炎の怪物 金剛力
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戦後記
新聞部 部長 鷲尾 風南
〈勝者!神宮健太!〉
1-1 オープン大会
優勝 神宮健太
全ての試合を1分以内に終える圧勝劇となった。
何故今までこのような選手が眠っていたかは詳しくは分からない。
彼は続く2大会にもエントリーしており
今後が期待だ。
果たして彼は寸刻の炎なのか。
それとも学園を変える烈火となるのか。
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放課後 ジム 控え室
「えらく大層に書かれてるわね。」
多々羅は校内新聞を読みながらテーピングを巻く俺に話しかける。
「まあ、そうだね。あと炎を絡めたのは、金剛 力意識かな?」
「どうでしょうね。」
俺は金剛力のプロフィールを思い出す。
金剛 力
炎使い
ベナン人とのハーフであり
身長は2mを超える。
その圧倒的体格からの肺活量で炎を龍のように口から出す。
「で、金剛対策は考えてるの?」
「ぶっちゃけ厳しいかな。」
俺は苦笑する。
「はい?」
「まあ、でっけぇしな。あのゴリ押し能力も捌き切れるか。あ、でもさっき会ったけど意外と優しいやつなんだな。」
「そんなわけないわよ。あんな男」
「おいおい、失礼だろ。あいつまじでいいやつなんだぜ?」
1-1オープン終わりに気さくに話しかけられたことを思い出す。
ガタンと多々羅が座っていたパイプ椅子が落ちる音がする。
「そんなんでどうするの!?勝たなきゃダメなのよ!?」
「い、いやそうだけど。なんだよ急に。」
「別にいいわよ。私先にマンションに戻っとくし」
意味不明な多々羅さんに気圧されながらも、俺はジムでのトレーニングを終え帰宅の途についた。
帰りに頼まれていた日用品を届けるため彼女の部屋をノックするが返事がない。
「おい、多々羅?部屋入るぞ?」
返事はない。
ゆっくりとドアを開ける。
何回か部屋に入れてもらったことがあるので部屋に上がり
リビングの机に置こうとリビングに向かった。
日用品を置き、そそくさと部屋を出ようとした時手が本棚にあたり一冊の本を床に落としてしまった。
「やっべ。早くかたずけないと!…ん?」
それはアルバムだった。
落ちた拍子に開いたページはクラスの集合写真
小学校の頃のだろうか。
そこには、多々羅湯音の他に
もう一人顔見知りの人がいた。
金剛力
「何やってんの?」
タイミング悪く多々羅が帰宅してきた。
「いや違う!部屋物色してたんじゃなくて!偶然これがあのああーー!」
「もういいわよ。別に。出て行って。」
酷い説教が始まると思った俺は若干拍子抜けしつつも
一つ謝罪を入れて部屋を後にした。
あいつの金剛力嫌い、なにか小学校の頃にあったんだろうか…?