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第六感が叫んでいる

作者: ラベンダー

私の名前は花道カナン。高校3年生である。私は朝起きてすぐに私は髪がボサボサであるため、シャワーを浴びる。髪を水でぬらすことはもちろんだが、顔を洗うこともできるし、寝ているときにかいた汗を流すこともできる。これが朝にシャワーを浴びるメリットである、と私は思っている。

次にお風呂場から出たら、朝は体重を必ず測っている。今日も測った。少し太ってしまったかもしれない、と思った。そのため、私はお昼ごはんのお弁当の量を少し減らすように母に頼んだ。

顔は先ほど洗ったので顔に化粧水をつける。そのあとに私は乳液もつける。私はここまでやっているが、他の人はどうなのだろうか。

鏡で自分の顔を見ているとまた一つ、ニキビができてしまった、と私は思った。私はオロナインをニキビの場所に塗る。

その次にドライヤで髪を乾かす。トリートメントも髪がパサつくのでつける。私は鏡の前で一体何のためにこんなことをしているのだろうか、と思った。可愛くなりたいのだろうか、人から好かれたいのだろうか。多分、嫌われたくないからだろう。ただ、それだけだ。顔の印象が悪いと人から良く思われない。体型も太っていると馬鹿にされそうで怖い。そう、怖いのだ。人から好かれたいわけではない、嫌われたくはないのだ。普通でありたい。そう、顔や体型に気を遣うのはそれが理由だ。

私は朝ごはんをしっかりと食べる。これは家族のルールである。特に父がうるさいのでそうしている。本音は体重が増えることが嫌なので食べたくはない。しかし、朝食を食べるとなんだか気分が良い。健康に良いのは確かだろう。

家から出るときには髪型をもう一度確認する。そして、私は今日も普通だ、と言い聞かせて家を出た。


放課後、私は今、うちの高校の図書室にいる。理由は担任の先生との個人面談が17時から行われるのでそれまでここで暇をつぶそうと考えたからである。今はまだ15時なので、2時間は暇だ。個人面談の内容は多分だけど学校生活のこととか、これからの進路のことだろう。私には特にやりたいことなどがないため大学にとりあえず行く予定だ。私はこの三年間、図書室に来たことがなかった。特に読みたい本がなかったからだ。そもそも本を読むこと自体私は好きではない。理由は簡単で面白くないからだ。そんなことをしているくらいならSNSで動画を見ているほうが楽しい。少ない時間ですぐに楽しい気持ちになれるからだ。そもそも、今の時代はスマホがあればなんでも知りたいことがわかるので、本なんて読む意味などあるのだろうか、と私は思っている。私は図書室にある椅子に座っている。暇だ。私はスマホでゲームやSNSなどを見て、時間を潰す。けれど、私はそれに対して集中することができなかった。なぜなら、私の気になっている人が目の前にいたからだ。その人の名前は大貫太成という。今は違うクラスだけれど、1年生の頃に同じクラスだった。彼とは話したことがない。彼の声は授業の発表の際に聞くくらいであった。そもそも、大貫君は私が知る限り、人と話したところを見たことがない。高校1年生のときから私はこの人のことが気になっていた。彼は誰とも話さないし、表情も変わらないのでいつも何を考えて、どんなことをしているのかが私にはわからなかった。今、図書室に入った時に一番初めに大貫君がいるということを認識していた。そして、無意識に大貫君の目の前の席に座ってしまった。大貫君は本を読んでいる。どんな本を読んでいるのだろうか。彼の読んでいる本が少し気になったので、気づかれないように私は彼の読んでいる本を見た。多分、小説だろう。私は本を読んだことがなかったのでそれくらいのことしかわからなかった。彼は本が好きなのだろうか。そんなことを考えていたら、彼と目が合ってしまった。


僕は大貫太成。今、僕は図書室で本を読んでいる。理由は16時から個人面談があるからそれまでの暇つぶしだ。今は15時なので1時間は暇だ。そんなことを考えていると、目の前の席に同じクラスの花道カナンさんが座った。彼女はスマホを見ている。目とスマホの距離がすごく近かったため、視力が悪くなりそうだ、と僕は思った。僕は視線を本に戻し、本の続きを読み始める。しかし、どうしても目の前に彼女がいるので動きが多少、気になる。そのため、本を読むことに集中できないでいた。図書室にある時計を確認しようと思い、少しだけ視線を時計のほうに向けようとした。そしたら、彼女と目が合った。1年生の頃に同じクラスになったことがあったので一応他人ではない。そのため、

