29 最先端医療
4人でテニスを始めた。お互いに返し易いところ打ち合いラリーが続く。打ちそこねるのは大抵香織だ。メンバーチェンジして少し本気を出した。
29 最先端医療
テニスは開始された。試合というより初心者を交えた友好の場なのでお互い返し易いように打つ。レディーファーストのお嬢様テニスである。全力など出さない。経験者の香織と慎二、運動神経のいいアレンとマリエールでほぼエンドレスに打ち合いが続く。偶に打ちそこねて点数が動く。ミスるのは大抵香織である。
「ゲーム勝者慎二マリエールチー厶。」
麗子が宣誓する。慎二が提案する。
「慣れたことだし、少し試合らしくしよう。メンバーチェンジもしよう僕とアレンくんでチェンジだ。」
前世チー厶と転生チー厶だ。香織は、
「今度は敗けないわよ。」
香織に熱が入る。
いい試合になった。幾ら運動神経がいいアレンとマリエールでもフェイントをかけられると良く引っかかる。逆に香織に正確で鋭いショットを放つと決まる。一進一退の面白い勝負だ。麗子の声がこだまする。
「アドバンテージサーバーレシーバー」
マリエールのサーブで始まった。ラリーが続きお互い決め手がない。慎二や香織がフェイントを入れるが引っかからなくなった。香織に厳しいところを決めるが良く凌ぐ。最後は慎二がアレンの右隅に決めた。
「ゲーム勝者慎二香織チー厶。」
麗子が勝者を告げた。アレンは、
「ナイスショットだ。慎二くん。」
慎二は、
「お互い良いゲームができて楽しかったよ。」
香織もマリエールも健闘を讃え合う。3時半を過ぎた。慎二は、
「そろそろ時間だな。麗子さん、片付けるよ。」
麗子は、
「4時から予約が入っているわ。このままで大丈夫よ。」
4人は麗子にお礼を言って最先端医療技術センターに向った。
最先端医療技術センターに行くとセンター長の塩崎が案内に立った。
「次期病院長の慎二くんの案内は他には任せれないよ。お友達もよろしく。同じ大学の友達かい。」
塩崎は軽い調子で慎二に語りかけた。
「香織さんは同級生さ、同じ大学の数学科の山本教授の娘さんだ。アレンくんとマリエールさんは以前からの友達さ。」
お互いに挨拶した。
塩崎が説明を始めた。
「最先端医療技術センターは本来部外秘だけど創業者一族の慎二くんの願いでは断れないからね。中で見たこと漏らさないことを厳守してください。このセンターでは様々な医療技術を扱っていますが特に再生医療の実用化を目指しています。再生医療はまだ顕著な成果が出ていませんが、道筋はできています。動物実験段階ですが、万能細胞から臓器そのものはできています。万能細胞から臓器が作られる様子を様々な角度から観察しました。万能細胞から臓器が作られるのはホルモンの働きと解明しました。その結果万能細胞から臓器そのものを作り出しました。これから御覧頂く装置で。しかし実用化はできていません。残念ながらできた臓器は死んでいるからです。」
実際に動物実験の様子を見せ、死んだ臓器も見せてもらった。
4人に判った。コンダクター無しでは臓器は作っても死んでいる物しかできない。しかしコンダクターの存在は今段階では明かせない。
最先端医療技術センターでは再生医療の研究をしている。万能細胞から臓器が作られるのがホルモンの働きであることが判った。




