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異世界で囲われて  作者: するめいか
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1.きっかけ

 先日、会社に辞表を出した。

 マイコプラズマ肺炎にかかり体調不良が続いたからである。

 ゴホンゴホンと咳が続いて、も~本当にツライのだ。

 おかげで体重が一週間で3キロも減った。

 まあ少しというか、かなり嬉しい。咳は苦しいけれど。

 で、話は戻る。



「少し休職して、体調が回復してから復職してはどうか?」(課長談)

「そうだぞ。君の評判は悪くないし、会社としては評価しているんだぞ」(部長談)

「そうですね……。もう少し考えてみます」



 その場は一旦辞表をひっこめて後日、提出した。

 こういったのは、一度ひっこめるのがお約束である。

 その場で強引に出すと印象が悪くなる。

 まあ辞めるから多少悪くなっても構わないけれどね。

 でもまあ十年近くお世話になっているからねぇ……。



「一度ゆっくり休んで考えたんですけど、体調が回復しないので申し訳ありませんが……」

「そうか……。残念だけど仕方ない」(課長談)



 さすが課長わかってらっしゃる。

 これこそ、阿吽の呼吸だよね。

 やる気のない社員を置いても周りのやる気が落ちちゃうし。

 ただ俺、歯車の一つだから消えても問題なし!

 自分で言っていて残念だけど。



 まあ俺自体、会社には特に不満はない。

 強いていえば、交通時間が一時間半ちょっとと少し遠い事くらいか。

 とはいえ、隣の席の人も同じくらいだというし、片道二時間以上の人も居るから大きな声で言えない。

 一度言ったら、三時間かかる人も居るとか変な情報を貰った。



 で、残業も月に五時間くらいだし……。

 ただ実際に残業を増やそうと思えばちょっとだけ増やせるが、独り者だしお金もそこまで必要としないしね。

 ちなみに残業は、基本賃金より1.25倍出るからわざと残業する輩もいる。

 前に座っている人などそうである。

 終業前になると、タバコを吸いに休憩室に行って三十分ほど戻って来ない。

 でも課長その事知っているよ。

 残念だけどww




 なら、本当に体調不良というだけで辞めたのか?

 実は少し違う。

 まあそれも少しはあるが実際には、このまま一生そこで勤めていて、本当にいいのだろうか? と疑問を持ったことにある。



 とりあえず生活は安定はしているけど、いつも同じ仕事。

 入社して三年目までは、成長したという実感があったが、それからの五年は同じような毎日を繰り返しているという感じしかしない。

 それが、後三十年続く……。

 長いよね、間違いなく。



 もう三十をいくつか過ぎちゃったし、何か新しくチャレンジする事は何かキッカケがないと出来ないからね。

 とはいえ、それもこれも俺が独身ってのもあるんだけどね。

 それもこれも嫁が来なかったから。

 俺的にはいつでもカモンだったんだけどね。



 まあ会社を辞める原因というかキッカケになったには、やはりマイコプラズマ肺炎だ。

 外で倒れて救急車で運ばれて、三日ほど入院した。

 白衣の天使?

 いや、俺にとっては白衣の悪魔だった。

 注射やら点滴やらで俺に針を刺して。

 俺、軟弱だからそういうのダメなんだよ。



 話がそれた。

 そうそう、意識がなくなるっていうのを今回初めて経験したんだよ。

 そう、あれだ……、思っていたのと全然違う。

 いきなり無になるのだ。

 怖い怖くないなんていうものでもなかった。

 とにかく鮮烈な経験だった。



 それまでは、このまま会社で同じことをしていれば老後も安泰と思っていたんだけど、それだと何の為に自分は生まれてきたのか? と疑問に思っちゃったんだよね。



 だからちょっと変わってみようかな~って思ったんだ。

 もう賽は投げられた。(退職届という)

 後は自分が何をしたいのか、失業保険が終わるまでに導き出すしかない。

 いや本当に。









 で、答えを導き出す時間を出す為に、ハローワークで失業保険を貰う手続きをしなければならない。

 すぐに行動を移せ!

