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エネーボ・レボリューション  作者: 春夏秋冬
王都のクーデター
36/50

対魔物の群会戦

そのとき僕たちは、『綾鷹』のギルド会館の食堂で昼食を取り終わりくつろいでいた。

「お、着信や、龍やんくんからや。」

「え?龍?」

ねむさんが放った言葉に近くにいたミサキさんが反応する。

「もしもし、ねむや。なんやどうしたんや、そんなん慌てて。」

ねむさんの話に皆は耳を傾けていた。

「え?なんやて?魔物の群?じゅ、10万…」

ねむさんの声のトーンが急に変わる。聞こえてくるねむさんの声から緊急事態だと皆に伝わる。ミサキさんの顔色がみるみる悪くなっていく。

「龍!大丈夫なの?龍!」

「ミサキ、ちょっと静かにし、龍やんくんの声聞こえへんがな。」

ねむさんはミサキさんを抑えて龍やんくんとの通話に戻る。

「なんやて!ギルドボスが2体も?おう、おう、分かった。こっちもすぐに部隊を編成して出発するさかい。龍やんくんはどうするんや?おう、リルアの兵士さんたちと連携して街壁の上から攻撃してくれるんやな。わしらが見えるまでは無理するんやないで。おう、おう、分かった。ほなな。」

ねむさんが龍やんくんとの通話を終える。

「龍は?龍は無事なの?」

ミサキさんがねむさんに詰め寄る。

「無事や、無事や。今なら話せると思うわ。ミサキから掛けたったらええやん。」

「分かった!」

ミサキさんは食堂飛び出して行ったのであった。

「みんな、聞いとったと思うけど、緊急事態や。1時間後に出来るだけ人集めてキャベルの門の外に集合や。戦闘準備忘れるんやないで。」

「「はいっ。」」

僕たちは急ぎリルアへ向かう準備始めるのであった。



僕とずんと柚子とはれさんはキャベルの門に向かって走っていた。

「大変なことになっちゃいました…」

「だね。わたしもびっくりした…」

ずんと柚子が話している。

「エルさん、どうする?なんか手はある?」

はれさんが僕に聞いてくる。

「うん。封印していた二つの召喚笛を使おうと思う。」

「二つの召喚笛?」

「箒と飛竜以外にも何か持ってたんですか?」

柚子が会話に入ってくる。

「うん、実はね。けっこうレアなんだよ。これが。」

「えー。なんだろ?エルのことだからなぁ。ドラゴンとか?」

ずん…ひとつ当てちゃったよ…

「まあ、街中では呼び出せないから外でね。」

僕たちは門を潜り抜けたのであった。



門を潜り抜けねむさんを見付けた。

「ねむさん!」

僕はねむさんに召喚笛をひとつ投げる。

「おお、なんや?召喚笛?見たことない形やな?」

「うん、吹いてみて。」

「ああ。」

ねむさんは笛をくわえる。僕ももうひとつの召喚笛を口に当てる。

ピーーーーーーー

二つの笛の音が響き渡る。僕は上空を指差す。門の外にいた全員が空を見上げる。そこには…

「げげ、ドラゴン…」

ねむさんの声。

「あれ、グリフォン?」

はれさんの声。

そこには上空を旋回する2体の召喚獣。1体はライオンの胴体に鷹の頭と翼…そう、グリフォン。もう1体はみんなお馴染み西洋の龍、ドラゴン。肌…じゃなくて鱗かな。鱗の色は青み掛かっている。ブルードラゴンって感じかな?

「でっけぇ。」

ドラゴンを見た僕の感想。ゲームの中の召喚笛のドラゴンは飛竜より一回り大きいくらいであった。しかし、このドラゴンは飛竜の10倍はある。飛竜の大きさが3メートルほどなので、約30メートルかな。大きな翼をはためかせ大空を旋回する。

「すげぇ…」

至るところで感嘆の声が聞こえる。



まずはグリフォンがねむさんの近くに降り立った。全長10メートルくらいあるだろうか。こちらも十分大きい。

グリフォンは如何にもふかふかそうな頭部をねむさんに擦り付ける。

「お?おお、おお、なんや、かわいいいな。」

ねむさんも気に入ったようでその頭を撫でる。羨ましい…僕がグリフォンにすれば良かったかな。

次にブルードラゴンが降り立つ。ん?僕が笛吹いたのになんでこいつ背中向けてんの?

ブルードラゴンは僕に背を向けたまま辺りを見回し「ふん」といった感じで息を吐き出す。「小童どもがっ」という感じだろうか?

「おい、ドラゴン。」

僕はドラゴンの後ろから声を駆ける。ドラゴンは振り向く。そして目が合う。けっこう綺麗な瞳してるんだなぁ、なんて考えていた。ドラゴンは固まっている。

「おい。」

僕はドラゴンに向かって一歩踏み出す。すると、ドラゴンは…頭から10メートルはありそうな長い首から胴体まで、ぺたっと地面にへばり付いた。な、なんだ?

