第一話
オズワルド王国から追放されて数日後、アインはアズガルド帝国の近くにある更衣室へと入った。
「もう良いよね? もう正体を明かしても良いよね? じゃあ魔法を解こうかな。」
俺はそう言いながら魔法を解いて身体が光出して元の姿に俺は···いや、私は女へと戻った。
流石にあいつらを何とかして性別を偽っていたから大変だった。
私はそのまま鏡の前に立ち鏡を見た。どうやらちゃんと解けたみたいだ。
鏡に映っているのは十五歳位の少女で長い銀髪を腰まで下ろしたロングヘアでルビーのように輝く赤い瞳をした美少女が映っていた。
「勇者に気づかれなくって良かったぁ」
私は勇者に自分の正体を気づかれなくって良かったと胸を撫で下ろした。
もし気づかれたらどうなるか知りたくもない。
ちなみに幼馴染がいると言ったな、実は私が男に変身して村に行きそこで知り合った友人みたいな存在だ。
私が追放される時あいつらはこんなことを言っていたな。剣聖は「あんたより勇者様の方が格好い」とか賢者は「あなたは魅力が無いのよ、だからあなたと結婚は破棄にして勇者様と結婚するわね」と嗤いながら私を追放した。別にもうあの二人には興味はないし気にしてもいないし、それに私は勇者カズマは嫌いだ。思い出すだけで胸糞悪い。
「名前もアインにしていたけどもしかしたら気づかれる可能性も高かったからなぁ」
私はそう言いながら溜め息を吐いた。
ちなみに私の本名はアズガルド帝国王位継承権第一位第一皇女アイラ・アズガルド···これが私の本名だ。
名前を偽っていたのは正体を知られないためでつけた名前である。
「これから何をしようかな? お父様に報告でもしようかしら?」
私はそう呟きながら黒いドレスを着て更衣室を出た。
しばらく歩いていると民達に「アイラ様が帰ってきたぞ!」とか「どうしたんですか?」など不思議そうに聞いてきたため正直に勇者パーティーであった事と王国に追放されたことを話した。すると民達は「ひどい!」「勇者パーティーもそうだけど王国も酷い! 王国の民はその様なことをするのか!?」と王国に対して敵意を露にしていた。気持ちはわかるが
「いえ、大丈夫です。私は気にしていませんから心配しなくても大丈夫です。」ニコッ
私は怒ってないので大丈夫ですよと答えた。すると民達は「無理しないでくださいね」とそう答えて離れ私も城へと向かった。
「お帰りなさいませ! アイラ様!」
「お疲れ様」ニコッ
私は門番に挨拶をして城に入り私の父がいる謁見の間へと向かった。
「アイラ・アズガルドただいま戻りました。」
私はお父様に黒いドレスの裾を掴み、軽くドレスを持ち上げて腰を曲げて頭を深々と下げ、腰もより深く曲げてお辞儀した。
私の目の前にいる人物の名はルーカス・アズガルド···この帝国の皇帝で日々国民達のために食料や物資をたくさん配ったり、エレンシア共和国と同盟を結んだりしていた。
それに加えこの男···私の父は禿でゴツい男なのである。
「どうしたのだ?アイラ、あの国に何かあったのか? 勇者パーティーに入っているのではなかったのか?」
「実は····」
そして私は今までの経緯を話した。
するとお父様が怒りの形相になり私は思わず「ヒッ」という短い悲鳴を上げてしまった。
そしてお父様が私が怯えているのを見たのか少し落ち着き冷静に口を開いた。
「そうかそれは気の毒だったのォ、これからアイラ、お前はどうする?」
「私は······」
私は考えある結論へと出た。
一つ目 政略結婚の駒になる
二つ目 孤児院に行ってシスターになる
三つ目 姫騎士になる
流石に1と2はあり得ないだろう。····政略結婚の駒になりたくないし、シスターにもなりたくないし、そもそも私は犯罪は起こしていない。
有るとすれば···3だろうか? 姫騎士か悪くないだろう。
そして私は決心がつきお父様に志願した。
「私は···姫騎士になりたいです。」
それでお父様の承諾を受け無事に姫騎士へとなって国民達を護ることを誓った。
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