仇打ち。
そろそろ、神宮健太の彼女が登場します
多々羅さんと修羅場に!?
「失礼しまーす」
「おぉ、君かな?連絡をしてくれたのは?」
「はい、神宮健太です。」
俺は今 大宮小学校に来ていた。
多々羅湯音の過去を知る為に。
「6-1組の教室を見たいだってね?付いて来てくれ」
俺は担任の木村先生に連れられ6-1組の教室に向かった。
教室に着くなり、木村先生は口を開く。
「それで、なんでこの教室に来たかったんだい?」
「多々羅湯音のことで聞きたいことが」
「あー、懐かしいね。あの子か。いい子だったよ」
実は言うと俺もあなたの教え子何ですが覚えてるわけないかと少し悲しい気持ちになりつつ話を進める。
「僕今彼女と友達なんですが、彼女の転校理由とかって知ってますか?」
俺は多々羅がセコンドを証明する札を見せながら問う。
「そのことか。まあ、友達というなら教えても良いだろうか?あの子もセコンドにつくぐらい信用しているみたいだし。」
木村先生はもう日が沈みかけた、オレンジ色の教室を見渡し答える。
「あの子は前の学校で酷いイジメを受けてたみたいだね。ここに来た時彼女はとても辛そうな顔をしていて、頰には大きな痣があった。誰にやられたかは知らんが私も憤りを感じたね。」
「そんなことが。」
俺は自分の想像を超える実態に絶句した。
「まあ、編入してから周りと仲良くしてたし良かったみたいだ。なんでも大宮小学校に編入するなんて非常に珍しいからね。」
俺たちは一通り話を済ませ職員室へと戻る。
「おっ、そういえば君は金剛力君を知っているかい?」
「えっ?」
「彼も編入して来たんだよ。まさか編入生が二人も現れるなんて驚いてね。彼は編入生なのにあんな強くなって凄いよ。」
俺の中で、何かが繋がる。
「その時、多々羅さんはどうしてましたか?」
「ん?あー、そういえば同じぐらいの時期に不登校になっていたなぁ。まあ元々気の弱い子だったんだろう。それがどうしたんだい?」
「いや、大丈夫です。ありがとうございました。」
礼を言って俺は学校を後にした。
確証はないけれど、多々羅は多分俺に希望を持っていたんじゃないか?
悔しいよな、多々羅。
俺が仇打ちしてやるよ。
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1時間ほどして、部屋に着く。
部屋の向こうから微かにテレビの音が聞こえる。
多分多々羅だろう。
「あいつ、また上がり込んで。」
あの襲われ未遂の事件で一人が怖いのだろうか
よく俺の部屋に勝手に上がり込んでいるのだ。
別にいいけど。
部屋に入ると、リビングでお菓子を食べながらテレビを見ている多々羅がいた。
多々羅は俺に気づきこっちも向く。
「さっき木村先生から電話あった。何しに行ってたの?」
「いや、懐かしくてさ。そのついでにお前の話もしただけだ。」
「嘘。私の転向のこと探ってたでしょ?」
「……」
黙る俺に多々羅はため息をつきながら説明をしてくれた。
金剛にイジメられて転向したこと、なのにアイツも転向してきたこと。
異能で復讐しようとしたけど、アイツはめちゃくちゃ強くなったこと。
「お前の前でアイツはいい奴だなんて言ってごめんな。」
「ん。」
否定も肯定もせず、多々羅は俯いた。
「お前は、嫌がるかもしれないけど。アイツと必ず決勝で当たって一発ぶん殴ってやるよ。」
台所で皿洗いをしていた俺は、リビングにいる多々羅に向かって拳を突きつける。
「ふふ、お願いね。」
若干呆れた笑顔を見せながら、多々羅はゆったりと俺に向かって拳を突きつけた。
グランプリ開幕 前日のことだった。