「ごめんなさい、調子乗りました。殺さないでたもう。」

ドラゴンは綺麗な女性の声でそう言ったのであった。



「われの名は『マリアンティーヌ』である。」

皆が唖然としている中、身体を起こしたドラゴン、マリアンティーヌが自己紹介をした。

「マリアンティーヌか、僕はエル。よろしく。」

僕は右手を差し出す。

「う、うむ。マリアと呼んでたもう。」

ブルードラゴンのマリアは大きな腕を伸ばし僕の手をちょんと掴む。

「うん。マリア。」

「それにしてもなんじゃ、主の闘気は。我ら竜族をはるかに凌ぐぞ。」

「それは…僕たちにも分かんないんだ。」

「ふむ、して我になんの用じゃ。」

「うん。魔物の群を一掃したいんだ。」

「ふむ。魔物の群か。分かった、乗れ。」

マリアは体制を低くし、僕が乗りやすいようにしてくれる。

「ずん!柚子!」

僕はさっとマリアの背中に飛び乗り、ずんと柚子を呼ぶ。

「わあ、ドラゴンに乗れるの?」

「すごいです、エルさん。」

ずんと柚子は嬉しそうに駆けてくる。

「他の女を乗せるのかえ?」

マリアが聞いてくる。

「うん、二人とも僕の彼女なんだよ。」

「主の女か。では、仕方あるまい。」

マリアから許可が出たので、ずんと柚子を手で引っ張り上げたのであった。



「ねむさん!ねむさんはグリフォンから指揮を取ってください。」

「お、おう、了解や。」

「僕はずんと柚子を連れて上から爆撃します。」

「ああ、想像するだけで恐ろしいわ。」

ねむさんは僕の上位の魔法スキルもずんと柚子の魔法も知ってるもんな。



みんな、自分の召喚獣に騎乗する。はれさんに魔法の箒を貸そうと思ったんだけど、「騎乗しながら戦うなら、箒より飛竜の方がいいよ。」と断られた。馬も持っていなかったヒロくん以外の『雪中花』のメンバーには僕が馬召喚笛を10個ほど持っていたので、人数分譲った。『雪中花』のメンバーは初めての魔物との大戦に皆顔色が悪い。大戦という点では他もみな同じなのだが、『緋花』のメンバーは龍やんくんを助けなければという思いが強いので目に強い意思を感じる。

ねむさんはグリフォンに、僕とずんと柚子はブルードラゴンのマリアに、『緋花』の主力メンバーは飛竜に、それ以外は馬に騎乗した。

「また、エルさんに度肝抜かさせられたけどなっ、気を取り直して出発や!」

「「おう!」」

僕たちはキャベルの街を出発したのであった。



それから約2時間後、僕たちは魔物の群から500メートルほど離れたところに布陣した。布陣と言っても隊列を組んだだけだが。

ここにいるのは、『緋花』43人。小夜ちゃんという会計担当の女の子はラズベルトで『UDON』の子たちと留守番しているのと、トーリにいる3人はいない。柚子は正式に『雪中花』から『緋花』に移籍した。それから、『雪中花』の8人。例のヒロくんなんかも参加している。それから『綾鷹』9人。キャベルの『綾鷹』も留守番ひとりを残してみんな来てくれた。『イチゴ大福』から連絡役として帯同してくれていた2人は、キャベルの街に残してきた。総勢60人だ。

ここは、小高い丘の上ではあるが、まだリルアの街壁も見えない。おぞましい数の魔物の背中が見える。散発的に襲ってくる魔物は、みんなの魔力や闘気を温存するため、僕がアイスバレットで狩っていく。

ここからは大きな魔物の背中が見える。あれが、『クインステビア』と『キングカルロン』だな。後ろ姿ではあるが、ゲームの時のまんまの姿に見える。大きさも大きい。マリアと同じくらいかな。それが魔物たちの中に見えた。



