第二十話
大変遅れて申し訳ごさいませんでした。
どうも馬鹿勇者がうざすぎてぶち切れそうなアイラです。
何とか城に着きましたが、馬鹿勇者に対するヘイトがヤバイです。
というか今すぐにもぶっ○したいです。
でも、ぶっ○してしまうとオズワルド王国と戦争することになってしまうため、難しいのです。
だから、今は我慢しています。
「アイラ様、ご苦労様です!」
門番が敬礼した。
「貴方もご苦労様」
「いえいえ、とんでもない! 僕は唯の門番でしかないので、お気に召さずに。」
「う~ん、分かったわ。
門番頑張ってくださいね?」
「はい! 畏まりました!」
そうやり取りして、勇者パーティーに手招きして、門を潜った。
◆◆◆
玉座の間・扉前
「それでは勇者様、聖女様、剣聖様、賢者様、王女エリザ様、私の両親である皇帝と后妃に逢わせますので、少しお待ちください。」
私は馬鹿勇者とパーティーメンバーにそう伝えて、扉をノックした。
「誰じゃ?」
「アイラです。
勇者パーティーをお連れしました。」
「良かろう、入れ。」
許可を貰い、私は3歩ほど後ろに下がった。
すると扉が縦に割れて、此方へとゆっくり開いた。
そして、完全に開いた時に私は馬鹿勇者達を連れてました玉座の間に入った。
勿論、カーテシーも忘れずにね。
玉座の間に入った後、玉座に腰を降ろしているお父様とお母様の前に行き、ドレスの裾を持ち上げてお辞儀した。
それに釣られるようにパーティーメンバーもお辞儀した。
勇者も多分敬礼しているだろうとチラリと覗くとボーと突っ立っていた。
(この馬鹿勇者があああああああああああ!! 敬礼くらいしろよおおおおおおおおおおおおお!!)
そう心の中でふざけるなと怒りの目で睨むと馬鹿勇者は何を思ったのかにこりと微笑んだ。
てめえ、馬鹿にしてるのか? お前はオズワルド王国で学んだんじゃ無いのか? 作法を学んだんじゃ無かったのかよ。
あっ、ヤバい! お父様が青筋が浮いてるし、お母様はずっとニコニコと微笑んでるけど目が笑ってない。
というか怒ってる!!
(ああ、どうしようどうしよう!!)
と思ったらエリザ王女は気付いたのか小さい声で敬礼するようにと伝えて、馬鹿勇者は「ヤベーヤベー忘れてたわ(笑)」と小さくボー読みで言って、お辞儀した。
それと笑うんじゃねぇ!! ほら見てみろよ、お父様の青筋が凄いことになってるし、お母様も目が冷めたモノになってるし、あと少しでヤバいところだったよ。
とりあえず、目で「お父様、お母様、ここは何とか抑えてください。」と訴えて何とかなった。
もしも二人を起こらせてしまうと私みたいに天井にぶっ刺さる程度で済む話じゃない。
むしろそれはまだ優しい方だ。
兎も角エリザ王女には感謝しとくか。
本人は嫌がるかもしれないが。
「よくぞ、来てくれた勇者とその仲間達よ。
お主らが来てくれた理由は分かるな?」
「はい、俺たちを一目で見てみたいと言ってましたね。」
「そうだ、ちょっと測りたいから其処にある測定器で試してみるが良い。」
「えっ、分かりました!」
馬鹿勇者は測定器に手を置いて数値を測った。
さてさて、数値は幾つかな?
『3000』
低い······少なくとも前にパーティーに居たときより成長しているかな。
もしかしたら聖剣と聖鎧の加護でステータスを加算するときに上がるかも?
お父様は考える素振りを見せて小声で「アイラには遠く及ばないな。」と小さく呟いていた。
「ふむふむ、これがお主の実力か······良く分かった。」
「ありがとうございます!」
「そうだ、良かったら泊まっとくか?」
「本当ですか、ありがとうございます!」
マジか、泊まってくのかよ。
確かにこいつらが転移石を持っているとは思わないしなあ。
例え帰り道が分かっていても夜になると魔物が活発して凶暴化して更に強さが驚異的にアップしてしまうし、仕方ないだろうな。
それと最近聞いた話だと首が無い何かが徘徊しているとかそんな話があるがただの噂だと信じたい。
それに実際にダンジョンの時にこの馬鹿勇者が「やベェ! 転移石忘れちまった!!」とアホみたいな事を言い出したからな。
まあ、私が事前に用意していた転移石で無事出れたんだけどね。
「アイラよ、部屋に案内しておけ。」
「畏まりました。」
また、案内するのかよ······やだなあ。
「うむ? 何か不安なことでもあるのか、アイラよ。」
「いいえ、特に何も。」
「なら良い。」
そうして、馬鹿勇者達を部屋へと案内するのであった。




