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始動の裏側


そこは薄暗くて静かで人の気配がなく、人が住んでいないような場所だった。

それもそのはず。ここはセリーヌの屋敷。セリーヌ・スティーブンの所有する屋敷なのだ。父は亡くなり家族は母だけ。

その母は最高魔法研究機関第一等チーム、アルカレイドの主任をしていて研究所住まいだ。最後に家に帰ってきたのはもう八年前。父がまだ生きていた頃だ。

屋敷に住む人は居らず、また手入れも全くされてなく、セリーヌが久しぶりに帰る日に掃除をする。今回は学院の寮の部屋が焼けてしまいここに帰ってきた。

その屋敷のセリーヌの部屋。そこにも魔力通信機が配置されている。それを使って通信を開始する。

「母さま?聞こえますか?」

「ええ、お手柄だったわね、バーミリオンを倒したのあなたでしょ?」

「…アンドリューよ、ほらあのアンディ君のおにいちゃん…」

「嘘。バーミリオンの戦闘力(レベル)は星城騎士団の四位に迫るものがあったはずよ。あなたの着ている星装で得られる力と同等くらい」

確かに赤魔道騎士、イグネイシャスの戦闘力は凄まじかった。それこそ炎の精霊王を殺せるほど。でも。

(…なんで、…なんでそれを知ってるの?)

「結果は勝ったみたいね、それじゃあ明日星装の情報(データ)を確認するからこっちに来なさい」

「でも、今回は私とアンドリューで戦って勝ったんだよ?」

「そう、それじゃあ彼にも来てもらおうかしら?」

「っ!?なんで?」

それはセリーヌにとって最悪の回答だった。

「あなた彼のこと好きでしょ?昔から彼の話ばっかり、それなら私の計画の手伝いをしてもらうわ」

セリーヌの胸が痛くなる。まるでガラスが刺さったような感覚。魔法を使いすぎたとか、体の筋肉痛ではなく純粋に心が痛い。

「あなたはこの世界の秩序を正す魔女、彼にはその騎士様の役をやらせてあげる」

その声は笑っているように聞こえてしまう。

あー終わったった

これで一巻終了です。これから絵書こうかな

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