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第零話

大変お久しぶりです。


・・・。

一応今後も次話を更新していく予定なので永い目で見てやって下さいませ。

00.01


パラパラと紙をめくる音がする。古い紙らしく、めくる運指は緩やかだった。

そこらに転がる木片をテキトーに組んだらしい独創的(テキトー)な椅子に腰かけ、背は壁に寄りかかり、椅子の前足は宙に浮く形だ。散髪を嫌がったの面倒がったのか、ひどく伸びたそれは一本の筋を眉間に垂らした他は全て後ろに流した彼女は、元来の鋭い目つきを幾分か和らげて手元のノートに視線を落としていた。唇を(すぼ)めて口笛を口ずさんでいる。微かに掠れた、雨について歌った曲で酷く寂しい曲調(フレーズ)が乾いた空気が流れる廊下に虚しく響いた。

彼女の名前はライア=ディケンズ。巷ではその長く伸ばしっぱなしになった緋髪から『緋い方の機械技師(マイスター)』だの『赤技師』などと呼ばれているが、今日の彼女は休業中だった。

と言うか、先だって起きた下層から上層までの幅広い範囲を巻き込んだ大騒ぎのさなか、彼女の工房のほぼ全部が半壊の憂き目に合い、とてもではないがまともに稼働できる状況ではなくなってしまったのだった。いや、もっと言えば自宅も兼ねていたが故に住む場所すらもない状況だった。

――もっとも、だとしても現状では水色頭の機械技師(この工房の主)の世話になっているので仕事自体始めようと思えばはじめられない事はなかったし、物置の様な有様の水色髪の工房兼家宅にも隙間もないというほどのことでもなく、雨風を凌ぐ壁とその中に積在する発明品との間にハンモックを張ればそれだけで寝床の確保には十分と言うテキトー極まりない状況を、果たして住まわせてもらっているという恩義を感じられるのかと言えば甚だ難しい話ではあったが。


…閑話休題。

彼女は一つ嘆息すると、一度目を瞑り、そしてまた書物に目を落とした。

書物の中身は日記だった。

旧い日記だ。本人がこの頃のことを思い出すことは、もうあまりないだろうと思われるくらいには時間が経過していた。

書かれた日記は今からおよぞ13年前。

日記の始まりには一枚の褪せた写真が貼ってある。

集合写真。

老若男女がそれぞれに思い思いの表情して写った、賑々しい雰囲気がこちらに伝わってくる、良い写真だった。

ただし、その写真に写った彼等彼女等の何割が今もこの地の上に生きているのか、それはあまり考えたくない事だという事実を、しかしてライアを初めてとしてこの時代に生きる人間で知らぬ者はいない。


*   *   *


ライアは気付かずにその日記を読み進めた。

――と言うか、単に掠れて読めなくなっていたので無視しただけだったのだが、表紙にはこのように書かれた文字があった。

「我が親愛なる欠食童子たちとこの街へ至るまで」

と。

亀の歩みより遅いこの小説ですが、投げ出す気持ちは寸分足りとてありません。

と、7ヶ月も放置した人間が言っても説得力がありませんね。

一応本話をもって第零話は終わりで次から第一話に入る予定です。

ええ、原作設定が崩壊する可能性を含んだ本編の幕開けです。

半年以内に更新できるように頑張ります(笑)

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