「どうも」と僕は言った。彼女も

「どうも」と僕に言ってくれた。実は僕、大貫太成は1年生の頃から彼女のことがずっと気になっていた。そのためなのか、本を読むことがはかどらなかった。何か話すべきだろう。しかし、何を話せばいいのかわからない。とりあえず、どうして図書室にいるのかが気になったのでそれを聞くことにした。

「図書室にはよく来るの?」僕は彼女に尋ねた。

「いや、全然来たことないよ。今日は17時から個人面談があって、それまでの暇つぶしで来ただけ。ほら、教室は面談で入れないでしょ?だからといって廊下でずっと待っているのも退屈だし。まあ、ここでもスマホいじっているだけだけど」花道さんは言う。

「だったら、僕と同じだね。僕は16時から面談なんだ。それまでここにいようと思ってね」僕は言った。


私は大貫君と初めて話した。私はもっと彼のことが知りたかった。

「何の本を読んでいるの?」私はスマホを置いて質問をした。

「これはMさんが書いている小説なんだ。最近はこの人の本しか読んでいないんだ。この本知ってる?」大貫君が言う。

「ごめん、知らない。私って本を読んだことが全然ないから、その人のことも知らないな」私は正直に答えた。

「そうなんだ。この人の作品は面白いからおすすめするよ」と大貫君は言う。

「わかった。読んでみるよ」私は言った。それから、私はスマホをいじり、大貫君は本を読んでいて二人とも話さなかった。少し気まずいなと思っていたら、大貫君が

「じゃあ、お先に面談行ってくる」と言って席を立った。

「わかった。じゃあ、また今度」と私は手を振った。大貫君も手を振って図書室を出て行った。私はあと1時間も暇だ、と思いながらスマホをいじっていた。しかし、大貫君が紹介してくれた本が少し気になったので私は読んでみようと思った。私は席を立って、図書室で初めて本を探した。大貫君が言っていた人の本はどこだろうと思って探した。初めて本を探したので少し時間がかかってしまった。


僕は面談が終わって、学校の階段を下りて帰ろうとしていた。けれど、図書室にもう一度行こうと考えた。今の時刻は16時30分だ。まだ、図書室はやっている。面談は30分で終わった。僕は今読んでいる本が読み終わりそうだったので、その本のシリーズの次の巻を借りるか迷っていた。今読んでいる本を読み終えてから次の本を借りようと考えていたのだが、誰かに先に借りられてしまったら、と思うと今日借りてしまうのが安全なのではないかと考えた。そのため、僕は図書室に戻り、目当ての本を探した。けれど、探しても見つからなかった。誰かに先に借りられてしまったらしい。その本は今日の15時頃にはあったのに、たった1時間程度で誰かに先を越されてしまったらしい。ということは、つまり一週間は待つことになる。そう思うと少し悲しくなった。けれど、借りたものは返されるはずなので、今は今ある本を読もうと決心し、もう帰ろうと思った。しかし、花道カナンさんがまだ図書室の席に座っていたことに今気が付いた。彼女はスマホを見ている。僕には気づいていないらしい。彼女のいじっているスマホの近くには本が置いてあった。少し気になったので、僕は彼女に声を掛けに行った。

「どうも」これが僕の挨拶である。

「どうも」花道さんは少し笑って返してくれた。

「まだいたんだね」

「そうだよ、面談が17時からだから」

「そっか、言ってたね」

「うん、どうしたの?」

「いや、図書室で借りたい本があったんだけど、見当たらなくて。花道さん、本読んでたの?」僕はそう言いながら、花道さんが読んでいたであろう本をよく見た。すると、それが僕の探していた本だった。