「エルさんらにはキングカルロン任せていいか?」

マリアの背中に乗る僕たちに隣でグリフォンに乗るねむさんが話し掛けてきた。

「うん。任せて。」

「よっしゃー。」

ねむさんはグリフォンの背中で立ち上がり、後ろを振り返りみんなの方を向く。

「キングカルロンはエルさんら3人が引き受けてくれた。わしらの目標はクインステビアや。」

「「はい!」」

「みんな、召喚獣から落ちんようにするんやで。落ちたらすぐに周りが救助を徹底してや。」

「「はい!」」

「ヒーラー、範囲回復切らさんように。バフもな。」

「「はい!」」

「まずは後衛陣が魔法やスキルで一斉攻撃。」

「「はい!」」

「そのあと、突撃。はれさんとてっちゃんはクインステビアのタゲ取りよろしく。じゅんちゃんも二人に付いて行って。」

「「はい!」」

「飛竜隊はクインステビア集中攻撃。騎馬隊はわしらに他の魔物を1匹も近付けさせるな。」

「「はい!」」

「最終目標は魔物の一掃。リルアの救出やで。クインステビア倒しても気を抜かんように。」 

「「はい!」」

「ほな、行くでー。バフ!」

ねむさんの掛け声にエルダーたちはバフをばら蒔く。ずんも僕と柚子、ねむさんにバフを掛ける。

「我にもおくれ。」

「うん。」

マリアの声に答え、ずんは足元のマリアにもバフを掛ける。

「後衛陣、攻撃用意。」

僕たちは、遠距離スキルや魔法の準備をする。『緋花』の何人かには魔法をレクチャーしたので、ソーサラーやエルダーじゃなくても魔法を使える人が増えている。

僕が選択するスキルはエクスプロージョン。アブソリュートの方が範囲攻撃としては優秀だが、凍った場所は通行不可能になってしまう。それに前方全てを凍らせるので、マリアの頭にも当たりそうだ。

「柚子、雷使っていいよ。」

「え?いいんですか?」

「うん、ぶちかましてやれ。目標はキングカルロンな。」

「はい。」

柚子と小声で話する。

「我も撃っていいか?」

マリアが聞いてきた。

「魔法使えるのか?」

ゲームでは召喚獣が攻撃することはなかった。でも、そうだよな。マリア強そうだもんな。

「魔法は使えぬが、ブレスをな。」

「おお!ドラゴンブレス、いいねぇ。」

男の子の憧れ、ドラゴンブレスである。ついつい興奮してしまう。



「打て!」

ねむさんの合図が降りた。

「エクスプロージョン!」

僕は出来るだけ遠くに魔法スキルを放つ。

「雷さん、落ちてきて!」

「ライトニングレイ!」

「うがーーーーー!」

最後のはマリアがドラゴンブレスを吐いたのだ。

マリアのドラゴンブレスは火炎放射器のようではない。炎のレーザー光線だ。ずんの右手から放たれた光の弾丸とマリアの口から放たれた赤色のレーザー光線が魔物たちを次々と凪ぎ払っていく。そしてキングカルロンの頭上からは…

ズドドドドドドドドーーーーーーーーーーーーン

極大の雷が落ちてきた。キングカルロンの周りの魔物は蒸発し、キングカルロンが膝を付くのが見えた。あれで倒せないのか。1撃で倒せるかもとか思ってたんだけど。そしてキングカルロンのさらに向こう側に小隕石が落下した。

チュドーーーーーーーーーーーーーン

爆風が吹き荒れ、キノコ雲が上がる。1万くらい倒せたかな?

「お前ら、スゴすぎやろ…」

隣のグリフォンから矢を放ちながらねむさんが呟いた。クインステビアの方にも幾多の魔法やスキル、矢が着弾し、爆煙が起こっている。

「ねむさん、突撃突撃。」

呆けているねむさんにこっそり教える。

「お?おお、せやったせやった。ほな、突撃!」

「「おう!」」

ねむさんの合図で飛竜隊が先行してクインステビアに襲い掛かる。

騎馬隊もあとに続き、周りの魔物を掃討していく。

「僕たちも行こうか。」

「うん。」

「はい。」

「マリア、よろしく。」

「うむ。」

僕たちを乗せたマリアはまだ膝を付いているキングカルロンに向かって飛んだのであった。



「主の魔法はえげつないのう。竜族には向けてくれるなよ。」

キングカルロンに向かいながらマリアが言ってきた。

「敵対しなければな。」

「しないしない。するもんか。」

マリアはなんだか必死だ。

「女たちの魔法も見事であったぞ。」

「ありがとう。ずんです。」

「柚子です。」

「ずんに柚子な。よろしく頼む。」

マリアはずんと柚子も認めてくれたようだ。



「キングカルロン、もう倒せそうだな。」

「うん。なんだかふらふら。」

キングカルロンは立ち上がったがふらふらしている。

「それはあんだけの雷魔法を食らったんじゃからな。」

マリアが言う。

「やっぱりあの魔法ってすごい?」

「ああ、すごいの。我が見た中で2番目じゃ。」

「おお、柚子、すげぇじゃん。」

「ちなみに1番は?」

柚子がマリアに聞く。

「それはもちろん、主のエクスプロージョンとやらじゃよ。」

…1番は僕でしたとさ。てへぺろ。

「キングカルロンとやらも哀れよの。出現してすぐにこんな化け物たちに狙われるのじゃからな?」

「化け物?」

「主たちのことじゃよ。」

きっと、柚子のことだな。僕はそう思うことにしたのであった。

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