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エネーボ・レボリューション  作者: 春夏秋冬
南スティファニア共和国建国
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建国会議

火の月15日、南スティファニア共和国の12の街の領主と選挙で当選した11人はラズベルトの街の領主館の大会議室に集まった。

大きな扉を潜ると、真正面の奥に扉に向かって一段高い席が設置されている。これが国家元首の席だ。今は誰も座っていない。国家元首の席から両側に机が左右に2列並べられていて右側が12席、左側が11席ある。右側が領主席で、左側が選挙で選ばれた者の席だ。

僕は異世界人特別枠なので、左側の一番下座に腰を下ろす。隣はあかさんだ。

大会議室に続々と人が集まり席が埋まっていく。僕は交渉の際、街々を回ったのでだいたいの顔は分かるが、数人初めて見るこちらの世界の人がいる。話を聞く限り、領主の親族や領主館の職員らしい。



全部の席が埋まると左側の一番上座に座るメルロア姫が立ち上がった。

「今日は皆様、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。一番得票数の多かったわたくし、メルロア=スティファニアが司会進行を勤めさせていただきます。」

メルロア姫は優雅に一礼する。

まずは自己紹介。知らない人もいるので大切だ。領主たちから順番にしていき、最後は一番下座に座る僕だった。

「では、次に早速ですが、国家元首を決めます。僭越ながら、わたくし、メルロア=スティファニアが立候補させて頂きます。賛成の方は挙手をお願いします。」

これが一番大事なところだな。僕は特に反対する理由もないので手を上げる。隣のあかさんも上げている。見回すと全員が挙手しているようだ。全会一致だな。

「ありがとうございます。では、僭越ながら、勤めさせて頂きます。」

全員から拍手が起こる。拍手の中、メルロア姫は、いや、メルロア国家元首は…長いからメルロア姫でいいか。メルロア姫は一段高く設置された段を上がり、一番上座の席の前で立ったまま止まった。

「それでは、南スティファニア共和国初代国家元首となりました、わたくしから、所信表明演説をさせて頂きます。」

また、メルロア姫は優雅に一礼する。

「えー、まず、今日ここにお集まり頂きました皆様は共和国議会の議員とさせて頂きます。国家元首の任期は3年を考えております。3年ごとに今回のような選挙を実施し、この共和国議会の過半数の賛成を持って次の国家元首を決めたいと思います。今回は立候補を受け付けず人気投票のような形にさせて頂きましたが、次回どうするかはこの議会にて追々決めて行きたいと存じます。領主の方々は今回は据え置きとさせて頂きましたが、次回からは選挙で決めたいと思います。ですので、領主の方々は領民に愛されるような領地運営を心掛けて頂ければと思います。また、わたくしの国家元首としての政治が思わしくなかった場合ですが、リルアのようにクーデターを起こす必要は御座いません。ご自分の対案を披露し、仲間を募って選挙で勝てば良いのです。この議会にご自分と同じ考えを持った仲間を多く送り込むことが出来れば政権はひっくり返すことが出来るのです。ここまでお聞きになって分かったと思いますが、これからは民衆からの支持というのがとても重要になって参ります。これからは、一方的な支配ではダメなのです。我々議員と民衆は対等。それを肝に命じて頂きたいと思います。」

メルロア姫の演説は続く。



「ここまでは、共和国制の説明のようになりました。ここからはわたくしがこの3年で成し遂げたいことを話したいと思います。まず、第1に食料事情の向上です。『緋花』の方々の活躍により旧スティファニア王国内の魔物はほぼいなくなりました。ですので、まずはラズベルト、ブレナン間、ブレナン、キャベル間にて農村を復活させ大穀倉地帯を作りたいと思っております。」

そう、魔物が氾濫するまでは、リーセの村のような農村が各地にあったのだ。しかし魔物の氾濫により全て滅んでしまった。それを復活させるのだ。

「そして、その小麦を武器に積極的に他国と貿易をしようと考えております。まずは『ジルバニア帝国』でしょうか。」

ジルバニア帝国には『緋花』の4人や、るきたちがいる。るきたちには転移魔方陣の起動方法をレクチャーしてあるので、僕が言えば交易可能になるのだ。

「次に戸籍を作ります。この南スティファニア共和国に住まう民全員を把握します。そして、しっかりと税金を取ります。税金の割合などもこの議会にて決めたいと思います。そしてその増えるであろう税金を使って雇用の促進、教育、医療そして娯楽を充実させて行こうと考えております。今、わたくしたちが使っているこの会議室は本来はラズベルトの領主館です。ですので、ラズベルトに新たに国の会議場を建設いたします。そして、各街に教育機関を建設いたします。この教育機関は誰でも無料で教育を受けられるようにいたします。この共和国制には民衆の学力向上は必須なのです。民からの税金は民に還元いたします。この議会にいる方々が私服を肥やすことは許しません。もちろん、議員の皆様にはそれに相応しい報酬を用意させて頂きますので、それで満足して頂ければと思います。農村再生計画、国の会議場と教育機関の建設にて当面の雇用は賄えるものと考えております。医療につきましては、異世界人の方々の中に回復魔法が使える方が多くいらっしゃいます。各領主館に常に常駐して頂きまして医療に当たって頂こうと考えております。」

この案はメルロア姫が本で得た知識と僕たちからの日本の知識を元に考えたものだ。昨日まで、メルロア姫を中心に『緋花』のメンバーで連日会議して考えたのだ。ここまで頭を使ったのは人生で初めてかもしれない。



「最後に娯楽です。異世界人様たちの話を伺ったところ、この世界には娯楽が少なすぎるとのこと。人は家族のためだけに働けるものではないのです。民たちに楽しみを与えます。具体的にはカジノ、賭け事をする場です。今現在も裏組織が運営する賭博場があると聞きます。それを国営化し、成人した国民全員に門戸を開きたいと考えております。そしてもうひとつ。これは少し先の話になると思いますが、闘技場を建設いたします。その闘技場では、人対人、人対魔物などの戦いを見せ、その勝敗を賭け事にして頂きます。こちらも国営にて行いたいと考えます。」

娯楽…この世界では酒を飲むくらいしか今までなかった。マサさんなんかはパチンコをうちたいとか嘆いている。楽しいことが出来れば、人々の働く意欲にも繋がるだろう。ギャンブル依存症なんかが心配だが。



「早急に予算を組み、後日この会議にて検討いたしましょう。初年度の予算ですが、今ある蓄えと『緋花』様、エル様からの借金で賄いたいと思います。この1年で戸籍を作り、来年からは健全な運営が出来るものと思っております。」

僕も南スティファニア共和国のためにお金を出した。あれだけあったお金がもうすっからかんだ。返してくれるらしいが。

「その他、細かいことは会議にて皆様の知恵をお借りしながら決めて行きたいと思います。以上でわたくしの所信表明演説を終えたいと思います。ご静聴ありがとうございました。」

メルロア姫が一礼すると会議室全体から拍手が起こった。まだよく分かっていない人もいるようなので、その人たちには個別で説明がなされるだろう。

こうして『建国会議』となった、第1回南スティファニア共和国議会会議をもって『南スティファニア共和国』は正式に建国がなされたのであった。

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