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第8話 既視感?

 

 駅のホームに立っている。かろうじて立っている。

 ここもやっぱり、タケト君の部屋と同じく得体の知れない不安感が充満していて、とても息苦しい。ホームにあふれる日常の喧騒が、さらに不安をかき混ぜて増幅させていく。もう座り込んでしまいたい、目がかすんで吐き気もする。


──つらい……

 



 その光景に、思考が止まった。

 向かいのホームを通過する貨物列車に人が飛び込んだ。私は一瞬、ここで亡くなった人の最期の姿を見たんだと思った。が、違った。

 ホームに響く列車の吠えるような警笛と、空気を引き裂くようなブレーキの音。大勢の悲鳴と、言葉にならない叫び声。それが、生身の人間の飛び込みだと理解した。


 しばらく呆然としていた私。ふと気づくと、霧が晴れるように頭の中がすっきりして体も軽くなっていた。さっきまでこのホームを包んでいた重い空気が、きれいさっぱりなくなっていた。

──この感じ…… 既視感?

 いや、たぶん違う。気がするんじゃなくて、実際に経験している。子供の頃から何度か経験している。物凄く嫌な不快感と不安感、言い表せない違和感を感じて苦しくなる。そういう時はいつも、視える私に何も視えていなかったと思う。そこに幽霊の類はいなかった。私には関係ないと、向き合わずにやり過ごしていた。


──そういえば……


 思いかえせば、その違和感はだんだん膨張していって『あること』をきっかけに存在を消した。嘘のように一瞬で一掃してしまう。





 ──あること………… それは、人が亡くなること……

 





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