2.調べる
会社を辞め、とりあえず時間もたっぷりあることだし久しぶりに異世界ファンタジーの小説でも書いてみようかなーと思ったりしている。
とりあえず中世くらいの設定にした異世界(ある意味お約束設定の)で少し不便で、でも文化が花開きつつある、地球でいうと大航海時代にあたる時期くらいで最も活気があり、最も冒険心いっぱいの時代などがいいかな。
迷信と科学が混沌とし、生きにくくいけど生きやすいという矛盾した時代。
そんな時代背景がとても好きで、そういった作品があるとつい寝る時間を削ってまで読んでしまう自分がいる。
……そうだな、今回の作品はこの時代を照準にした作品でも書いてみようかな。
なら、とりあえず書く為に必要な知識を調べてみるとしよう。
あまりに適当に書くと感想などで突っ込まれた時に困るからな。
まあ調べたという姿勢が大事なのだよ。うん。
▽
まずは、そういった世界に快適な生活を送るのに必要な物を調べてみよう。
手始めに、ネットで調べてみよう。
何といっても金がかからずに楽ちんだからな。
電気がない世界と仮定するので、調べるにあたり、ある程度絞ることが出来る。
代表としては登山関連と防災関連のグッズを調べてみよう。
何といっても電気なしで使えるから。
太陽光電池あたりなんていいんじゃないかな。
その代表作の電卓なんてものも素晴らしい。
ちなみに俺は電卓を完全に使いこなせない。
よくわからない記号を結局この年齢までわからなかった。
もう今更調べたいとも思わないけれど。
足し算、引き算、掛け算、割り算出来ればいいんだよ。
ルートなんて一般人のオイラにゃ縁のないこった。
あとは、江戸時代の庶民の暮らしみたいなのを本で調べてみるとしようか。
江戸時代も電気やら化学、科学? というのもそこまで発達してなかったからちょうどいいのだよ。
あと小判あたりも金貨計算で試算するとわかりやすいし。
昔読んだ本に一両って、現在の二十万円くらいの価値があったと書かれていた。
でも、その本に一両あれば五人家族が割と余裕のある生活が送れるとも書いてあった。
ただどう考えても現代日本で二十万円の金額で五人家族が余裕で生活できるなど考えられん。
まあ多少の矛盾はあれ、一両の価値はなんとなくわかる。
一般人には縁のない貨幣ということだ。
俺の家に十万円金貨を記念として買ったが、使わずに神棚に置いてあるレベルと同じような物である。
まず普通のスーパーだと断られるな。きっと!
ちょっと熱く語り過ぎた。
で次に、大切なのは飲み水関連だ。
生来お腹の弱い俺は、異世界に行ったら絶対に水に中ると思っている。
江戸時代でも旅に出る時には水に注意しなさいとよく言われていたらしい。
現代より衛生環境の発達せず、雑菌などに強そうな江戸時代の人ですらそうなのに、現代人で、しかもお腹の弱い俺なんて下手したら死んでしまうだろう。
とはいえ、毎回沸騰させた水を持ち歩くのも不便だ。
でも大丈夫! 現代ではペットボトルに装着するだけで安全に飲める水に早変わりする便利グッズなども売っているらしい。
とりあえず買わないといけないものだ。
一つだと壊れてしまった時に困るから最低三個は必要だろう。
他にも色々調べたら、ダンボールで作ってある便器などもあった。
リーズナブルな価格で持ち運びも便利だ。
ダンボールで便器を作れるんだから、きっと異世界に行っても同じような物が作れるに違いない。
一応、使わないで見本用として1個確保しよう。
結果3個買った。
昔、パンツが3枚あれば1週間以上生きていけるということを誰かに聞いてから俺的には『三』という数字に変なこだわりがある。
1.ちなみにパンツ活用法だが、まず普通に履く。
2.次の日は前後を変えて履く。
3.三日目に裏返しをする。
4.四日目に裏返しのまま前後を変えて履く。
5.で、洗うのだ。
俺はこれを聞いた時、この人は天才だと思ったね。
やる・やらないは別として。
ちなみに軟弱な俺は毎日取り換える派だ。
特に夏なんて無理無理。
汗でビチャビチャだし。
病気になっちゃうよ。
また話が突拍子もない方にずれた。
そうそう、なんか登山とか防災グッズって見ているだけ夢が広がるようで、すごく楽しいのだ!
