第一話『引きこもり』
真っ白になった世界。
少年の視界には、ただ「後悔」だけが映っていた。
その嘆きに共鳴した、たった一人の神がいた。
――神は、少年に「色」を与え、後悔に向き合う機会をくれた。
『その力でどうするかは…君次第だよ』
世界に、色が戻っていく――。
* * *
……って感じで、俺は転移したんだよな。
「やる事ねぇ……」
洋風の寮の部屋で、ベッドに寝転びながらぼんやりと天井を見上げる。
異世界に来ても、俺はやっぱり「引きこもり」だった。
結局、俺は変わらない。
今日も引きこもっている。
……やっぱり俺はダメな奴なのか?
いや、違う。これは俺のせいじゃない。
悪いのは、この異世界だ――。
「最初は嬉しかったのに、これじゃ詐欺だろ……」
今から二ヶ月ほど前、俺はこの世界へ転移した。
だけど、転移したのは俺一人じゃない。俺を含め、150人以上が一緒だった。
その後、知らないおっさんの魔法使いが出てきて長々と説明を始めた。
正直、ほとんど聞いてなかったが……問題はその後だ。
異世界に転生したと言っても、俺が夢見ていたウハウハな生活なんかできなかった。
結局、学校に通わされて、小さな一部屋の寮に住まわされる羽目に。
さらに俺たちみたいな「転移者」は、“外界人”と呼ばれて、弱いし何もできないからと差別されることも多かった。
当然、ゲームだってできない。
苦痛しかなくて、最悪の環境だ。
結局、俺は一ヶ月も持たずに不登校になった――。