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ベビーシッター 交渉人・風祭佑之  作者: 志村けんじ


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9/13

対抗策

 この館内放送を聞いて、人質たちも、山元の4人の仲間たちもざわついた。


 この風祭の提案を飲めば、報酬より4000万円も多い、一人頭6000万円も手に入れることができる。


 そして、人質を一人も殺さなかったら、もっと安全な逃走ルートも確保される可能性がある。その上で、計画通りの逃走ルートを使えばいいのだ。


 そして、人質を殺さなかったら、時効までの10年だけをを我慢すれば、警察から一生逃げ回る必要はなくなる。


 4人の同志たちの気持ちは揺らいだ。


 そこへ、血相を変えた山元が、チケットカウンターの女性スタッフを引きずってやって来る。


「お前たち、まさかやつの提案に乗るわけじゃないよな?」

 まず入口側を守っていた2人に睨みを利かせる。


 その山元の怒りに満ちた血走った目に、2人は黙って頷く。


 山元は、他の人質のところに女性スタッフを放り込むと、自分もその人質たちがすし詰め状態の中に入っていく。


「邪魔だ! どけ! 道を開けろ!」

 人質たちも、その山元のあまりの激昂に無理やり道を開ける。


「お前ら、なにをサボってる!」 

 山元は、出口側にいた2人が、なにか話し合いをしているのを見て、声を荒げた!


「す、すみません。ただ、あの風祭の話に乗った方が、得なんじゃないかと……」


「ふざけんな! お前たちの意志は、そんな軽いものだったのか!」


「いえ。違うんです。そのやつの提案を利用した方がいいのではと」


「利用?」

 その言葉を聞いて、山元も一瞬考える。


「どういうことだ?」


「だから、やつの提案を逆手に利用するんです。我々なら、できるはずです」

 そう。一人が提案した。


 山元は、それを聞いて頭をフル回転させる。どうすれば、あの風祭の上をいけるのかを考える。


 その妙案が浮かんだ。


「良いだろう。そのやつの提案に乗ってやる」

 山元は、そのあとのことを想像して、ほくそ笑んだ。



 この大掛かりな人質事件の犯人たちが、何の目的や報酬もなしに、こんな大胆なことをするわけはないと、風祭はそう考えていた。


 だとしたら、絶対に彼らを支援している者がいるはずだと思った。


先ほど屋上で狙撃中を構えていたSATの隊員を攻撃したドローンは、一般の市販品を改造したものかもしれないが、明らかに戦闘攻撃用のドローンだ。


 その被害状況から察するに、少し威力のある花火程度の爆発力と推察できるが、警察に対して屋上から撤退させるための威嚇としては十分だろう。


 報告では、3機のドローンが使われたそうだが、その大きさから、もう複数機のドローンが用意されていてもおかしくはない。


 そして、水族館の防火扉の内側に仕掛けられている爆弾は、屋内の非常口と屋外の非常口の1か所ずつ。


 このビルのに入る前に、外の乗用車の爆発のあとをみる限り、あの残っていた匂いからも、あそこまで炎上したのは、おそらくはガソリンに引火したことによるもの。


 だから、防火扉の内側に仕掛けられた爆弾も、その類だと推測される。

 

 ただ、引火性が高く、揮発して爆発するガソリンは、本当に怖い。それは間違いない。


 彼らの当初のこのビルからの逃走ルートはどこだ。そう考えた。



 山元たちは、背の高い男性たちを30人ほど集めて並べた。


 各々10人ずつに分けて、それぞれの両手を太い結束バンドで数珠つなぎに繋ぐ。


 そして、先ずは屋内の防火扉の内側にその10人を立たせて、もう10人を屋外の防火扉の前に立たせる。最後に屋外の出口のところに10人を立たせる。


 その命令は、簡単な指示と散弾銃を突き付けるだけで十分だったが、風祭の誘いの言葉に人質が勘違いして惑わされぬように、しっかりと脅しはしておいた。


 これが風祭に対する山元の第一の対抗策である。


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