§第六章: エリーシャの告白 5 §
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良く晴れた日の朝、明日、エリーシャはエルベリアに輿入れすることとなっている。正直不本意であるが、これはエリーシャが決めたこと。自分はあくまで従者であるということを言い聞かせながら、ハーヴィスはいつになく無表情になり、エリーシャを避けるようになった。本当は少しでも彼女の元にいたい。少しでも彼女の力になりたい。そう思えば思うほど、何故かその思いと反対に彼女を遠ざけようとする自分も、出てくるのだった。
「……俺は今まで、何のためにここまで頑張ってきたんだろうか……」
不意にそんな言葉がでてしまう。彼女が聖エルベリア教皇国の教皇オスカーとの結婚が確定してからそんな言葉しかでなくなった。何もかも投げ出して、すぐにでもこのセリスタを逃げ出したいとさえ思うようになっていた。
「逃げ出したい……逃げ出したいけど……」
悔しさがこみあげてくる。確かに逃げ出すのは簡単だ。しかし、逃げ出すということは、弱い自分を認めてしまうこと、一生後悔してしまうことでもある。
「クソッ……俺は、俺はどうしたらいいんだ……」
セリスタの離れの監視塔、ここはかつてハーヴィスがエリーシャの叔父の反乱の際、潜伏先として使っていた場所である。普段人が現れることもなく、一人で考え事をするときはよく使っていた。しかし、今日は何故か来客がいるようだ。
「……何か……用か? 」
かすかな気配を感じ、ハーヴィスは鋭い目つきで塔の入り口を睨みつける。すると、かすかな気配は人の気配として具現化した。
「どうも……ハーヴィス殿」
現れた男は細身の男で、最近ハーヴィスの推挙により、セリスタに入団したマーチスという男だった。体格も細身だが、使う剣も細身のレイピアであり、鋭い突きを得意としている。
「あの……」
マーチスはしばらく考えた後、言いにくそうにハーヴィスに話しかけた。
「あの……隙だらけですよ? 」
マーチスの言葉にハーヴィスは怒気を露わにしながら彼に向き直る。まるで、何故一人にしないのかと、悲劇のヒロインのような表情である。
「すこし……貴方には目を覚ましてもらいたい」
そういうとマーチスは軽くステップを踏むと一気にハーヴィスに詰め寄る。そして寸止めで拳をハーヴィスに突き立てた。
「何故……避けないんです? 」
するとハーヴィスはマーチスを睨みつけながら答えた。
「お前が、本気じゃないからだ」
さすがのマーチスも以前と同じく見透かされていたことに少々驚きを隠せなかった。
「……意外と……冷静なんですね、ハーヴィス殿」
するとハーヴィスは顔をゆがめながら答えた。
「もう……子供の時から、こういうことは慣れてる……」
「…………」
マーチスは一瞬言葉に詰まった。いつも明るいハーヴィスはこのような一面を常に隠していたということが分かったからだ。
ふと、マーチスは、ハーヴィスの顔を軽く平手打ちした。
「な……何を!! 」
急な衝撃にハーヴィスは面食らった。それと同時にマーチスは苦笑いした。
「ハーヴィス殿、殺気のない、何気ない一撃はかわせないんですな」
当のハーヴィスは状況が呑み込めず、頬を押さえたままポカーンとしている。そんな彼に、マーチスはレイピアを抜くとニヤリと笑った。
「少し、お手合わせ願いたいのですが……よろしいですか? 」
ハーヴィスはハッと我に返ると自分の獲物を抜いた。そして一言
「さっきの一撃の借りを返してもらうぞ」
「望むところです」
二人は狭い塔の広場を挟んで対峙し、しばらく睨みあうと同時に突っ込んだ。その剣激は練習とは思えないほど迫力があり、見る人が見れば本当に戦闘をしているかのように見えたのだった。