「この人の本読んでくれたの?」僕は続けて言った。

「うん、ちょっと読んだよ。これが探してた本?」花道さんはその本を持って首をかしげながら言う。

「そうなんだ、面白かった?」僕は言った。

「うーん、途中までしか読んでいないからまだわからないかな」

「その本読む?」

「いや、大貫君が読みたいならどうぞ」花道さんはそう言って僕に本を渡した。

「いいの?」

「うん、私はやっぱり本読むのが苦手らしいから。じゃあ、私はそろそろ面談があるから教室に行くね」花道さんはそう言って、立ち上がる。

「わかった。じゃあ、また今度。この本ありがとう」僕は言う。

「うん。じゃあね」花道さんはそう言って図書室を後にした。僕は花道さんから渡された本を借りて、家に帰った。


私は今日あった面談のことや大貫君と初めて話すことができたことを思い出しながらお風呂上りに洗面所で髪を乾かしていた。面談では進路のことやクラス内でうまくやれているかを聞かれた。進路は行きたい大学があるのでそのことを話した。クラスのことも本当はうまくやれていないが大丈夫だと嘘をついた。別にいじめを受けているわけではないからだ。陰口を言われているだけである。誰でもあることだ。そんなことを考えていたらすでに髪が乾いていた。私はそのあとにスキンケアを行う。どうして私はこんなことをやっているのか、また疑問に思った。私は中学生の頃、容姿にコンプレックスがあった。そのためなのか、クラスの人たち特に男子にそのことをいじられたことがある。その出来事があってから、髪型を変えたり、スキンケアをしっかりと行ったり、ダイエットもした。私は普通に憧れていた。別に美人になりたいわけではなかった。高校に入ってからは容姿でいじられることはなくなった。きっと、顔が普通になれたからだろう。しかし、高校に入ってからは逆に女子から悪口を言われるようになった。中学生の頃は女子からの陰口はなかったのに。どうしてだろう。ちなみに高校の女子の友達はいない。中学生の頃は友達がいた。よく私を含めて3人で遊んでいたのだ。けれど、私は友達がいたとしてもその二人の会話を聞いていることが多く、私は会話に入っていないことが多かった。人の話を聞いている方が好きだからだ。私の話は特に面白くもないと思っているし、私の話よりも人の話の方が興味を持っている。

次は大貫君のことについて考えていた。私は大貫君のことが好きなのだろうか。それがわからない。今日はたまたま会うことができてうれしかった。彼に出会うことは高校1年生の頃以来そんなに出会うことはなかった。彼に会ったとしても特に何も話すこともできないでいた。私は自分から話にいくタイプではない。それに何を話せばいいのかわからない。けれど、今日は少しだけど、大貫君と話せてうれしかった。また会いたいかもしれない。


 僕はその次の日も放課後、図書室で本を読んでいた。すると、花道さんが今日も図書室にやってきた。

「どうも」僕の定番の挨拶である。

「どうも」花道さんも笑いながら返してくれた。彼女は僕の目の前の席に座る。

「今日はどうしたの?」僕は質問する。

「今日は受験勉強をここでしようと思って、家だと集中できないし、教室も今は掃除をしているから勉強ができないんだよね」

「なるほどね」僕は言う。


 私は図書室に入った時、少しだけテンションがあがった。なぜだろう。大貫君がいたからだろうか。

「また、本を読んでいるんだね」私は言った。

「そうだね、図書室が一番静かで集中して読めるから」

「確かに、教室だとうるさくて集中できないかも」

「そうなんだよね」

「大貫君って、大学どこいくの?」

「僕は普通にS大学に行く予定」大貫君は言った。この高校がS大学の付属高校であるため、指定校推薦などで進学をするのだろう、と私は思った。ということは、私はS大学ではない他の大学に行く予定なので、大貫君とはもう会うことはできなくなってしまう。だが、仕方のないことである。

「そっか、私は違う大学に行く予定だからもう会えなくなっちゃうね」私は言った。

「そうだね」

「うん」

長い沈黙が続いた。

「あの、8月に花火大会がここらへんであるらしいんだけど、一緒に行きませんか?」大貫君は私の顔を見て恥ずかしそうに言った。今は5月の終わり頃なのでまだ3か月も先の話だ、と私は思った。しかし、特に断る理由がない。

