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キサラギに頼み込んで、かくまってもらうことにしたものの、それでいつまでも憲兵から逃れられるとも思っていない。いつかはバレるとこだし、ずっとキサラギに迷惑をかけるわけにはいかない。いつかは選択しないといけないのだ。大人しく出頭するか一人でいきていくか。
気のいいあの幼馴染みは追い出すようなことはしないだろう。だからこそ潮時はロアが定めなければならない。
自分はなんの罪もない。それは胸をはって言える。しかし、それを証明する術がない。やっていないと喚いたからと言って、はいそうですかと釈放するわけがない。
もう子供じゃないんだから。いつだったか、母が言った言葉が重くのし掛かった。
ガキみたいなことはたくさんした。そもそも冷静沈着な大人だったら、脱獄なんてバカな真似をしない。
けれど、子供だからで済まされる時期はとっくに終わっている。
早いうちに決断しないとな。ロアは密かにそう思ったのだった。