ラブコメを要素に入れていたのを思い出したから一応
ラブコメってこんな感じなのか
仁紀はその美しい寝姿に思わず息を飲んだ。
準はソファの背もたれに寄りかかって船を漕いでいる。コクリ、コクリと頭が動くたびに準のサラサラな髪が揺れる。目を閉じていても整った顔立ちは変わることはない。鼻は高く筋が通っていて、唇は薄いが、綺麗な桜色が目立たないほどに置かれている。今までは瞳ばかりに気を取られていたが準が世の中では美人と形容される位置にいることに初めて気づいた。気配に気づいたのか、うっすらと目を開ける。潤んだ目で仁紀を見つめた。その弱く、握れば崩れて行きそうな瞳に見つめられて思わず理性が飛びそうになる。準が呟いた。
「ゆ、め…?」
そう言ってまた目を閉じた。
それを見た仁紀の中で何かが壊れた。
心拍が加速する。寝ている準に聞こえるのではないかというぐらい心臓の音が大きくなる。仁紀は足音を殺して準に近づいていく。手を伸ばせば届く距離まで来たので手を伸ばす。視界に入った自分の手が震えていることに気がつく。どうやら足も震えているようだ。踏ん張りやすいように足を移動させた。
ガタンッ
テーブルに誰かが足をぶつけた音がした。紛れもなく自分がぶつけた。が、そこで冷静になれた。手の進行方向を変え、準の肩に置き、優しく揺する。
「阿知羅さん、取り敢えずベットの上を片付けたんでそこに寝てください。」
今度はしっかりと目を覚ましたようだ。
「すみません。つい寝てしまってました。最近ちゃんと眠れてなかったもので。でも本当にいいんですか?」
「もちろんです…」
「それじゃあお言葉に甘えて。」
準はソファから立ち上がって少し伸びをする。後ろに反ったため準の少し大きめの胸が強調される。仁紀は慌てて目をそらす。なんとなく沈黙が気持ち悪かったので、今日のうちに聞きたいことを聞いておいた。
「明日から調査をしますけど、阿知羅さん仕事場はどこですか?送って行きますよ。」
「いいんですか?そんなことまでしてもらって。」
「一応、護身も含んでますので。」
ちょうど言い終えて部屋が静かになった時、準の腹が鳴った。準の顔がみるみる赤くなっていく。
「すみません。朝からなにも食べていなくて。」
時計を見たら8時だった。
「カップラーメンぐらいしかないですけど、食べますか?」
「いいんですか!?あ、じゃあ、はい。」
相当腹が減っていたようだ。食いつきが良かった。
「じゃあちょっと待っていてください。作ってきますから。」
「いえいえ、そのぐらい自分でしますよ。なにかされっぱなしっていうのも悪いですし。」
「じゃあそれなら俺の分も作ってもらっていていいですか?外から飲み物を買ってくるんで。緑茶でいいですか?」
「お願いします。」
それから台所に案内して、物の位置を説明して、昼間より一層冷え込んだ夜へ繰り出していった。
ストックが尽きた…