Jパート
「だははははは!!山口~!お前はもう少し、いい加減にやれよ~!だははははは」
「朝から五月蠅い人だな」
勤務は8時からスタート。しかし、みんな朝が早い。
電車に乗ってくる人がいれば分かると思うが、混雑した通勤は嫌だ。家の中にいるよりも職場の方が落ち着く大人もいたりする。
木下、山口、実は、7時半ぐらいにはもう職場にいる。(山口は珍しい方だが)
「山口くんも緊張しているね。新人の頃みたいだ」
「そーいう目をしないでくださいよ、実さん。新人には教える事が多いんですよ」
班内は結構仲が良い。ため口なり、悪口を言えるのも、お互いをそれなりに知っているからだ。
山口がやたら教える事が多いと口にしているのは、彼の指導役であった
「木下さんが全然教えなかったからだよ」
「俺のせいかよ!?ふざけんなよ!!ちゃんと指導しただろーが!!」
「教えてねぇよ!!あんた、反面教師が過ぎるんだよ!!客の迷惑を考えろ!!」
「お前等が仕事を固く考え過ぎなんだよ!矢木も含めて~!……まったく」
木下という人物がかなり豪快で、悪く言えば、いい加減。しかし、
「職場は人間関係だぜ!悪い雰囲気は、班内のモチベに関わる!明るい職場は笑ってるんだよ!」
「ニコニコしながら誤配してんじゃねぇよ」
「昨日はしてねぇーよ!」
人のミスも笑って済ませられる。
山口や部長が言うように、木下という人物はいい加減だがムードメーカーのような、良いところと悪いところがハッキリしている分。あ、こんな人間でもこの仕事はできるんだって、見下した見方もできる。新人からすれば、職場の先輩達は完璧超人にも見えてしまい、精神的にも迷いやすい。
それに木下の方が色んな意味で教えが上手い。
前作を見てくれるといいが
「勉強と一緒だよ。勉強しなくてもいいけど、後悔してから叫ぶなって事だ」
「……まぁ、木下さんはミスしたらどうなるかまでもレクチャーしてくれるから、新人からするとより分かりやすく、気を付けられるのは事実ですね」
「だから、俺はこいつに指導されたくなかったんだ」
どうして、そんな指摘をするんだ?って口で言う結果と、実際に起こして指導するを両立するのは難しい。”間違えない”を教えるのは指導役として、当たり前だから。教えたことというのは10ある内に1,2くらいしか分からない。残りの8くらいは実際に問題が起こってから、こうする理由はこうだったのかって、思える。
人には人の考えや行動があるから、それすらも縛って教える山口は、……人に合えば正しいけれど、合わない場合は泥沼化する。
「山口くんも困ったら私達に助けを求めていいよ。遠慮はしなくていい」
「はい。お願いします、実さん」
◇ ◇
業務の流れは局によって違うが、どんなお仕事でも面倒くさい事はいくつかある。
郵便局のお仕事に限った話ではなく、始業と共に
『今日も元気に郵便体操!』
まずは体操から始まる。3分くらい軽く体を動かしておけって奴だ。
9割以上は面倒に感じてはいるし、中には郵便体操の合間に業務をしてる方もいる。
当たり前の感覚だが、体操よりも業務してた方がお得なのは事実だ。
「「「1,2,3,4」」」
声を出して体操していないと怒られる事もしばしば。
ぶっちゃけ、仕事が始まる前から
「通勤で体はバッチリ動けてるんじゃい!!」
体が温まってる人も多い。……話と関係はないが、寝起きの軽い体操は体にいいと、作者は思っています。健康がてらやってみるとオススメです。
「「「1,2,3,4」」」
この合間にというか、郵便体操をやる1分前くらい……あるいは、始業前に。仕事で使う”携帯端末”などを各自で用意しております。
”携帯端末”などには、各配達地域ごとに決められており、番号が決められています。
時間前の業務には五月蠅い上司達も、これくらいの準備には目を瞑ります。60台以上も使うため、全配達員の手に渡るまで2,3分は要する。立ち上げなども入れると+2分ほど。8時00分~8時05分は、携帯端末などの立ち上げ。8時05分~8時08分までは体操といった感じ(もうちょっと早く終わるが)
