第13話 死ぬのは誰
「どうすればいいんだろう?」困った顔でタケト君は見つめてくる。
そうなんだ。結局どうすればいいかわからない。警察に? 彼女はまだ何もしていない。生霊の方は、私に祓う能力はない。彼女と直接話す? たぶん彼女は周りが見えてない。他人のいうことは耳に入らないだろうし、余計に刺激してしまう。逆効果だと思う。
「タケト君は日野さんのこと、どう思うの?」
「いやぁ…… 正直、なにも思ってなかったから。最近話すようになったとはいえ、今のところ知ってる顔としか」
タケト君の気持ちもある。「付き合ってみたら」など軽々しくは口に出せない。それに彼女は危険だ。あの時の、違和感に飲み込まれて混ざり合う悍ましい姿が蘇る。
私は、他の人には見えないものが視えてしまう能力のこと。そして、ある場所で感じる姿のない違和感のこと。その違和感が膨張して弾ける、その時にその場所で人が亡くなる。と、いうことを思いきって話した。タケト君はこの突拍子もない話を、馬鹿にせずに真面目に聞いてくれた。そんな能力を持った私に、同情までしてくれた。そして「伝えてくれてありがとう」とも。
「なんか物凄く、嫌な予感がするんだよね」
「もうすぐ弾けるってこと? さっき言ってたやつが」
「わかんないけど…… 彼女もうろうろしてるし、あの部屋にいるのは危ない気がする」
「ユウコちゃんの話は、もちろん信じる」
「うん」
「ちゃんと信じるよ…… て、なると死ぬのは俺かな」
「……そんなこと言わないでよ。タケト君」
「でも、そういうことじゃない? 他にいる? わざわざあそこで死ぬ可能性がある人なんて」
「…………」言葉を返せなかった。
「あのさユウコちゃん。失恋した人が相手のマンションから飛び降りたり、部屋で自殺してしまうとか聞いたことあるよね。ストーカーなんかも」
「彼女がタケト君の部屋で死ぬ可能性も……」
「俺はふったりしてないけどさ。付き合ってもないし」
私はありえる話だと思った。だから彼女の生霊は違和感に飲み込まれたのだろうか。
「部屋に行ってみる」
「危ないよ」
「なにも解決しないし、自分の部屋だし」
「とりあえず、今日だげどっかに泊まれば、友達の所とかネットカフェとか」
「いや、でも」
「カラオケ行こう。朝まで付き合うよ」
朝まで待っても、今日をやり過ごしても解決するものでもないのだろうけど……
「やっぱり帰ってみる」
──タケト君……
「わかったよ。一応ついて行っていい?」
「うん。マジでヤバそうだったら逃げるから、教えて」
「うん」
また、二人であの部屋に引き返す。
ある場所へ……