ハーヴィスがマーチスと手合わせをしている中、エリーシャはただ、時が経つのをぼんやりとしていた。何もすることもなく、何もできることもなく。
「……お父様……」
この時、エルガはこの国をどうしていたのだろうかと、何故か考えてしまう。でも、エルガも自分と同じ選択をするのではないかと考えていた。エルガとエリーシャは考え方が似通っている部分があるため、常にエリーシャは父ならばどう動くかわかっていた。わかっていたのだが……
「本当に……お父様は私がした選択をするの……? 」
常に娘の幸せを願う父親の側面を持つエルガ、そこだけはエリーシャにとって真似ができない未知の部分だった。限りなくグレーゾーンである。この問題だけはエルガではなく、自分の考えで動くしかなかった。しかし、自分の考えはあくまで自己犠牲、国のため、国民のため、セリスタの国を支えてくれる大切な仲間達、それらを考えるとどうしてもこの選択しか思いつかない。
「思いつかない……思いつかないのに……なんで、こんなに悲しいの? 寂しいの? 」
エリーシャに芽生えたばかりのこの感情はまだ未成熟であり、何かがつかえているのを感じるのだが、はっきりとした輪郭が見えてこなかった。そんな中、エリーシャの部屋をノックする音が聞こえた。
「ど、どなたですか? 」
目に涙を溜めていたことを思い出し、慌ててハンカチで顔をぬぐう、そして時間稼ぎのため、わざわざ質問をした。すると遠慮がちな声であるが、聞き覚えのある声が聞こえたのだった。
「あ、あの、エリーシャ様……キリカです。結婚式の際はありがとうございました」
扉越しのキリカはまるで猫をかぶったかのような弱々しさを感じ、エリーシャは思わず笑ってしまった。久しぶりに笑ったためか、少しだけ気分が楽になる。
「キリカですか、いいですよ。入ってください」
エリーシャが答えると、遠慮がちな声のまま失礼しますといいながらキリカが入室してきた。久しぶりに見るキリカは少し大人っぽくなったようで、今のエリーシャにとってとても魅力的に見えた。
(キリカ……とても綺麗……今の私なんて)
またマイナス思考の自分が現れてくる。そんなエリーシャを気遣って、キリカは優しくにっこりと笑いかけた。
「……というわけなのよ……まったく、エスラーったら! 」
キリカが入室して30分ほど、ほとんど彼女の独壇場だった。エスラーの不満話はただただエリーシャを苦笑いさせるばかりだった。しかし、おかげで自分の持っていた負の感情はかなり追い払うことができた。
「ん? エリーシャ様どうかなされましたか? 」
エリーシャが突然笑い出したことに、キリカは話を切り上げ、尋ねてきた。そんなキリカにエリーシャは一言言った。
「キリカ、ありがとう……大好き」
エリーシャからの予想外の言葉を聞いてキリカは顔を真っ赤にした。ただの庶民であるキリカに対して、エリーシャから直接言われたその言葉は、彼女に対してとてもパンチの利いた言葉だったようだ。
「え、あ、ああ!! ありがとうございます!! ですが……私にはエスラーというものが!! 」
目を丸くしながらまともに答えるキリカにエリーシャは優しく微笑んだ。
「ふふっ、そういう意味じゃないわよ……私にも……」
エリーシャはそう言いかけると、言葉に詰まってしまった。その姿を見てキリカは少し寂しそうに彼女を見つめた。
「……ハーヴィス、今、何してるんだろうね」
キリカはわざとエリーシャの前で、ハーヴィスの話題を振る。すると、エリーシャは肩をビクッと震わせた。
「エリーシャ様、好きなんでしょ? 」
キリカのストレートな質問に戸惑ってしまう。確かにエリーシャはハーヴィスに好意を持っている。しかし、これはあくまで自分がそう思っているだけかもしれない。これは恋であって、愛ではなかった。