「「「1,2,3,4」」」
今は時間前着手に五月蠅いですが、……。始業前に郵便物の”大区分”作業や、”抜出”作業を行う方も珍しくありません。作者自身はそれに対しては、本人達の自由だと思っているので良いんじゃないか?って肯定的ですが。
部長や課長といった役職者は、管理の都合上、かなり否定的です。そういった時間前着手をなしに業務をしてくれないと、正確な仕事の価値が出ないとか色々あります。(出したところで改善できないんですけれどね)。
「「「1,2,3,4」」」
郵便体操が終わった後は……局によって様々であるが。
森橋くんが入社した頃の時代で話します。まだ土曜日配達があった時代であり、現在のようにGPS付きの端末も持たされていなかった時代の頃。
業務の管理を担う方が放送で
『1,2,3,4,5,6班は抜出!7,8,9,10,11,12班は車両点検を実施してください』
全班が同じ業務を行うと混雑する。局によっては色々と違うらしいのだが、作者はここしか知らんのでザックリとした仕事の流れだと思ってください。
「車両点検に行きましょう」
◇ ◇
車両点検OR日常点検。
12班である森橋達は、地下に降りて郵便バイク・車が駐車されているところへ向かう。余談であるが、お客様はここにお客様用の駐車場があると勘違いして、ここまで入ってくることがある。ちゃんと駐車場はありませんってポスターが貼ってあっても、な~~んにも見ておりません。
そして、中に入るとUターンがし辛く、車やバイクがそこら中に停まっていたり、人が飛び出したりするので危険です。絶対に入らないでください!(車両が侵入したという注意喚起の放送は流れるけれど)
「日常点検するぞー!タイヤの表面、空気圧!オイル!ブレーキにランプーー!!通行許可証の期限!」
……こんなにカッチリはしない。
しかし、新人がいる手前。
「ちゃんとやりましょうか。皆さん」
「黒手袋付けろよ~。ヘルメットの用意もな~!あと、白布ウェス!」
バイクの”エンジン”を掛ける前に、やるべき事がある。やっている最中じゃ危ないのと意味がないという事だ。
まず、準備として黒手袋をはめて。軽くバイクの周りをなぞり、汚れをとろう。天候に関わらず、毎日路上を走るので埃やらの汚れはバイクに染みつく。
黒手袋やウエスでちょーっと拭くだけで十分。そのやっている間に、
「前輪、後輪の空気を確認しろ。釘が刺さってないとか。タイヤの擦り減りも確認しろ」
前後のタイヤを確認。特に空気は3週間に1回は、入れ直した方が良い。(できれば、2週間に1回)。空気が少ないとパンクになり、……今回の話ではないが、パンクによるトラブルや交通事故における、班内や社内の動きは大変なモノとなる。
これだけ覚えて欲しいと言えば、
「交通事故は、巻き込まれたお前が一番キツイ」
……という事だ。
タイヤのパンクは運転手に責任がある。それを事前に対処しなかったのだ。車両点検にも空気入れの項目はあるのだが、異常なことを記録するのもオカシイ話。誰も見てない、気付いてないふりである。
先ほども書いたが、3週間に1回行うペースでやれば、パンクする事は滅多にない。作者の理想としては、日にちで各班が空気入れをするのがいいと思う。朝は忙しいから中々できないし、やらない人がいるのも事実なので難しいけれど。
空気を入れておけば、パンクについてはほぼ大丈夫なのだ。
それでもパンクが起こる原因については、タイヤの擦り減りである。新品のタイヤと3か月ほど使用したタイヤを触ると分かりやすい。結構、タイヤは削れているのだ。タイヤが綺麗な形状ではなく、ところどころに溝がある。そこにスリップサインというのがあり、これと溝が同じぐらいになると、タイヤがツルツルになってきて、交換時期らしい。……詳しくないから、テキトーな説明ではあるが。