寝袋も思ったよりもリーズナブルな価格なのが多く、必要がないのに幾つか買ってしまったくらいだ。
ちなみに幾つかといっても買ったのは2つだ。
先ほどまで熱く『三』を語っていたが、寝袋が三つも四つもあっても邪魔にしかならん。
けっきょく水関連やらダンボール便器も防災対策用に買ってしまったし、登山靴や何故か山に登る予定もないのに杖までも買ってしまった。
うん! 後悔はとーってもしている。
現在プー太郎で、しばらく節約しなければならないのに買ってしまったのだから。
あと、江戸時代の生活に関する本も買った。
石鹸などない時代に、どのように物を洗っていたか? など読んでいると楽しい。
何でも江戸時代は究極のリサイクル時代だったとも言われている。
古着は当たり前。
燃やした灰なんかも、それこそ物を何で洗っていたかの答え、灰で洗っていた。
米をといだ汁も有効活用をしていたようだし、何ともタメになる。
ただし現代日本、しかも今の俺の生活では何の役にも立たない知識だけど。
他にも、何時の間にか無人島に遭難しても生きていけます的な本を買った。
ただし当然だが俺は、無人島になどに行かない。
虫が苦手な俺に無人島などで生活をするなんて考えられない。
某アイドルグループの開拓番組は非常に好きだが、それを自分でやってみたいとは思わない。
とはいえ、俺はどんどんと余計な知識と衝動的に買ってしまったグッズが部屋の片隅に置かれることになった。
で、再度言おう! 一片の後悔もないどころか、俺は今の現状に後悔しかしていないと!
▽
気を取り直して、と。
次は異世界に行く方法をネットで検索をしてみる。
とりあえず、ネットで「異世界に行きたい」と入力したんだけど、う~ん……なんか思っていたのと違うな。
例えば。
1.近未来に似た世界。
2.地獄というか、あの世? ってな感じの世界。
3.芸術は爆発だー! ってな世界。
あれ? 何か思っていたのと違う。
特に多かったのが、二つめのあの世みたいな世界だ。
異世界の「世」を取った感じである。
まさに異界。
「こぇえええええええ!」ってな感じである。
「tueeeeeeee」に似てそうで全く似ていない。
死神に引っ張られてのご案内で、もちろん片道切符という素晴らしいオマケ付きだ♪
俺的には、十万円を追加で払うので往復切符を売って下さい的な世界だ。
持っていくアイテムは御数珠と十字架。
銀の杭なんかもいいだろう。
で、ニンニクのチュブ入りなんかもオススメだ。
あと「臨兵闘者皆陣列在前」という言葉なども素敵だ。
ちなみにこの言葉の意味だが諸説色々あるが、そもそもが戦う時に一番前に立って突撃! ってな意味で腹にグッと力を込めて物怖じしない為の言葉らしい。
よく除霊でこの言葉を言っている画をよく見るんだけど、悪霊に屈しないぞという精神、女騎士で言うとオークにやられても「クッ、殺せ!」みたいな感じだろうか?
まあ殺された時点で人生の試合終了になってしまうけどね。
どっちにしろ異世界に行くというか着いたら、自分に発破をかけないといけないかな。
多分、異世界じゃなく異界に行ったら絶望すると思うけどね。
▽
まあ、ある程度調べてたし、幾つか出来そうなのがあるから、とりあえず試してみようかと思う。
えーっと、該当する場所を調べて、と。
で、万が一そのまま突撃ってな可能性もあることから準備をしておこうと思う。
場所というのは建物とかもあるし、パワースポット的なものもある。
とりあえず、万が一と考えてと登山用の大きなリュックサックを用意する。
一応リュックサックにはエコバッグを幾つかしまってある。
また最悪、職務質問を受けても大丈夫なように格好も登山に行くんですよ! みたいな感じになっている。
よし! これで準備万端だ。
母親に一応、「俺、異世界に行くかもしんないから、日本から居なくなっても気にしないでくれ」と電話しておく。
返答は「あら、そう」で、「もうこっちに(実家)十年も帰ってきていないんだし、私達より早く死ななきゃいいわよ」との返事だった。
なので「まあ海外に行くかもみたいな感じだから、急に帰れないかもしれん」と言うと、「弟夫婦と妹夫婦が近くに住んでいるから気にしないでも大丈夫よ」と何とも投げやりというか俺の親らしい返答が……。
とりあえず弟と妹に宜しく言っといてくれと軽く伝えておくことに留める。
重くというか真剣に伝え、行けなかったら恥ずかしくて地元に戻れなくなるからな。
ちなみに弟は俺の十倍以上交友関係が広い。
俺は狭く浅くなタイプである。
会社でも同様で、休みの日は一人でノンビリとネット小説やらゲームを楽しんでいる。
本当だよ。
友達を作ろうと思えば作れるんだからね!
おっと少し取り乱してしまった。失礼。
まあ実際に異世界に行ける確率など宝くじの一等を当てるより難しいだろう、と思っている。
行けなくて当然、行って儲けものみたいな感じである。
ただ臆病というか慎重な俺は、一応準備だけしておく。
住む場所もマンスリーにしたし(更新時期がちょうど会社を辞めた時期と重なった為でもあるが)特に人さまに迷惑をかけることもない! ……と思う。
かけたら申し訳ない。
と、用意も出来たことだし、明日から実験を開始してみようか。