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ようこそ幻想都市塔京へ   作者: 竜馬光司
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第5話 その6

魔法陣の出口が半分ほど開いた時だった。

突然爆発が轟き、範囲内にいた信者達が吹き飛ぶ。

「なに、何が起きたの?」

真起子は口から泡を飛ばして、周りの信者達に尋ねる。

信者達は銃を持つが棒立ちのままで、何が起きたか分かっていない。

突然真起子の隣にいた信者が頭を撃たれて吹き飛んだ。

「ひいっ! この役立たず共! 誰か何か分からないのですか!」

返り血で、真っ赤になった顔で騒ぐ真起子にサイトーが近づいてきた。

「あなた今までどこにいたのですか?」

ファマスを持ったサイトーは、スーツの前のボタンを開けて、シャツの上から薄手のタクティカルベストを着用していた。

ベストにはファマスのマガジンが差し込まれている。

「恐らくあの探索者達が来たんですよ」

入り口の方から銃声が轟く。

真起子達がそちらを見ると、三人が銃を構えて入ってきた。

二人はヘルメットを被って性別不明。三人目はメイド服を着たふざけた格好で銃を撃ちまくっている。

信者達も迎撃するが、たった三人に次々と倒されていく。

「メイド服はメルヒェン。ヘルメットを被ってある二人は勝太郎とバルイールか。面白い」

サイトーはこの状況を笑っていた。

「ちょっと笑ってないでなんとかしなさいよ!」

「分かっています」

サイトーは少し考える。その間も銃弾が辺りを飛び交い信者が一人倒れる。

「貴女はここで、信者達と共に魔法陣を囲んで守りを固めてください」

サイトーは指示を出していく。

「あなたはどうするの?」

「僕は敵を分断します。少し生贄と、後三人ほど部下を借ります」

「いいでしょう。ただし必ず生贄は返しなさい」

「分かっていますよ」

(全く戦う力もないのにうるさい女だ)

サイトーはそう思いながら、ミスフォルラをテントまで連れていく。

勝太郎達に見えるように動けない彼女を抱えて行った。


『ショータロー。ミスティが!』

バルイールの通信を聞いてそちらを見ると、黒服の男がミスティを抱えてテントに入っていく。

勝太郎達三人は、魔法陣前で守りを固めた信者達を相手にしていた。

信者達はそこまで銃の扱いが上手くはないが、数が多く厄介なことに死ぬまで撃つのをやめない。

例え片腕を撃たれても反撃してきた。

『ショータロー行って。ここは任せて』

『姉さまを頼みます』

バルイールとメルヒェンが一層激しく撃ちまくり、勝太郎に道を作る。

「二人とも頼む!」

勝太郎はキメラスーツの力を解放して走る。

キメラスーツは背中にノートPCと同じ大きさのバッテリーパックを背負っている。

その電力を消費する事で、ヒトの限界以上の能力を発揮できるのだ。

勝太郎は相手が照準できないほどの速さで走った。

弾は全て外れ勝太郎の背後に着弾して破片を撒き散らす。

彼を狙って身体を晒した信者はバルイールとメルヒェンが狙い撃つ。

勝太郎はミスフォルラがいるテントに到達し中に入る。

中には敵はおらず意識を失ったミスフォルラが椅子に座らせていた。

「おい、しっかりしろミスフォルラ!」

勝太郎は彼女の肩を何度も揺さぶる。

「……海崎……くん?」

ミスフォルラが目を覚まし、虚ろな瞳で勝太郎を見つめる。

勝太郎はヘルメットを取り顔を見せる。

「俺だ。大丈夫か? 怪我はないか?」

勝太郎は手早く彼女の身体を診る。そして右腕の小さな穴に気づく。

「これはどうしたんだ?」

「大丈夫だよ。ちょっと血を抜かれただけ」

勝太郎は医療キットからガーゼと包帯を取り出し、彼女の腕に手当を施す。

「立てるか?」

「うん。海崎くんこそ大丈夫なの?」

「なんでだ?」

「さっき撃たれたし、窓から落ちたから、死んじゃったかと思って……」

ミスフォルラの目から涙が溢れ頬を伝う。

「でも、生きてて、よかったよ……」

「俺は元気だ。話は後、早く逃げるぞ」

勝太郎はヘルメットを被り、ミスフォルラに肩を貸してテントから出る。

空いた左手でHK416を構えながら外に出た。

直後、五・五六ミリの弾頭が二発、勝太郎の頭に当たる。

ガインとヘルメットから火花が散り、弾は潰れその場に落ちる。

勝太郎はその場で伏せた。

「海崎くん大丈夫!」

「大丈夫だ」

ミスフォルラに返事をしながら、黒服の敵を見つけた勝太郎は三発発射する。

しかしそれは岩に阻まれてしまった。

「ちっ!」

舌打ちしながら勝太郎は敵が頭を出さないように撃ち続け、ミスフォルラを連れてテントの中に戻った。

「くそ。敵は腕がいいな」

勝太郎はヘルメットを投げ捨てる。見ると四つ目の一つが弾を喰らいひしゃげていた。

「ど、どうするの?」

「俺はさっきの敵を追う。ミスフォルラ、これを」

勝太郎はクニェツから預かったジェリコ941を手渡す。

「敵が来たらそれを使え。自分の身は自分で守るんだ。できるな?」

「うん。大丈夫」

「いい返事だ。早く終わらして帰るぞ」

勝太郎は弾切れのマガジンを捨て新しいマガジンを装填する。

「海崎くん。死なないでね」

勝太郎は無言で頷くと、テントから銃を構えて出て行った。

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