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結婚破棄から結婚へ

その数秒後……最初に口を開いたのは他ならぬ桐谷夫人だった……


「雄一郎さん……いえ、美咲さん……あなたは……」


小さく呼びかけてくるその声は酷く重く苦しそうなものだった……。

目尻には大粒の涙が溜まっており今にも溢れそうになっているようだ……。

そしてそれは他の人達も同様であったようだ……。


不安に襲われつつも続きを聞くために耳を傾けることにした。

しばらく沈黙した後ゆっくりと話し始めた内容は意外なものだった……。


「美咲さん、信じられないことですが……

 あなたが本当は美咲さんのお父様であったと

 分かっても、それでも私達は構いません……」


「あなたが美咲さんになって誠を愛し妻となって生きたいと願うならば……

 我々夫婦はあなたの意思を尊重しましょう」


それを聞いた瞬間、胸が熱くなるような感情に包まれていくのがわかった。

そして同時に嬉しさによって涙腺が緩む感覚にも襲われるのを感じた……!


(本当に……良かった! 義父と義母が認めてくれたっ!!)


満ち足りた思いでいると誠君から声を掛けられた。

振り返ってみると……そこには今まで見たことも無いような

笑顔を浮かべた誠君の姿があった……!!


(ああっ……なんて素敵な笑顔なんだろう……!!)


その誠君の表情に見とれている私に、さらに続けて発せられた言葉に

再び驚愕させられることとなった……


「美咲さん! 僕も同じ気持ちだ! 君を愛してる!

 だから結婚してくれないかっ!!」


彼は席を立ちながら満面の笑みを浮かべて私に告げてきたのだ!

そう言われた瞬間、心臓が破裂しそうになるほど鼓動が早くなった……


唐突すぎるプロポーズを受けてしまい思考停止状態に陥っていたが、

直ぐに意識を戻し返事をすることができた。


「ありがとう、誠さん! 一緒に幸せになりましょう!」


そう叫んで抱き合いキスを交わす2人。


「ああ……」


妻であった彼女……いや、美咲となった私の母は放心していた……

彼女の夫だった雄一郎も娘だった美咲は居なくなり、

雄一郎は美咲として誠君に嫁ぐ事になりそうだからだ。


(やはり許してはくれないだろうか…でも…)


謝罪する為に、妻に近づくと彼女はポツリと呟くように語りかけてきた。


「あなたの言葉を聞いてよく分かりました……

 あなたはもう完全に美咲になってしまったんですね」


その言葉を聞いて私は驚きいてしまった……


(その通りだけど…まさか認めてくれるのか……?)


妻の意図するところが測りかねず呆然としていると、

彼女は続けて話しかけてくるのであった。


「認めたく無いけど……あなたは私の家族だということは変らない。

 だから私は母親として美咲になった雄一郎さんの家族でいます。

 例えあなたが、美咲として嫁ぎにいっても……」


その言葉を聞いた時、込み上げてくるものがあり視界が歪んでいった……

私の心情を察したのか彼女は優しい眼差しを向けながら更に続けてくれた……


「これからもよろしくお願いしますね。

 そしてこれから生まれてくるであろう孫の顔を楽しみにしていますよ!」


その言葉がトリガーとなって堰を切ったように涙が溢れ出て止まらなくなった。

そんな私を見て彼女は何も言わず抱きしめてくれたのであった……


「ありがとうママ……ありがとう……」


もはや心は完全に娘となって何度も感謝の言葉を述べ続けた……。


その後、落ち着きを取り戻したところで改めてこれからのことを話し合った。


誠君……いや、

誠さんと私の結婚式の打ち合わせや2人の新居などの新生活について

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