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エネーボ・レボリューション  作者: 春夏秋冬
幕間1
10/50

ギルド『緋花』

初めて三人称で書いてみました。

エルとの通話を終えたギルド『緋花』のギルマス『ねむ』は目を閉じて今後の方針を考える。そんなねむの状況をエルとの会話を近くで聞いていたメンバーは無言で見守る。



ここはギルド会館と思われる場所。5階建ての廃ビルみたいな感じだ。

1階は木の扉の付いた玄関、玄関ホール、厨房のような場所と食堂になりそうなスペースがあるが、テーブルや椅子、調理用具などはなかった。

2階は大部屋が1つに脱衣場のようなところと大きな浴槽がある部屋が1つ。水の出る蛇口はない。

3階と4階は6畳ほどの小部屋が10部屋ずつ。部屋の入り口には木の扉があるが窓には何もない。

5階は大きな正方形の柱が2本と屋上に上がる階段があるだけで、仕切る壁も何もない。窓が多くあり外がよく見える。

今はその5階に全員集合している。



ねむは目を開き立ち上がる。

「よし、みんなちょっと集合してくれるかぁ。」

ギルマスの呼び掛けに皆ぞろぞろとねむの周りに集まった。

「まずは、エルさんが提案してくれた、情報収集と戦闘訓練、あとはこのギルド会館の内装を整えよ。」

ねむがギルドメンバーを見回すと全員うんうんと頷いている。

「このメンバーを3つの班に分けるでぇ。まず『達磨』さん、戦闘班の班長頼むわ。」

「うす。」

ねむが言うと濃い灰色のローブを纏ったダークエルフの男性が了承の返事をする。達磨はダークエルフのソーサラーだ。

「副班長は…『ミサキ』頼むわ。」

「うん、了解。」

「怪我した子ら、ミサキのヒールで優しく癒したって。」

「わかったわかった。」

次に返事したのはピンクの髪に白のローブを纏ったエルフの少女だ。ミサキはエルフのエルダーだ。

「次に情報収集班の班長は、てっちん。」

「え?おれか?」

「りんりんとかがおらんねんから仕方ないやろ。頼むわ。」

「そうだな。分かった。」

てっちんこと『てつ』はダークエルフのガーディアンだ。今は外しているが戦うときは重装備を付ける。

「副班長はハム。」

「あいあい。」

ハムと呼ばれたのはヒューマンの男性。名前は『ボンレス』だがハムと呼ばれている。ヒューマンのスレイヤーだ。両手剣で戦う。ベルゼブブと同じ職業だ。

「そして、買い出し班の班長はじゅんちゃん。」

「私?マサさんは?」

「マサやんにもちゃんと役目用意してあるよ。」

「そっか。じゃあ、了解。」

じゅんちゃんと呼ばれた白いローブを纏ったダークエルフの女性の名前は『JUN』。ダークエルフのエルダーだ。

「副班長は『ベビ』な。」

「あいあいさ。」

ベビはダークエルフの男性のスレイヤーだ。

「んで、マサやんと『あか』を除いた他の子らは、自分らの希望で好きな班へ入り。その日その日の気分で変えてもええから。とりあえず今日付いていく班をいまの内に考えといてな。」

