8話 東京中央ダンジョン4
「さて、結界前まで来たけど改めてすごい気配するね」
『さすがに魔力の気配まではわからないけど木の威圧感がすごい』
『木がでかいってのもあるけどそれ以上に謎の威圧感があるわ』
結界前まで来たのもあって推定属性精霊であろう奴の魔力圧がすごい。
常人ならもう気絶してるんじゃないかな。
それに改めて気配を探ってみると不思議なことに普通の結界の形ではないことも分かるし、結界領域がかなり広いことも分かった。
結界はふつうは半球の形もしくは球の形をしていることが多いが、ここの結界は円柱…つまり空に向かって伸びてる。
それに結界領域も半径だけで十キロメートルくらいありそうなくらい広い。
「...これはベヒーモスよりも圧倒的に強いかもね」
『は?ベヒーモスよりも上?』
『いやけどこれが下層より下と考えれば普通じゃない?』
「いや、ベヒーモスよりも三段階くらい上だと思う。ランクにしたら上位SSSくらいかな?これは楽しい戦いになりそうだなぁ」
『えぇぇ...命の危険性考えないの...?』
『楽しいが先に来るあたりやっぱり狂ってるんだなって』
『さすがにちょっと引く...』
「ひどいこと言う視聴者は置いといてとりあえず結界内に入るよー」
そう言って結界内に足を踏み込んだ。
雰囲気が一気に変わる。
そこは灼熱地獄のような火に囲まれた空間だったがなぜか熱いという感覚はなかった。
《おうおう!この空間に初めて来た人間さんか。しっかし特殊な魂してるな!》
背後から幼い少年の声が聞こえてきた。
振り向くとそこには浮いている少年の姿があった。
その少年は赤髪赤目で髪の毛は火が燃えているかのようにゆらりゆらりと揺れていた。
はつらつとした笑みを浮かべており元気そうなイメージを与える表情をしていた。
「あなたは精霊?」
《おう!そうだぜ!俺は火の管理精霊ピュールだ!お前は何もんだ?神の魂の欠片を持つ人間なんて初めて見たぞ!》
「私は白雪 真白。なんでかこの階層に飛ばされた普通の人間だよ」
《お前が普通の人間だぁ?普通の人間は神の魂の欠片なんてもってねぇ!》
「だから、その魂の欠片ってのが分からない。私は今まで普通に過ごしてきただけだし」
《じゃあ神の魂の欠片をもつ意味も分からないってことか?》
「そうだね、私は知らないよ。あ、そういえば上層のボス部屋で無機質な女性の声の人が消滅した神の鱗片を確認とは言ってたね。それとは関係ある?」
《おいおい!消滅した神の魂の欠片を持ってるのか!まさかそんな奴が飛ばされてくるとはな!その無機質な女性の声のところから説明するか》
「お願い」
《まず、その無機質な女性の声は世界の声ともいわれていて、世界の魂が構築したシステムの声だな。世界に始めてダンジョンができた時にも聞こえたはずだぞ》
「そうなの?知ってる視聴者?」
『歴史の授業で習わなかったのか?この世界に始めてダンジョンができた時に女性の声が聞こえたのは事実だぞ』
『中学校の授業でやるはずだが...もしかして寝てたりして話聞いてなかったな?』
「うぐっ...事実だからなんも言えない」
《まあそれはどうでもいい、そしてその声が聞こえる基準は世界に変化が現れるときのみだ》
「え?つまり今回で何か世界に変化が起きたの?」
《ああ、今回はいろいろ変わったみたいだな》
「何が変わったか教えてほしい」
《今回変わったのは主に技能・ダンジョンに関する事なんだがまず技能が進化するようになった。それに加えて特定技能を持ってる状態だと特殊ダンジョンに挑むときに変化が現れるぞ。それにダンジョンも今まで人間たちが難易度を振り分けてたみたいだが世界の魂が特殊ダンジョンと呼ぶところはそれに当てはまらなくなった》
「特殊ダンジョンってここみたいな場所のこと?」
《そうだ。特殊ダンジョンは通常のダンジョンと違って下層から下が存在する。普通のダンジョンは上層、中層、下層で終わりだが、特殊ダンジョンはそれに加えて精霊層、深淵層、星層、神層があるぞ。それぞれの到達できる人の違いは技能のレベルによって変わるな》
「技能のレベルっていうのは私が言われた神級技能みたいなやつ?」
《それだ。技能は下級、中級、上級、特殊級、精霊級、深淵級、星級、神級に分かれてて精霊級以上を持ってないと精霊層には入れないみたいな制限がある》
「じゃあ最初の技能付与で今後は入れる層が決まるってこと?」
《いやそういうわけじゃない。技能にも変化ができたって言ったろ?それが今回の一番大きい変化で技能が進化するようになった。つまりやろうと思えば下級から神級まで技能レベルを上げられるってことだな》
「じゃあ私みたいな人が増えるの?」
《お前みたいなのは...世界に十人いれば多い方だな》
「なんで?」
《次の説明に移るんだが神の鱗片っていうのは神々が与えた加護みたいなものでな。その神の力の一部を制限有りで使うことができるんだ》
「私の場合技能名からして死神の力の一部が使えるってこと?」
《そういうことだな。ただお前に制限はかかってない》
「え?なんで?」
《それが今さっき言った消滅した神の鱗片に関係してくるんだが…まずは神は基本的に消滅しないんだが特例があってな、それはその神自身が消滅を願った時なんだ。そしてその神が消滅すると神の鱗片を適性がある奴に与えられるんだ。その適性ってのがその神になる適性なわけで、お前の場合生死を司る死神になる資格があるわけだ。その資格を満たすか試練をするために特殊ダンジョンが存在するんだ。あとしゅ...いやこれはまだ不確定だから言わなくていいか》
「?ほんとに大きい変化があるんだねぇ」
《ああ、それよりもそろそろ始めようか》
「うんそうだね私も楽しみだったんだ」
「《さあ始めよう。満足いく試練を》」
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