「タイヤ交換は半年に1回、替えてもらうと丁度いい」
交換の目安は各々に任せるが、半年に1度を目安に、前後輪をチェックしておこう。路上でパンクからのタイヤ交換よりも、点検からのタイヤ交換では大分負担が違う。
経費嵩むからギリギリってのも言われる話ではあるが、バイクは運転手の安全に関わる。
「その後に”オイルチェック”」
タイヤの次に”エンジンオイルのチェック”である。座席のちょい下辺りにあって、回すと外せる。オイルは少なすぎず、かといって入れすぎずが大事。エンジンオイルの栓、その先には長い棒とものさしみたいにメモリがついており、……これを一旦拭き取ってから、もう一度入れて、……また抜き取る。これで中に入っている、エンジンオイルの量が確かめられる。
タイヤと比べると運転手への安全に関しては落ちるし、見落としている方もいるが。車両管理の人達はこーいうところを気にしてます。
「オイルのところがやられたら、高額修理になるからな!!入れ忘れて、ぶっ壊したら、給与払わねぇぞ!!マジで高いんだ!総入れ替えになる!」
高額修理になりやすい箇所が、エンジンオイル関係らしい。で、高額修理となると、総務さんの顔がかなりしかめっ面になります。
『……お前、しばらくは徒歩で良くね?』
直すこと自体は時間があれば、業者さんがなんとかできる。問題は、払う予算と部品の取り寄せなど……それとバイクに乗る配達員・バイクの稼働年数をちょっと天秤にかけると、割に合わなくて修理を見送ったりします。
「バイクに跨って、ブレーキのチェック!それとミラーのチェック!」
オイルのチェックが終わった後、バイクに跨って、ブレーキとミラーの確認をしましょう。ブレーキは足漕ぎしながら、前と後ろのブレーキを確認。左右のミラーも確認しましょう。
ちょっとした事だが
「ここの駐車場、狭いからな。ミラーの位置とか簡単に変わってるから、日常点検じゃなく、出発の段階で確認した方がいいぞ」
積込作業中などで、体をミラーにぶつけて位置がズレやすいです。
「ブレーキは後ろの……フットブレーキはかなり使う!それと新人に”バイク固定”はあり得ないから、ブレーキの調整の仕方は覚えておけ。人によって感覚が違い過ぎる」
作者はそれなりに固さでブレーキを締めるが、人によってはブレーキが緩い事を好んでいる人もいる。
新人さんは色んなバイクに乗せられると思いますので、ブレーキの締め方・緩め方は知っておくと良いです。タイヤの中央部らへんに2つの六角ナットがあり、これを回せばブレーキの調整ができます。
制動距離と空走距離は、バイクの状態で結構な差が出ます。
エンジンを付けずに一通りの点検を終えた後、
「エンジンをかける」
ブウウゥッッ
エンジンをかける時は必ず、”ニュートラル”でかけるように。
「エンジンをかけたら、ライトのチェック。ヘッドライト、ウィンカー、ブレーキランプ。この3つが点灯してれば、とりあえずいい」
ロービーム、ハイビーム、テールランプをチェックしたりも大事だけれど。そーいうところは夜まで配達してないと、周りも気付かない。
「ちなみにライトの交換は俺達がやるんだぞ。球切れしてたら言え」
「は、はい!」
配達局によるが、ライト交換くらいは配達員がやってくれと、ウチのところは言われてる。
整備不良が出るのは仕方がないが、業者に頼んでばっかりだと
『経費が嵩むんです!!自力でやりなさい!!』
直せるもんは自分で直せ。道具などは一通り揃えてくれてます。
新人の内はタイヤとブレーキだけチェックしてれば、十分だと思います。夜まで配達をさせる事はありません。
「最後にヘルメット!」
そして、バイクだけでなく。配達員が被るヘルメットも大事である。
一度合わせれば、数か月は持つものだが
「顎紐が緩んでないか、ちゃんとチェックして!」
長い事使っていると、少しずつ緩くなっていく。顎のところに指1本分入るくらいで留めると良いらしい。ヘルメットなんか付けないで運転する人も最近じゃチラホラ見かけるが、事故った時に頭を守るのはこいつしかない。それに交通事故は、自分が注意していても避けようがない。
