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ようこそ幻想都市塔京へ   作者: 竜馬光司
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第5話 その1

「ん、ぐっ。ここは……」

勝太郎が目を覚ますと、白い天井が目に入る。

そして左右に目をやると、仕切りの白いカーテンと心電図があった。

そこは病院の個室だった。

「……ミスフォルラ! 痛っ!」

ぼんやりとした頭が冴えてくると、ミスフォルラのことを思い出す。

慌てて起き上がろうとするが、身体に激痛が走り、ベッドに倒れこんでしまう。

その時個室のスライドドアが開き、ウィンドブレーカーにデニムのホットパンツ姿のバルイールが入ってくる。

「ショータロー! 気が付いたの?」

痛みに悶える勝太郎を見て、慌てて駆け寄った。

「くそ、痛え……」

「重傷なんだから動いちゃ駄目だよ」

バルイールは勝太郎をベッドに寝かせようとする。

「俺は……三階から落ちたはずだ」

「うん。助かったんだよ。奇跡的にね」

勝太郎が三階から落ちた時、真下の木の枝がクッションとなり九死に一生を得た事を伝えた。

「ゴメン。アタシ達も奴らに襲撃されて、二人を助けにいけなかった」

バルイールは頭を下げた。

「謝るな。どっちにしたって間に合わなかったさ」

勝太郎は「それよりも」と話題を変える。

「俺がここに運び込まれて、どれくらい経った?」

(もし一日以上経っていたらミスフォルラの命は絶望的だ)

そんな事を思いながらバルイールの答えを待つ。

「六時間だよ」

「なら、まだ間に合うな!」

「うわっ!」

バルイールが驚くほどの勢いで勝太郎は起き上がった。

「いっつ〜」

起き上がった事で勝太郎の傷から激痛が走る。

「動いちゃ駄目だよ。身体に穴が二つも空いてるんだからね!」

勝太郎は自分の身体を見る。上半身には包帯がきつく巻かれていた。

「胸とお腹を撃たれたの。胸の方はあと数ミリずれたら心臓だったてさ」

バルイールはサラリと恐ろしい事を言った。

「だが行かないと。彼女を助けるって約束したんだからな!」

勝太郎はそう言って、心電図のケーブルや点滴のチューブを剥がしてベッドから立ち上がる。

彼の姿は上半身は包帯だけで、下は血で汚れた制服のスラックス姿だ。

「止めるなよバルイール。止めたらお前をぶん殴ってでも行くからな」

勝太郎はバルイールを睨みつけた。

「はあ〜。まあそう言うだろうと思ったよ」

バルイールは頭をかきながら溜息をつく。

「睨みつけないでよ。そう言うと思って、用意しておいたから」

バルイールは一度ベッドから離れて、入り口脇に置いてある二つの荷物を勝太郎の前に持ってきた。

「それは……!」

「そう、キメラスーツ。今日届いたんだよ」

バルイールが持ってきたのは例の銀のスーツケースで、中には桃ノ木博士が作ったキメラスーツが収まっていた。

「さあ、ミスティ助けに行くんでしょ? 早くこれ着て」

「あ、ああ」

勝太郎はベッドの上に置かれたスーツケースのロックを解除する。

「持ってきてくれて、ありがとな」

「うん? お礼はいいから、サッサと着替える」

勝太郎は頷くと、邪魔になる制服のズボンを脱いで下着一枚になる。

バルイールも同じく下着一枚の姿だ。

男女が同じ部屋でそんな格好になったら普通は恥ずかしくなるだけだが、そんな羞恥心は二人共とっくに捨て去っていた。

勝太郎はスーツケースの中からまず取り出したのは極薄のタイツのような黒いインナーだ。

これを着ると身体にぴったりとフィットする。

インナーはその薄さからは想像できないが、耐衝撃性で毒や酸なども防ぐ事ができる。

首までインナーを纏ったら、次はスーツケースに入っているプロテクターを取り出す。

プロテクターは黒でプラスチックのように軽く戦車の複合装甲と同じくらいの硬度を誇る。

全身にそのプロテクターを装備し、最後にロックする。

全身のプロテクターがバチンバチンと音を立ててロックされた。

「行くぞ。バルイール」

準備を終えた勝太郎は、同じく着替えが終わったバルイールを見る。

「うん、行こう」

二人はヘルメットを小脇に抱えたまま、個室を後にする。

看護師や医師に止められるも、その制止を振り切って二人は出口に向かう。

「ショータロー。コレ」

「それは?」

バルイールが手渡したのは、錠剤が入った瓶だった。

「鎮痛剤。一日一錠だよ」

「わかった」

勝太郎は礼を言いながら、錠剤を十錠一気に取り出し、口に放り込む。

「ああっ!」

バルイールが驚く中、勝太郎は口に入れた鎮痛剤をバリボリと噛み砕いて飲み込む。

「もう、後で調子悪くなっても知らないよ」

「大丈夫だろ。多分」

勝太郎は瓶をゴミ箱に放り込んだ。

「そういえばメルヒェンは?」

出入り口に到着した勝太郎はバルイールに尋ねる。

「駐車場で待ってるよ」

そう言ってバルイールは勝太郎を駐車場に案内するのだった。

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