ」


「あ〜、それなら……」


 アスタはお礼という言葉に耳を傾け、頭に浮かんだことをそのまま伝え、風呂から上がった。


△▼△▼


「本当にこんなのでよかったのかい?頼んでくれれば一年間、半額サービスとかもしたんだけど」


 男衆三人は十分に温泉を堪能して部屋に戻り、旅館着である『ユカタ』に着替えた後、御者の奢りで風呂上がりの牛乳を一気飲みしていた。


「──ぷはぁ!僕は今欲しい物を言っただけです。それ以外に、今は何もいりません」


 口元に牛乳の白い跡をタオルで拭い、牛乳瓶を回収箱に置く。


「あ、おかわり貰いますね」

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