「いいよ」私はそう言った。

「ありがとう」大貫君は目を大きく開けて驚いた表情で答えた。私は大貫君も少しはかわいいところがあるのだと思った。

「いえいえ、花火好きなの?」

「うーん、どうだろう。普通かな」

「そうなんだ」どうして私が誘われたのかが一番気になった。まだ、大貫君のことを良く知らない。


今、私は花火大会が行われるとある場所に来ている。5月から7月までは放課後に図書室で受験勉強をしていた。その際に大貫君とは毎日のように会っていた。毎日会ってからは10分程度、会話をした。それから、大貫君は本を読んで、私は受験勉強をしていた。それが5月まで続いた。6月からは大貫君は図書室に現れることはなくなった。理由は私の勉強の邪魔をしたくないかららしい。これをLINEで知った。私は別の席に座ればいいのではないかと思ったが、大貫君は私のためにしてくれたことなので素直にうれしいと思った。8月は夏休みに入ってからもずっと家で受験勉強をしていた。私は大貫君に会いたかった。ずっと大貫君のことを考えていた。今は大貫君と一緒にいる。私たちは屋台を周って、色んなものを見た。特に屋台で買ったものはない。何も食べたいものや欲しいものがなかったからだ。射的なども遊びもこの歳になると興味がない。大貫君も同じらしい。私と気が合うなと思った。私はこの日まではしっかり受験勉強をしてきたので今日は気休めの日だ。午前中はずっと家で花火大会のことを考えていた。花火のことを考えていたのではなく、ずっと大貫君のことを考えていた。告白をしようと考えている。だが、私は本当に大貫君のことが好きなのかがわからない。大貫君のどこが好きなのかがわからない。そのため、どこを好きになったのかを聞かれたら、答えようがない。この問題はとても重要だ。私は大貫君のどこが好きなのだろうか?それはやはり顔だろう。だが、顔が好きだから、という理由はなんだか軽い理由なのではないかと思われそうだ。それなら、優しいとかだろうか?大貫君は私に気を使って、図書室に来なくなった。大貫君はあの場所が好きだったのではないだろうか?それなのに私のために来なくなった。と私は思っている。優しいから好きになったと言おう。なぜにインスタやLINEで告白をしないのかといえば、なんとなくだ。なんとなく、直接言ったほうが思いは伝わると思っている。そのため、難易度は高くなるが直接この気持ちを伝えよう。


僕は今日、告白をするつもりだ。1年生の頃からずっと好きだったからだ。しかし、告白をすると言ってもどう言えばいいのだろうか。僕は花道さんの顔とスタイルがすごくタイプだ。だが、それだけなのだろうか?僕は第一印象で彼女のことを好きだと思った。これは運命というやつだろうか。第一印象でわかることといえば、見た目だけしかないだろう。見ただけで性格や育った環境などがわかるわけもない。運命はただの見た目で決まるのだろうか?それに僕は飽きやすい性格なので彼女のことをずっと好きになれる自信がない。一人しか好きになれないのはとても困る。慎重に選ばなければならない。やはり、告白をするのはやめにするか。いや、このチャンスを逃すといつ会えるのかわからない。花道さんは僕とは違う大学に行くらしいからだ。連絡先は交換をしたが、多分大学生になってから会うことはないだろう。それにしても彼女はとても美人なのにどうして誰とも付き合っていないのだろう。僕が知らないだけで付き合っている可能性もある。そうだ、それを考えていなかった。もしも、花道さんがすでに他の人と付き合っていたらどうしよう。

そんなことを考えていると花火が打ちあがった。正直、花火には興味などない。音がうるさいし、人も多いので、何が楽しいのか全然わからない。花道さんは楽しいのだろうか?


私は今、花火が打ちあがったのを見てとても驚いている。私はこんなにも何も思わないのかと。花火には興味はなかったが、それでも見たら感動でもするのではなかと考えていたからだ。しかしながら、私は何も思わなかった。人は多い。そのためなのか、気分もあまり良くない。

「ごめん、体調が良くないから少し人のいないところに行こ」私は大貫君に言った。

「わかった」大貫君は言う。そのまま人ごみを抜け、しばらく歩いた。

「大丈夫?」大貫君は歩きながら私に言った。

「うん、どこかに座りたいかも」

「了解」

しばらく歩いていると人気のないところに小さな公園がぽつんとあった。私たちはその公園の中に入り、私と大貫君はベンチに座った。大貫君は近くに自動販売機があったのでそこで水を買って、私に渡してくれた。

