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No7 逆コナンで!

今日のうんちく


スーパーゴキブリとは……

薬剤への抵抗力を兼ね備えたゴキブリで、主にチャバネゴキブリに多く見られる。

チャバネは繁殖能力が極めて高く、短い期間に世代交代をします。ですから、定期的に駆除をしても生き残った個体から生まれるゴキブリの中に、殺虫成分に対する抵抗力があるゴキブリが生まれてしまうという悲劇。

 俺は片桐雄介。17才。普通の高校2年生だった。

 しかし今、チャバネゴキブリとなり、焼酎の水割りの中で溺れている。

 くそ!

 こんなところで死ねるか。

 もみじちゃんと喋りたいんだ!


「あなたまさか! スーパーゴキブリなの!?」

「スーパーゴキブリ?」

 居酒屋の大将が驚いたように反応した。

「大将、この居酒屋は業者入れて定期的に駆除してるの?」

「ああ。ちゃんと月1回してる。してるんだが……また出て来る」

「それがスーパーゴキブリを作るの」

「なんだと!」

「チャバネは世代交代が早いの。薬に生き残った個体同士で子供を作るから、徐々に抗体が出来上がるの。わかる?」

「じゃ、強くなってるのか?」

「多分、こいつはそのスーパーゴキブリの可能性が高い」


 いや。俺は元人間ゴキブリだ。

 冷静にもみじの開設を聞いてしまった俺だが、まだ体は水割りの中にある。

 とりあえず這い出る事に成功した俺は、再び、もみじちゃんと目が合った。


「研究の為に持って帰ります!」

「何!?」

 店内がざわつく。


 俺の心もざわついた。

 持って帰る?

 俺をか?


「大将、このゴキブリに効く薬を探します! ですから、次の駆除はうちに任せてもらえませんか?」

「ああ、いいとも! よろしく頼んだぜ!」


「熱にも水にも強いなんて……聞いたことないわ」

 もみじはそう言うと、持ち帰り用のパックを手に俺に向かって来た。


 なんというラッキーだ。これでこの店から脱出できる!

 しかも、もみじちゃんと一緒に!


 俺はうれしさのあまり、触角をこれでもかと揺さぶり、ラブを表現した。

「ふっ。触角を振って……さすがに弱ってるのね」


 弱ってないんかいない。

 俺はどんな薬にだって。どんな攻撃にだって耐えて見せる。そしたらもみじちゃんとずっと一緒だ。

 そして……人間に戻してもらおう!

 色んな薬で俺を殺そうとして、誤って俺が人間に戻る……。

 コナンの逆パターンを期待しよう。


 俺は静かに、自分からもみじちゃんの持つ透明の持ち帰り用パックに移動した。


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