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ようこそ幻想都市塔京へ   作者: 竜馬光司
35/43

第5話 その3

「ショータロー着いたよ。起きて」

バルイールに肩を揺すられ勝太郎は目を覚ました。

「んっ? 着いたか」

勝太郎は首を何度か降って眠気を飛ばし後部ドアを開けて外に出ようとする。

「あっ、待って!」

ゴンと勝太郎はドアに頭をぶつける。

まだロックを解除していなかったのだ。

「うぬぬぬ」

勝太郎は頭を抱えて呻く。

「大丈夫? やっぱり休んでる?」

「いや、大丈夫だ」

今度はロックが解除された事を確認してからドアを開けた。

続いてバルイールも助手席から降り、メルヒェンもエンジンを止めてウミボウズを降りた。

待っていたのは、探索者達の歓迎だった。

「来たな。待ってたぞ!」

「頑張ってこいよ!」

「通路のモンスター共は俺たちに任せな!」

勝太郎達の姿を見つけた探索者達が集まって声をかけてくる。

中には以前訓練所でミスフォルラの事を見ていたおっさん達もいた。

「何だ何だ。どういう事だ?」

事情が飲み込めない勝太郎は、狼狽えながらバルイール達に助けを求める。

「ごめん。ショータロー寝てたから言ってなかったけど、実はアスカちゃんが……」

バルイールは勝太郎にアスカが探索者達に依頼を出した事を教えた。

「なるほど……」

話を聞いて勝太郎は納得した。そして探索者達を見回す。

探索者達は勝太郎に睨まれていると勘違いし怯む。

「……協力してくれて感謝する」

勝太郎は素直に頭を下げる。

「「「お、おお」」」

探索者達はいつもとは違う勝太郎の態度を見てそれしか言えなかった。

「行こうショータロー。みんなも助けてくれるから、ササっと終わらせよう」

「ああ、行くぞバルイール、メルヒェン」

「うん!」

「はい」

探索者達が道を開ける。

「みんな。無事にミスティ助けたら一杯奢るからね!」

「「「おおっ!」」」

バルイールの言葉を聞いて探索者達は片手を挙げて応えた。

勝太郎とバルイールはキメラスーツのヘルメットを被る。

頭部を保護するヘルメットは、四つ目の暗視ゴーグルとガスマスクを合体させたようなものだ。

着用者の視覚を増強し、ガス攻撃なども防ぐ事ができる。

そのヘルメットをかぶった二人は一見するとモンスターに見えるほどの威圧感を放っていた。

メルヒェンは外見は変わらないが戦闘用のカチューシャとメイド服を着用している。

背中にはキャリバーザックを背負っていた。

中には分隊支援火器であるMK48用の七・六二ミリが五百発詰まっている。

そこから専用のベルトと簡単に脱着可能なアダプターを用いてMK48と接続していた。

サブウェポンは、マシンピストルのHKMP7とナイフをスカートのホルスター。

更にエーテルバレットが詰まったMK48のボックスマガジンも収納されていた。

戦闘準備を整えた三人は、塔の階段を上る。

「捕らえられている場所はどこを指している?」

勝太郎はメルヒェンに尋ねる。

「今データを転送します」

メルヒェンから二人のヘルメット内部のディスプレイにマップが表示され、ある地点が点滅する。

本人には言ってないが、実は彼女にあげた腕時計はこういう事態に備えて発信機が取り付けられていた。

その発信機がマップのある地点から反応していた。

「これ、以前ミスティが捕まっていた場所と同じところだね」

マップに目をやりながらバルイールがそう呟く。

「ありがたい。変に時間をかけないで済むからな」

勝太郎はそう言ってHK416のセイフティをフルオートにセットした。

「確かに、さっさと行かないとミスティがかわいそうだよ」

バルイールは「それにどんな酷い目に遭わされてるか分からないし」と言いながら、HKG3のセイフティをセミオートに合わせる。

「姉さま。待っていてください」

メルヒェンも前方を見ながらMK48のセイフティを解除した。

「よしみんな。行くぞ!」

勝太郎の言葉に二人が頷く。そして勝太郎も頷き返す。

(ミスフォルラ。今行くから待ってろよ)

勝太郎は心の中でそう思いながら走り出す。

バルイールとメルヒェンも彼の後に続いて、銃口を下に構えて全速力で走りだすのだった。

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