ギルドメンバーたちが一斉に頷く。

「ほんで、『あか』はとりあえずわしのサポートな。」

「ほーい。」

あかと呼ばれたヒューマンの女性が了承の返事をする。彼女はヒューマンのランサーだ。

「んで、最後にマサやん。」

「なんや。」

「そろそろ機嫌なおし。」

「あんなかわいかったキャラがこんなごっついおっさんになってもうたんやで。機嫌なんて治るかい。」

『マサ』は元々はドワーフの女性キャラを使っていたのだが、今は背の低い筋肉ムキムキの男性になっている。

「あーあ、こんな見た目やと双剣は似合わへんよなぁ、槍でも使ってみよかなぁ。」

「ええんちゃう?」

「育てた槍持ってないんやけど、この世界ではどうなんやろ?」

「さぁ、あとで戦闘訓練班と合流して確かめてみ。」

「せやな。」

「じゃあ、マサやんに頼み事や。『UDON』のギルド会館探して見付けたら同盟か合併の交渉してきて。」

「あー、エルさんと話してた件やな。」

「せやせや、こんな状況やしな、助け合たらええやろ。どんな子らかは分からんけどな。」

「この街の中からギルド会館探すの大変そうやけどな。」

「背の高いビル探したらええんと違う?こことたいして変わらんやろ。」

ねむとマサが話しているとエルフの男性『ヨン』が手を上げた。

「僕、『UDON』にフレンドいるんで付いていきましょうか?」

「おお!ヨンさん、ナイスや。頼むわ。」

「わー、今のカッコでエルフの横歩くの嫌やなぁ。」

「ええのんええのん、慣れ慣れ。」

これで今日の行動方針は決まった。

ねむは『MENU』を操作して金貨を床に出す。チャリチャリチャリと音が鳴り金貨の小山が出来る。

「とりあえず、1000万、じゅんちゃん持っていって。」

「了解。領収書たぶんないよね?支出金はどうやって覚えてよう?」

「んー、頭で計算出来る人は…」

すると誰かが答える。

「りんさんはいません。」

「じゃあ、メモ帳…」

「そんなもんないよ。」

「じゃあ、じゅんちゃん、紙とか筆記用具みたいなんも探してきて。それまではどんぶり勘定でええわ。じゅんちゃんなら抜かんやろ?」

「もちろんそのつもり。」

「会計係作った方がええな。りんさん帰ってきてもいろいろ動いてもらわなあかんやろで、誰か別の人がええな。だれか金勘定得意な人おらん?」

すると1人のヒューマンの女性が手を上げた。『小夜』という名前だ。

「私、会社で会計やってました。計算機ないと計算自信ないですけど…」

「ええよええよ。やってくれると助かる。」

「はい、頑張ります。」

「小夜ちゃんは今日は買い出し班に付いていってな。」

「はい。」

「それから、今日はええねんけど、金に余裕ある人はちょっとでもええからギルドにお金納めてくれると助かる。」

皆頷いている。

「それから、みんなもう薄々気付いてると思うけど、エルさんな、あのエル=グランドなんやわ。」

皆、ざわざわし出す。

「みんなも経験あると思うんやけどな、レベルが離れすぎてると低すぎても高すぎても一緒に遊びたくないやろ?普通にしてたらな、エルさん、72サーバーで遊ぶ相手おらんねん。だから隠蔽の書っていうので隠してたらしいわ。だから、嘘ついてたこと許したって。」

ねむがみんなに向かって頭を下げる。

「許すも何も誰も怒ってないよ。」

誰かが言い、みんなそうだそうだという雰囲気になった。

「みんな、ありがとうな。それで、そのエル=グランド様からの情報なんやけどな、ベルゼブブって知ってるか?全サーバーの物理攻撃ランキング1位の人や。あれもこの世界に来てるらしい。気をつけろって言うてた。それから当たり前やけど『CRAY』とあと『祭り』にも気をつけろって言うてたわ。」

すると誰かが言う。

「名前の横に所属ギルド出なくなったけど、どうやって見分けます?」

「さすがに他所のギルドのメンバーの名前まで覚えてへんよなぁ。まぁ、とりあえず名前表示されるんはこっちの世界の人間やないから、そういうのは全部警戒しとこうか。」

これで全部の話が終わった。

「ほな、班に分かれて出発や。」

それぞれ班が出来、皆次々とギルド会館を出発していく。しばらくすると、ねむとあかだけになった。

「うちらは留守番?」

「あかはな。」

「じゃあ、ねむはどこ行くの?」

「あそこや。」

ねむがギルド会館の窓から街の中心にある、大きな建物を指差す。

「領主館?」

「せや、ちょっと領主館の様子見てくるわ。」

こうしてギルド『緋花』の本格的な初日が動き出したのであった。

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