「…………」
押し黙るエリーシャにキリカはもう一言言った。
「今、言わないと、一生後悔するよ? 」
「!! 」
キリカの言葉に明らかな動揺を見せる。普段大人びた性格をしている彼女だが、恋愛に関しては子供並みの知識と感覚しかない彼女にとって、衝撃の発言であった。
「……そ、そんな……だって、ハーヴィスは私の事好きじゃないかもしれないし……」
確実な証拠がない事例に関して、強く出れない彼女は、自分の意に反した言葉を発してしまう。キリカは軽くため息をついてエリーシャに言った。
「嫌いなわけないよ。ハーヴィスは、エリーシャの事が好き。私が保証する!! 」
キリカの根拠のない断言に、エリーシャは苦笑いするも、何故か、勇気が湧いてくるような感じがした。複雑な笑顔を見せるエリーシャにキリカは更に言う。
「実はさ、エスラーから聞いたんだけど、ハーヴィスは何で、騎士になったのか……理由があるんだよ」
「え? 」
キリカの話したことは、エリーシャにとって信じられない事だった。そして、その話は、エリーシャの持っていたもやもやを吹き飛ばし、明確な証拠となったのだった。キリカの話が一通り終わると、エリーシャは無意識のうちに目から涙を流していた。
「……キリカ、ありがとう……」
キリカはハンカチを使い、エリーシャの目から流れる涙を拭いてあげる。そして、しばらくの沈黙の後、エリーシャはキリカに言った。
「キリカ、私、ハーヴィスに言うわ」
強い意志を持ったエリーシャの姿を見て、キリカは嬉しそうに微笑んだ。この時だけは、彼女の好きにさせてあげたいという、キリカのせめてもの心遣いだった。
「ハーヴィス、エリーシャ様が呼んでるよ!! 早く行っておいで!! 」
扉を勢いよく開けたキリカはエスラーと共になだれ込んでくる。しかし、当のハーヴィスは窓の外を見続けるだけで、反応がない。その姿を見てキリカ苛立ちを覚えた。怒りに任せて彼女はハーヴィスに平手打ちをする。
「このっ!! ウスラトンカチ!! 」
勢いよく振りかぶった平手はハーヴィスに届くことなく宙を切った。手ごたえがなく、そのまま勢いよく回転したキリカは倒れそうになるが、エスラーが抱き留めようとする。しかし……
「ブフオッ!! 」
抱き留めたはずのエスラーの顔に、キリカの華麗なローリングエルボーが決まっていた。深く、そしてエグイ角度でめり込んだ彼の顔は勢いよく吹っ飛んだ。
「きゃあああ!! エスラー!! ごめん!! 」
エスラーに全ての勢いを注ぎ込んだキリカは綺麗に着地し、慌ててエスラーを介抱する。エスラーは何か一人ごとを呟いている。
「ぱ……」
「ぱ? 」
「パトラッシュ……なんだか……とっても眠いんだ……」
「なら寝てろ!! 」
キリカはエスラーに勢いよく突っ込みを入れ、そのまま彼を黄泉の国へと眠らせた。すると、さすがにこの喧噪に気が付いたハーヴィスは、驚いた顔をしてこの状況を見つめていた。
「あ、そうそう、エリーシャ様が呼んでるよ、エリーシャ様の寝室に行って!! 」
「あ……でも……」
渋るハーヴィスにキリカはイライラしながら答える。
「あ~もうっめんどくさいな!! 今日までしか時間ないんでしょ!! さっさと会ってきなさい!! 」
この言葉は、ハーヴィスに大きな衝撃を与えた。最近の自分はあくまで、” 主人 ”と” 従者 ”であり、恋愛などしてはいけないと考えていた。まして、今は結婚を控えている身、私的に会うことなどもっての外だと思っていた。
「落ち込んでいるエリーシャ様に元気をあげなさい!! 貴方はエリーシャ様の何なの!? 」
(俺は……エリーシャ様の……何なのだ!? )
そう考えてしまう。するとキリカはハーヴィスに軽く平手打ちを打ち込んだ。殺気のない反射的な一撃だった。急な衝撃でハーヴィスは目を丸くする。