「私のせいで花火を最後まで見られなくなっちゃって、本当に申し訳ない」

「気にしないで。それよりも体調は大丈夫?」

「うん、座ったら落ち着いた」

「よかった」

「大貫君ってどうして本を読むの?」

「突然の質問だね」

「うん、ずっと気になっていて」

「どうして本を読むのかと言われたらそこに本があるからだね」

「それって、山じゃない?」

「そうだね、それと同じ」

「本を読むのは面白いの?」

「面白いと思うよ」

「どうして?」

「好きな著者の考えがわかるから」

「好きな著者の本しか読まないの?」

「いや、そんなことはないね。好きな著者の好きな本とか影響を受けた本を読むね。そうすれば、その著者のことがもっと深く知ることができる」

「なるほどね。私には好きな著者がいないな」

「まずは、本屋で立ち読みして好きな本を探せばいいよ」

「私は本を読むのが苦手なんだよね」

「自己啓発本なら太字を読めば大体のことはわかるね」

「けど、最後まで読まないといけないよね」

「最後まで読まなくてもいいと思うよ。その本から一つでも自分のためになることがあればそれだけ覚えていればいいよ」

「わかった。今度やってみる」

「おっす」

「なにそれ、悟空?」

「いや、返事」

「そう」


そこで沈黙の時間があった。僕は一応、花道さんの質問に答えたつもりだけど、自分でも何を言っているのかわからなかった。

「花道さんは彼氏とかいるの?」

「いないよ」

「そうなんだ」

「うん」

「何?告白でもするの?」

「告白って、日本独特の文化らしいよ」

「そうなの?っていうか、話そらさないで」

「どうして?」

「いや、何でもない」

「好きなんだけど、付き合ってくれない?」

「突然だね」

「そうだね、花道さんもそうだったでしょ」

「そうだね」


また、沈黙があった。私が原因である。大貫君から告白をされた。私のことが好きらしい。私は大貫君と付き合うか迷っている。なぜなら、今は受験勉強で忙しく、デートなどをしている暇はないからだ。それに、もしも私が行きたい大学に行けたら、大貫君と会う機会などないのではないだろうか。それなら、断るべきだろう。それに私は普通に憧れている。私のクラスの状況を見てみると、付き合っている人はあまりいない。そのため、付き合わないことが普通であるといえる。今の時代、付き合っている人達は付き合っていない人達よりも割合が低いのではないだろうか。であれば、私は付き合わない。

「あの、僕のことは好きじゃないかな?」

「好きだよ。けど、付き合わない方がいいと思う」

「どうして?」

「今年は受験勉強で忙しいし、来年も大学が違うかもしれない。だから、会う機会がないかも」

「そうか、確かにそうだね」

「だから、ごめん付き合えない」

「わかった」

「うん」


それから僕は大学生になった。今、僕は図書室で履修した講義の課題をやっている。しかし、次の講義が始まりそうだったので、僕は図書室を後にした。大学の講義は真面目に聞いている人とスマホやパソコンを弄って講義を聞いていない人、寝ている人がいる。僕は真面目に講義を聞いている。講義は終わり、帰ろうと帰る支度をしていると突然声をかけられた。

「久しぶり!」その声は聞いたことがある。振り向くと花道カナンさんがいた。

「あれ、どうしてこの大学に?」

「行きたい大学には行けなかったんだよね。だから、この大学にした」

「なるほどね」

「うん」

「僕はもう帰るけど、花道さんは?」

「私も帰る」

「じゃあ、駅まで行こうか」

「うん」

こんなに積極的な人だったのかと僕は思った。もう少し大人しい感じの人だと思ったからだ。というか、高校生の頃とは違って、髪色も金髪になっているし、メイクもしているし、服装も肌を露出しているので、そこも含めてとても意外だと思った。

「大貫君は髪とか染めたりしないの?」

「しないね」

「そうなんだ」

僕たちは大学の最寄りの駅まで歩き、乗車する電車も同じだったので一緒に乗った。そして、一緒の駅で降りた。

「私ね、高校1年生の頃から大貫君のことがずっと好きだったんだ」

「僕もずっと高校1年生の頃から好きだったよ」

僕たちは駅でキスをした。




終わり


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