「言わないが、ヘルメットくらいで口五月蠅い奴もいるからな」
作者はちゃんと付けるけれど、バイク事故は運転手ドライバーが怪我をすると思ってください。相手を恨んでも、自分が死んだり、相手に逃げきられたら、どうにもならないんで。
ノーヘルはさすがに止めておけって話です。
◇ ◇
ミッチリ日常点検を行うと、5分くらいは掛かるが
「慣れた人達は1,2分で、はいはいって感じだ。週初めだけちゃんとやるよって感じ」
昨日乗ったバイクと同じバイクに乗るのなら、車両の状況は分かっているからだ。新人がバイクを固定させない理由も分かってくれないだろうか。
車両点検もできないのに、バイクを固定なんかさせられないんだよ。まずは車両点検をできるように。
「中には車両点検もしない、作者みたいなタイプもいるからな」
弁明するが、朝の業務で忙しいんです!!
「そーいう輩もいるから、あいつが日常点検をしてないから私もしませんってのは、基本はなしな!」
忙しくもない奴が日常点検をしないのは、ナシである。忙しくて日常点検しなくても、そうじゃない時はちゃんと地下まで降りて点検している。
そんなこんなで森橋と山口が日常点検を終え、再び集配営業部のある場所に戻った。それと入れ替わるように
『1,2,3,4,5,6班は車両点検!7,8,9,10,11,12班は抜出を実施してください』
今度は”抜出”作業に移る。簡単に言うと、配達する郵便を各地域ごとに取っていく作業だ。
新人の森橋くんの時代は、”通常郵便の抜出”も集配営業部が担当していたが、現在は”追跡郵便の抜出”のみで終わっている。これは配達を1日遅らせるとかの影響である。
前に書いたが、一日の配達で60人ほど出勤し、60以上の地域をそれぞれ取りに行く。全部が終わるのに、30分~40分だろうか。
ガラララララ
「台車持ってきたか?」
「はい!」
上と下に2つのファイバーケースを載せた台車を押してきた森橋くん。
森橋くんが担当する地域が書かれたを区分口にある郵便物を抜いて、ケースに入れていくわけだが。山口はその姿にう~んって、か。まぁいいかって感じの顔をしつつ、
「俺達の担当する地域は、”73区”、”北砂流町1丁目”だ。区分口は1か所だけだから、楽だぞ」
この”抜出作業”は。
朝早く、……もっと前で言うと、深夜の時間帯。郵便を積んだトラックさんが各拠点に回っていき、”郵便課”の皆様がそれを受け取り、”区分作業”をしている郵便物である。この業務のおかげで、昔は近い地域ならばたった1日で配達まで行えたという事です。今はもうやっていません。
結構大きな区分口を使っていますが、それでも郵便物の量は多いため、抜き出す場所は7~10か所ほどあります。
”大型郵便物”、”定形外郵便物”、”定形郵便物”
通常郵便物がサイズごとに3種類に分けられ……
”追跡郵便”、”特定記録”、”国際ゆうパケット”
追跡入力もさらにあって
”レターパック”、”速達”、”ゆうパック”、”時間指定・期日指定”、”誤区分された郵便物”
さらにさらに追跡入力や時間指定、追加の郵便物などが追加である。
局や班構成によって、色々異なるのでいつもこうだというのはないが……(他の局から来る人も、色んなやり方があるなーとか言ってる)。
要するに、今日配達する郵便物を全部、引っこ抜いて来いという作業だ。
ドバババババ
「”抜出作業”でやっちゃいけない……事はないな。言い方悪いが、”誰にでも”できる業務だ」
言っちゃ悪い事かもしれない。気を悪くしたらゴメンってしつつ
「だから、”ちゃんとこなさない”と」
「はい!”北砂流町1丁目”ですよね!」
”抜出作業”の注意点。といっても、当たり前な事過ぎてどうしたモノかと思うが。
1.抜き出した郵便物を踏んづけない!汚さない!(落とすのはしゃーない)
2.違う地域を抜き出さない!