「ウジウジ考えないで、さっさと会ってきなさい!! そしたら全てわかるわよ!! 」
そう言われると、ハーヴィスは自分の部屋を追い出される。そして中から鍵がかかった。
(……俺の部屋……)
そう思うも、エリーシャから呼ばれているということを思い出し、エリーシャの部屋へと向かった。騎士の宿舎を抜け、城下町を歩き、内側の堀となっている入り口に入る。そこには門番がおり、許可証を見せないと入ることができない。許可証を見せ、奥に入る。すると、ここから先はエリーシャのいる城内に入ることとなる。
城内に入り、エリーシャのいる屋敷を見渡す。丁度屋敷の最上階がエリーシャの執務室だ。そして、城内がよく見える位置にある角部屋がエリーシャの寝室だ。大きめのバルコニーがあり、一度そこでエリーシャ達と、食事をしたことがある。
(……彼女の部屋……)
ふと、よからぬことを考えてしまいそうになる自分がいる。直ぐにでも、彼女を連れて、どこかに行ってしまいたい気分になる。だが、その気持ちを必死に抑えた。
「エリーシャ……」
エリーシャの寝室を前にして、彼女の名前を呟いた。意を決しして扉を叩く。
「……誰ですか? 」
エリーシャの声が聞こえる。その声でハーヴィスの胸が締め付けられる。しかし、それを強い意思で抑え込む。
「ハーヴィスです」
「……入ってください」
ハーヴィスは若干躊躇しながらも、ハーヴィスは扉を開ける。すると、驚きの光景が広がっていたのだった。
「エ……エリーシャ……」
ハーヴィスは、その光景に声が出なかったが、かろうじて、彼女の名前だけ発した。
「ハーヴィス……」
彼女は風呂に入っていた。一糸纏わぬ姿で、彼女は湯船に浸かっていたのだった。エリーシャは湯船から上がると、ハーヴィスに背中を向けた。
「ハーヴィス……背中を流してくださいますか? 」
ハーヴィスは予想外の光景と、エリーシャの予想外の行動に戸惑っていた。しかし、体は彼女の方に動き、そして、彼女の白い肌にタオルを押し付けた。石鹸と水分を含んだタオルは彼女の肌を滑るように流れていく。彼女の張りのある肌が、石鹸と混ざり、とても気持ちが良かった。しばらく背中を流していると。エリーシャは顔を向けず話した。
「あの……背中以外の部分も……お願いいたしますわ……」
そっと腕を差し出す。それに合わせてハーヴィスは彼女の腕を流す。そして、腕から肩、そして手を回して、彼女の二つの膨らみにも手を伸ばす。
「ん……う……」
彼女から吐息が漏れる。彼女の膨らみはとても柔らかく、そして、大きかった。ハーヴィスは興奮が高まり、どうにかなりそうだった。慌てて、彼女の膨らみから腹部の方にタオルを向ける。
「あの……ハーヴィス……」
エリーシャはハーヴィスのタオルを持つ手を握り締める。そして、腹部からまた無理やり自分の二つの膨らみにハーヴィスをいざなった。慌てるハーヴィス、しかし、エリーシャは小刻みに震えているようだった。
「ハーヴィス……わかりますか? 」
エリーシャは耳まで真っ赤にしつつ、ハーヴィスの腕を抱きしめた。彼女の早すぎる心臓の鼓動が感じられた。そして、ハーヴィスは気が付いた。
「エリーシャ様……」
「ダメ……様なんて……つけないで……」
エリーシャはハーヴィスの腕を一層強く抱きしめる。改めてハーヴィスは答える。
「エリーシャ……」
すると、その言葉に呼応するようにエリーシャは振り返る。耳まで真っ赤にしながら、涙目で、ハーヴィスを上目使いで、覗き込んでる。
「ハーヴィス……」
しばしの沈黙、二人は見つめ合った。全身泡まみれのエリーシャ、普段弾力を持った金髪は水分を含み彼女の体にまとわりついてる。それが一層興奮をかきたてていく……。ハーヴィスが何か言葉を発しようとした途端、エリーシャはハーヴィスを湯船に引き込んだ。
