『ブルナン』へ
エルたちがチェカでジェロニモたちを倒した数時間後のラズベルトでの話。
トーリの街に行っている、『あか』、『マサ』、『ヨン』を除いた『緋花』と元『UDON』全員がラズベルトにある『緋花』のギルド会館の5階に集合していた。
エルからの報告通話を終えた『ねむ』は皆に向けて言う。
「チェカの街で、エルさん、ずんちゃん、はれさんが上手いことやったで。3人とも無事や。」
「おー。」
ねむの言葉にギルド会館5階は色めき立つ。
「今度はわしらの番や。領主の依頼通り、『ブルナン』までの道も通行可能にするでぇ。」
「おー。」
「ういっす。」
皆から了承の返事が来た。
あかたちが柚子の件でトーリの街に行くついでに、ミサキ率いる『緋花』の低レベル部隊が2日掛けてトーリまでの魔物を一掃し、トーリまで一般の商人でも通行可能にしていた。
次は北にある街『ブルナン』。ラズベルトからスティファニア王国の首都『リルア』の間には、ブルナンと『キャベル』という2つの街がある。そのラズベルト寄りがブルナンだ。
「ほな、役割を確認するで。まず、魔物討伐隊の隊長は…ミサキ、だれにする?」
本来なら主要メンバーの誰か、特にラズベルトの人たちから『戦いの女神』と崇め奉られているミサキが勤めるのだが、今回は他に役目があった。ちなみにラズベルトの街にはミサキ教の教会が着々と建設中である。
「『龍やん』でいいんじゃない?」
あの初日の戦闘訓練以降、龍やんはミサキのお気に入りだ。ていうか、龍やん以外まだ名前を覚えていないのだが…
「え?オレ?」
「いいじゃんいいじゃん。ここらの魔物なんか楽勝でしょ?」
「まあ、そうだけど…まあ、いいか。わかりました。やります。」
龍やんはあきらめた感じで了承した。この数日でミサキに反論しても意味がないと分かったのだ。
「龍やんくん、ありがとな。まあ、気楽にやり。」
「はい、ぼちぼち頑張るっす。」
「ああ、ぼちぼちな。」
龍やんの魔物討伐隊の隊長の就任が決まったのであった。
「ほな、本題の街の方の部隊やな。」
ねむは道中より街の中が問題と考えていた。転移者と遭遇戦になる可能性があるからだ。だから主要メンバーは全員こっちなのだ。
「まず、達磨さん、てっちん、じゅんちゃんの第1パーティーな。」
「うす。」
「おう。」
「了解。」
呼ばれた『達磨』、『てつ』、『JUN』の3人は返事をした。
「第1パーティーは街に入った直後から捜索開始や。」
ねむの言葉に3人が頷く。
「そんで、ミサキ、ハム、ベビで第2パーティーな。」
「うん。」
「あいあい。」
「ういっす。」
呼ばれたのはミサキの他に『ボンレス』と『ベビ』。
「わしがラズベルトの使者をブルナンの領主館に連れて行くさかい、第2パーティーは、まずはそれの護衛。わしと使者はんが領主館に入ったら第1パーティーと同じように捜索開始や。」
3人は頷く。
「転移者見付けたらとりあえず『緋花』の名前出し。それでだいたいはおとなしなるやろ。上位ギルドとか頭おかしいやつらは攻撃してくるかもやから、十分に警戒するんやで。ヒーラー1枚ずつ付けたけど、怪我せんようにな。」
「「了解!」」
「で、ミサキ。領主はんがラズベルトの兵士さんら付いて行かせたがんねんけど、どうや?」
ラズベルトの兵士1000人の面倒もミサキに見させている。ミサキが見ると兵士の士気が大きく変わるのだ。
「ん?無理無理。魔物1匹でどれだけ死んじゃうかって感じ。」
「あちゃー。そんな感じかぁ。ほな、領主はんに断っとくわ。」
「うん。それがいいと思う。」
「街中部隊の移動は飛竜にするで。みんな持ってるな。」
主要メンバーたちは頷く。『緋花』にあとから加入した、りんた、ずん、はれ以外の主要メンバーは皆、飛竜の召喚笛は取得済みである。
「街の人ら怖がるから、門の前で降りるんやで。」
「「了解。」」
「明日の2の鐘がなったら作戦開始や。その前に門の近くの広場に集合。5分前行動やで。」
「「了解。」」
「今日はみんなよう寝るんやで。」
「「はーい。」」
「今日はありがとう。ほな、解散!」
翌日、作戦は決行され、大きな問題もなく、3日後にはラズベルト、ブルナン間が開通し、両街はお祭り騒ぎとなるのであった。