3.ちゃんと郵便物を抜き出す!
4.”通常郵便物”と”追跡郵便物”をファイバーを別にして、分けておくこと!
以上の4点である。
班事に別れて抜出作業をしても、行列ができてしまうので、素早く抜いて欲しいとかもあるが……。抜出作業を早くこなすなんて、まず不可能でムダである。始業時間前にコッソリと抜き出すのが、最良と言える。
ドササササ
「結構ありますね」
「俺達の地域は多い方だからな。気にせず、抜き出せ」
抜出するルートは決まっているので、それに沿って並び、抜出をしていきましょう。
注意する事ではないですが。この後の業務となる、”大区分”をやる上で効率的に行う場合、”大型郵便物”、”定形外郵便物”、”定形郵便物”を、ファイバーケースに入れる段階で分けておくと良いです。あるいは、自分が分かるように放り込むのがいい。
抜出するルートが決まっているため、この辺は自然と分けられるようになっているかと思います。
ゴロゴロ……
郵便物を抜き出していき、台車が重くなっていく。通信教材・カタログがあるとウンザリしてしまう。
”通常郵便物”は年々減っていますが、それを軽くひっくり返すくらいに多いのが、”追跡郵便物”です。現在は100通が最低ライン(むしろ、少ない扱い)。
森橋くんの時代だと、50~70ほどのまぁまぁ平凡ぐらいです。
嫌な話になりますが、多くのお客様が”通常郵便物”で出して、1日、2日で配達できていたのが要因です。そんなに早く届くなら、”追跡する理由”が差出人も受取人にもなかったです。
「ちょっと待ってな。こっから先は”追跡郵便物”になる」
「端末で入力して配達する郵便物ですよね」
「事前に注意したが、……”通常郵便物”と絶対に混ぜるな」
お客様は届きさえすれば、特に意識はしないんだけれど。
”受入”、”配達完了”までの料金を頂いているお荷物である。これが徹底されず、配達までやっていると、業務をしていない扱いで、気付いた差出人は注意をしてくる場合がございます。
”発送”、”発送中”、”局到着”、”配達員持出中”、”配達完了OR不在”
大まかに5つの状態を端末を介して、受取人と差出人にお伝えできています。
それらを逐一チェックされているお客様なんて、まずいませんが……。
「郵便課も人の事言えないけれどな。”局到着”で止まったままで、客に荷物が届いちまったら最悪なんだ。こっちの責任になる」
”通常郵便物”と絶対に混ぜるなと口酸っぱく言うのは、追跡郵便物のバーコードはモノによっちゃ見づらいのだ。バーコードを読み込まず、手入力をするタイプもある。
結構な数の郵便物を抜出せば分かるが、”通常”と”追跡”を混ぜると入力を見逃して、”大区分”をしてしまう。
「な?」
「……なるほど、なんか微妙な顔をしてると思ったら……」
山口が注意をしたかった事。実際にやってみて分かるが、
「ケースは3つか4つ……あるいは、2回に分けて抜出するんですね」
「そーいうことだ。始業前に抜出作業をしたい人がいるのも分かるぞ」
”通常郵便物”だけなら十分余裕があるのだが、ここから”追跡郵便物”を入れるとなれば、ケース2つでは足りない。3つ用意したり、”通常郵便物”と多少混ぜても分かるようにするとか、色んな工夫……じゃないな、”決め事”をして、行うといいのだ。
「もう1回、抜出をします」
「おう」