「うわぁ!! 」
急な引力に引っ張られ、ハーヴィスは湯船に突っ込んだ。しかし、痛みはなく、反対に柔らかい感触が全身に感じられた。そして、濡れたハーヴィスの体に、エリーシャの腕が絡みついてくる。石鹸まみれになったハーヴィスに、同じく石鹸まみれのエリーシャは、力いっぱい抱きしめる。そして、一言言った。
「ハーヴィス……好き……大好き……」
勢いに任せて、エリーシャは言った。その言葉はハーヴィスにとって幻聴にしか聞こえなかった。不思議そうな顔をしているハーヴィスに、今度は目を合わせながらもう一度言った。
「愛してる……ハーヴィス」
その言葉で、ハーヴィスは、エリーシャの行動が分かった。そして、その言葉にハーヴィスは答えた。
「エリーシャ……俺も……好き……いや、愛してる!! 」
今度はハーヴィスがエリーシャを抱きしめる。その力強さにエリーシャは一瞬息が詰まる。
「は、ハーヴィス、苦しい……」
ハッとなり、慌てて、エリーシャを抱きしめる力を緩める。
「す、すみません……」
自分の劣情に任せてエリーシャを抱きしめたことを後悔しつつ、離れようとするが、今度はエリーシャが力を入れて抱きしめてきた。
「許さない!! 」
顔を真っ赤にするぐらい照れながらも、エリーシャは冗談めいて言った。そして二人はしばらく湯船の中で抱き合いながら無言のままだった。しばらくすると、エリーシャはハーヴィスの服を脱がしだす。水分を含んだ服はまとわりついてハーヴィスから剥がれない。
「え、ちょ、ちょっと……」
慌てるハーヴィス、しかし、エリーシャは、イライラした顔をしつつも言った。
「服濡れてるから……別に脱いだっていいでしょ!! あっ!! 」
ハーヴィスの服は一気に裂けて上半身裸になる。ハーヴィスの裸は常に戦いに身を置いているにもかかわらず、思った以上に綺麗だった。ハーヴィスも肌が白く、鍛え抜かれた体は石像のように滑らかだった。一瞬その裸にに見とれていたエリーシャは、ふと我に返り、謝った。
「あ、ご、ごめんなさい!! 」
と顔を覆いながら、言うものの、指の隙間からハーヴィスの裸を頑見していたのは言うまでもない。ハーヴィスは自分で服を脱いで、裸になった。その時でも、顔を覆う振りをしながら指の隙間で、エリーシャは覗き続けている。
そして、一糸まとわぬ姿になったハーヴィスに改めてエリーシャは抱き着いた。そして、抱きしめ返すハーヴィスにキスを求めた。
「うん……ん」
嬉しそうな顔をして、エリーシャはハーヴィスを押し倒した。そして恍惚な表情を浮かべながら言った。
「いつまでも……こうしていたい……もっと早くこうしておくべきだった……」
エリーシャの言葉に、ハーヴィスも同じことを思った。しかし、エリーシャは表情を曇らせた。
「本当に、何もかも、遅くなっちゃったね……」
そういうとエリーシャはハーヴィスから離れ、ハーヴィスにタオルを渡す。そして、二人は無言のまま体の石鹸などを洗い落とし、タオルで拭く。ハーヴィスもなんとなくわかっていた。エリーシャとはキス以上の事が出来ないことが……
「もう一度、キスをして……ハーヴィス」
エリーシャはハーヴィスの首に手を回し、熱いキスを交わした。そして、しばらく抱き合う、しかし、時間は無情に過ぎていく……エリーシャはハーヴィスの体温を名残惜しそうに離した。そして一言。
「ハーヴィス……私のわがままに付き合ってくれてありがとう……」
そして、涙を流しながらエリーシャは別れの言葉を呟いたのだった。これが、エリーシャからの決別の言葉だった。
そして、月日は流れ、エリーシャは聖エルベリア教皇国の教皇、オスカーと結婚をしたのだった。
第六章END