 今回、自分に当てはまるのは自己都合なので、失業保険は三か月間は支給されない。



 云わば、三か月は無収入確定である。

 ちなみにその間に働くと、手続きというか書面に記入するが面倒になる。

 だから俺は何もしない。

 ちなみに失業保険の手当ては、独り者(社員)で大抵1か月10万~15万くらいである。

 20万は超えないくらいの金額である。



 で、その三か月の間に求職活動を二回しなければならないが、それ以外は時間がある。

 他にする事と言ったら、役所の手続きくらいである。

 結構面倒だが仕方ない。



 で、その手続きも終わり一息つくことが出来た。

 肺炎? 病院で検査したら「もう大丈夫ですよ」辞表を出す前にとっくに治っていたよ。

 ただ咳が残って体力が戻らなかっただけだよ。

 ちなみに近所の人は、半年の間、咳が残っていたらしい。

 高齢の方だったが。








 で、手続きも終わって、一息ついた。急にやる事がなくなった。

 ヒマ万歳である。

 そういえば入院をしてから毎日楽しみにしていたネット小説を読んでなかったから、久しぶりにログインして、たまったのを一気読みでもしよう。



 いつもお世話になっているサイトは、異世界ファンタジーが人気の大きなサイトだ。ここのことだよ、ここです。

 で、このサイトからは何人も夢を叶え、自分の作品を書籍化しているという実績もあり、年に数回そういった企画もある。



 俺も一度、賞金目当てに応募したが、案の定というかやっぱりダメだった。

 俺のお小遣い獲得大作戦は、儚くも散った訳だ。

 まあ応募自体にお金がかからないので、機会があればまた応募してみよう。

 ネバーギブアップ。

 ウエルカムお小遣いだ。



 ちなみに俺が普段読んでいるお気に入りは、地球では平凡だった主人公が異世界で必要とされているのが特徴の作品ばかりだ。

 チートなスキルを貰って、内政しまくり、物を作りまくり異世界を快適にする作品である。



 反対に苦手なのは、過酷な世界で苦労しながら生きるというもの。

 奴隷にされちゃったり、腕がなくなったり魔物に追われたりと、今生きている環境より劣悪なものである。

 想像力豊かな俺は、読んだだけで軽く絶望する。

 特に流血の描写が生々しいのは読んでいるだけで貧血を起こす。

 俺にハードな世界は禁句なのだ。

 ハートフルな世界こそ俺に合う。



 ちなみに学生はハードな世界が好きな傾向にあって、社会人になったらスローライフ系が好きっていうのは本当だろうか?

 まあ俺は昔から流血ものがダメだからスローライフ系だったけど。

 スリルはダメだね。

 ジェットコースターもダメだけど。



 あとハーレムもダメだ。

 ありゃ平凡な自分には無理だ。

 女性の多い職場で揉まれた俺は、その手の大変さはよく分かる。

 いつも一緒に居たから仲が良いのかなと思っていたら、実はお互いに嫌い合っていたというのを後日聞いた時にはゾッとしたもんだ。

 中には勿論、純粋で良い子もいるが、何度も同じような事を聞かされた俺には無理だ。


 ちなみに何でそんな事を知っているかって?


 何でも俺に話した女子曰く、俺はそういった話も含めて話しやすいタイプの人間だからだそうだ。

 その人たちは言う人を選んでいると言って笑っていたが、願わくばそういった情報を俺に教えないで欲しかった。

 そうすれば、ハーレムという単語を聞いても羨ましいの一言で終わっていたのに……。



 とはいえ異世界は、ちょっと怖いけど行きたいのが男心だ。

 ハーレムはともかく、剣と魔法の世界……いや魔法の世界には憧れる。

 剣は残酷な描写ありになるからダメだ!



 実際、俺も異世界ファンタジーが好きで、自分で書いたこともある。

 で、物語を書くにあたり、トイレとお風呂などの発展された知識とかをネットで調べたり、本屋に行って調べたり(立ち読み)と中途半端な知識だけはバッチリだ。


 きっと異世界に行っても一人だと、ほぼほぼ役に立たないだろう。

 何せ不器用ですから!

 健さん、こっちです!



 でも異世界じゃなくても何か自分で、やりたいことを見つけたいなぁ。

 三十を過ぎたけど、そう思うお年頃である。

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